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私の上司はシンガポール人(禁煙26日目)

気づけば、禁煙を始めて26日が経過していた。毎日書こうと意気込んでいた禁煙日誌は、3日目を境に、気分が乗った日に書くことと自分ルール化した。それでいいんだと思っている。私は作家でもライターでもなければ、ファンが待っているわけでも、〆切があるわけでもない。

禁煙中の苦しみ…いや、吸いたい衝動に駆られる峠的な壁は超えた気がするから、その苦しみを残しておきたいなんて考えもなく、いつか吸ってしまった自分を戒めるための鎖のような存在かと。

もう苦しみは感じないし、ベランダや喫煙所に足を無意識に運ぶこともない。むしろ、喫煙所に行ってきたであろう同僚とすれ違う時に、彼らをオーラのごとく包み込んでいるたばこの臭いに、「えっ、ちょっと待って!!すごいにおう!!」と、過去に私が喫煙所の帰り道にすれ違っていた全ての同僚に謝りたくなる。

そして、妻や娘にはうまくごまかせていると思っていた1か月前の自分を恥じたい。いや、これ、吸ってないなんて嘘つけない!!!吸っている人は、吸ってない人よりも、タバコの臭いに対する嗅覚は鈍感になっているだろうから、喫煙者本人がごまかせていると錯覚しているだけで…いや、ちょっと恥ずかしいわ、本当。そして、妻よ。気づかないフリをし続けてくれてありがとう。

ちなみに、私がタバコをやめるに至ったきっかけの一つに上司が変わったことがある。前の上司はずっとリモートで、私が転職して彼が異動になる11カ月間、対面で彼と話したのは一度だけだった。私もリモート推奨の恩恵にあ預かってから、出勤するのは週に1度か多くて2度で、同じ部署の同僚に対面で1か月会わないこともざらである。

しかしだ。3月に「4月から上司が変わると告知」があり、3月中に彼女と初めて会話を交わしたが、その時は対面だった。その後、3月中に引継ぎと打合せで何度か彼女と話す機会があったが、全て対面であり、私はどこか居心地の悪さを感じていた。

私は、幼いころから臭いにとても敏感で、五感の中では臭いからの影響を強く受ける。特に人の体臭には敏感で、清潔感のない人のそれは遠くにいてもわかるし、強烈であれば一日の体調に影響を及ぼす。それだけ他人が纏うにおい、放つにおいにはとても敏感である。彼女と初めて会ったその日、彼女の香水が気になった。

「あっ、これ、よくUKとかフランスでよく嗅いでいた香水の香りだ」

日本人女性が纏う香水とは異なる、独特な甘い香り、以前UKやフランスに出張していた際、街中でよく匂っていた類の香りが、彼女からは発せられていた。好きとか嫌いとかではなく、過去のいくつかの場面を思い出す香り。悪い思い出はないので、もちろん嫌いな香りではないのだが。

私の同僚は、着飾るような人は少なく、みな素朴な人たちだ。彼らと一つ会議室の中で時間を共にしようと、彼らのにおいが気になることはなかった。それは外国人社員であってもそうだ。髪型をバーンと決めた営業マンがいるわけでもなし、タイトなスーツに身を包んだギラギラのキャリアウーマンがいるわけでもない。ただ、彼女の身なりは華美でないものの、パット見ておしゃれに気を使っていることがわかる、自分に合った、自分の好む服を選んでいることがよくわかる、おしゃれな人だった。

そんな彼女が纏う香水の香りを私がわかったということは、彼女も私の纏う香りがわかっている可能性が高い、と直感した。つまり、彼女は私がタバコくさいことがわかっている。

別に彼女に好かれようとは思っていない。もちろん、仕事をする上で好かれるにこしたことはない。ただ、もし彼女がにおいに敏感で、かつタバコの臭いをよしとしない人だった場合、少なくともにおいに敏感な自分だったら、一緒に時間を過ごすことは苦痛だし、彼女と話をするときの多くは対面が予想できるから、週に1回2時間の定例会で不快な時間を提供し続けるのは誰の得にもならない。そして、他の同僚にも、私が纏うタバコの香りをかがせ続けていたことに申し訳なさを感じた。他にも禁煙に至った理由はあるが、理由の一つはこれである。

今のところ、上司に嫌われている気配はないから、私の思い過ごしであれ、選択は間違ってなかったと言える。むしろ、タバコもやめられたから万々歳だ。そんな彼女はシンガポール人女性で、彼女についてはまた次回以降、ここに記していきたいと思う。たった1ヶ月弱だが、とても優秀な人であることはわかるし、私が見てきた中で最高のモチベーターだと思う。

今回から、最近聞いている音楽を紹介したいと思う。ちなみに、上に記したこととは全く関係ない、私が聞いている、聞きたい曲である。カバープロジェクトのTokimeki Recordsがシティポップの代表曲をカバーしたこの曲。カッティングがとても軽く、オリジナルよりも都会さが増していて、かつボーカルのけだるさがPlastic Loveさを巧みに演出していて、めちゃめちゃにカッコいい。

原曲は、1985年発表 竹内まりや。こちらはこちらで素晴らしいにもほどがある一曲。ストリングスとホーンセクションの厚み。そして、山達サウンドの特徴的なカッティング。(でも、作詞作曲は竹内まりや。プロデュースの際に組み込んだのかな?)どちらにしても、シティポップの代表曲。すっげぇ、カッコいい。

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