今国会で予定される会社法改正によるコーポレートガバナンスの強化促進
2019年10月4日から12月9日まで予定されている今国会では、会社法の改正に関する審議が予定されている。その中で、コーポレートガバナンスの強化促進に関しては、以下の点が挙げられる。
社外取締役の選任が法律上義務化
上場企業は「社外取締役」の選任が義務付けられる。
2015年に適用が開始されたコーポレートガバナンス・コードにより、社外取締役(独立社外取締役)を2名以上選任することが求められており、既に、全上場企業のうち94.8%が社外取締役を導⼊済みである。
一方で、マザーズ上場企業で8.6%が、JASDAQ上場企業で20.1%が独立社外取締役を1名も選任しておらず、これらの市場で独立社外取締役選任が課題となる企業が続出するであろう。ただでさえ、人材難の社外取締役争奪戦がより一層激化する可能性が高い。
また、社外取締役の選任が法律上の義務となることで、単に社外取締役を入れれば良いということでなく、「会社と経営陣、株主との間の利益相反を監督する」という取締役の役割を果たしているかどうかが、上場企業にはより一層求められる。
取締役報酬への一定の規律付け・開示強化
役員報酬では報酬決定に関して、一定の規律付と情報開示が強化される。 これまでは株主総会では取締役全員の報酬総額の最⾼額を定めるが、個々の取締役の報酬をどのように配分するかは取締役会か、代表取締役に再一任することが⼀般的であった。今回の法改正で、報酬内容を取締役会でどのように決定するかの方針を決め、株主総会で説明することが求められる。
また、既に今年の1月に内閣府令が改正され、業績連動報酬を導入している場合には、有価証券報告書にその詳細を開示することが定められている。今回の法改正を含めて、日産ゴーン事件以降、注目を集める役員報酬の決定の透明性と妥当性に対する企業の説明責任が、法的に強化される。
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