コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/12/20)
東証の市場構造改革、企業行動に変化を促すか-変わるTOPIX
【注目ポイント】東京証券取引所が進める市場構造改革は、TOPIXの採用基準の変化やそれに伴う企業の株主還元強化など日本企業の行動に好影響を与える可能性がある。金融庁の市場改革案では、東証1部など5市場を「プライム」など3市場に再編することを想定。現在のTOPIXは東証1部全銘柄が採用されているのに対し、見直し後は時価総額や流動性、コーポレート・ガバナンスなどで一段と絞り込んだプライムを中心に構成される。日本株のパフォーマンスは長期にわたって海外に比べて見劣りし、海外株が史上最高値を次々と更新する中、TOPIXは最高値から4割低い水準にとどまる中、市場改革に合わせて日本企業の行動への変化に繋げられるかが今後の焦点だ。
【コメント】東証の市場構造改革の背景には、業績が著しくない場合であっても上場維持が容易であったり、東証1部にも比較的時価総額が小粒な企業が多かったりと、長年課題となっていた点にメスを入れている点として評価できる。また、単に業績や時価総額だけでなく、コーポレートガバナンスなども評価の対象としている点も注目すべき点だ。記事にもある通り、今後プライム市場への上場やTOPIX採用銘柄に選ばれたい企業は、これまで以上にガバナンスを強化し、経営の透明化は進むだろう。
アクティブ投資家、マザーズで「宝探し」
【注目ポイント】東証マザーズ上場企業に対して、アクティブ投資家が注目をしている。新規株式公開(IPO)した有望銘柄を海外機関投資家が大量保有するなど個人中心だった投資主体に構造変化がみられる。フランスの運用会社コムジェスト・アセットマネジメントの日本株ファンド担当者は「マザーズには不当に放置され、過小評価されている銘柄も多い。『宝探し』する価値はある」と指摘。参入障壁が高く、成長余地の大きい銘柄に狙いを定めている。今年IPOした成長期待の大きい銘柄に注目が集まる一方で、投資家の期待を裏切るいわゆる「上場ゴール」の銘柄との二極化が顕著だ。
【コメント】現時点ではマザーズ上場企業に対しては、今後の成長性が一番に問われ、ガバナンスについては上場会社として最低限の取組みをしていれば、それほどうるさく指摘されていないように見受けられる。一方で、上場後も創業者や創業メンバーが経営陣に残り、なかなか成長戦略を描き切れていないケースも多く存在する。よく言われることではあるが、企業の成長ステージによって、求められる経営者のタイプも変わってくる。今後、マザーズ上場企業に対する投資家の目が厳しくなれば、「上場ゴール」と呼ばれるような企業の経営陣に対してNOを突き付ける動きも出てくるだろう。
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