はしり書き(たぶん詩のようなもの)

私は傘をすぐに無くす。
雨の駐車場、あたりのアスファルトは重たい色になっている。
目の前の自動車のテールランプが光り、なんの躊躇いもなくゆっくりと発進していく。
するとそれまで自動車がいた部分だけ、明るいグレーがくっきりと浮かび上がっている。
しかしひとつ、またひとつと雨が容赦なく守られていたそこに降りかかる。アスファルトが雨で濡れていく。気づけば明るかったグレーは見る影もなく、あたり一面のアスファルトに虚しいほどに溶け込んだ。
これはあなたなのだと錯覚した。あなたは今まで、一つしかない傘を私に傾け、雨宿りをさせていたのだ。

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