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Nocturne in E♭ Op.9 No.2

夜想曲


甘美な旋律。繰り返しだが、装飾の方法が微妙に変わっていく。
聴くのも心地よいが、弾くともっと心地よいかも。

Nocturneは最初はフランスの俗謡だった。
器楽曲としてはピアニストで作曲家のジョン・フィールドがつかったのが最初でショパンがこれを昇華させた。

指導映像
musescore

「夜」に対して鋭い感受性の持ち主でした。
特に昼と夜との間の「夕暮れ時」です。
ショパンがマリア・ヴォジンスカに愛を告白したのも黄昏時でした。
ベルカントが用いられている。
ショパンはいつも指がうたわなくてはいけないと言っていた。
もう少し押し付ける感じにしなくては。
右手をもう少し押し付けて。もう少し響かせるように。

ショパンが奨励したこのノクターンの練習法


左手の練習を両手でする。
各三連符群の第二・第三の音符をギターのアコードのように響かせる。
これでメランコリックな「セレナーデ」ということがわかる。
両手を使って左手の練習をやってみる。
ギターのアコードを意識して。

その後、右手を少し強く響かせ、旋律部を加える。

1小節

(2小節)「タリララララン」
小さなフレーズを切ったがこれは節回しを台無しにしている。
最後の方のテンポを緩めず、最後までしっかり弾いて。
もっと歌うことを考えて。
もう少し強く弾き始めて。
弦楽器をイメージしてください。
「ド」を弾く時、最初の音符はもう少しはっきり弾いて。
低い「ド」と高い「ド」の間は、途切れないように。
ここは弾き慣れるように。これはレースのイメージです。
フレーズの最後の方をもっと速く弾いて。

(4小節)
ショパンが指示をしている。
この「ミ」までいくフレーズには二か所のコンマがあります。
このフレーズの第一部分。第二部分。第三部分。
だからこう弾かなくてはいけません。
二か所のコンマを考えてください。
最後のテンポをゆるめないで。
自然に終えます。
今度は少し大げさに弾きましょう。
少し止まって。また少し止まって。慣れるようにしましょう。
ストップ。結びです。コンマの所は手を少し上にあげてもいいですよ。

5小節

ここは第一変奏の所ですね。
同じフレーズ主題が1なので、第一変奏は2回目の同様なフレーズ
ショパンの弟子によれば、ショパンはこの部分のテンポを冒頭の部分と同じく、アレグレット(やや速く)のままで弾くように勧めたそうで、
アンダンテ(歩くような速さ)ではないのです。
そして第二変奏になると(13小節)からアンダンテ。
第三変奏(21小節以降)は、
アダージョ(緩やかに)でより悲壮に弾く。
これは、弾き方の例で選ぶのはあなた。

こういうふうに弾くこともできます。(9分あたり)
主題です。もう少し速く。
第一変奏も同様。
そしてもっと後の第三変奏

(6小節)
この第一変奏には実に崇高なフレーズがある。
そこでは、「レ」の♭と「ファ」と「ラ」の♭をもう少し強調しなくては。
いつも何かをつかもうとしている歌手のイメージ。
いつも練習では、大げさにそのあとで押さえていくように。
アクセントを少し大げさにして。
細かいことですが
そこで「レ」の♭になるところですがショパンが望んでたのは、
第4指を続けて「レ」の♭から「ド」へ滑らせる弾き方。

このフレーズの最後は、少しクレッシェンドにして
2回目は次の変奏ですが、フレーズの最後を2つに分けてしまうのは好きではない。はずみに乗って続けた方がよい。
クレッシェンドする場合もです。
少し休止を入れるにしてもほどんどわからない程度に。
小グループ間にもう少し間が必要ですね。
小さなスラーがありますね。
もう少し震えおののくようにして。
これは心の内を明かし、何かを伝えようとしているのです。

ルパートについて

イタリア語の用語で
<盗まれたテンポ>という意味。
つまりテンポの上での小アクセント。
これは代償システムで、音符や音符群を後ろから来る音符を相関させて、
長くする事も短くすることもできる。
テンポは正しく刻みながら次の音符の一部をかすめ取るということです。
つまり、少し早くすると短くなるわけだから、
こちらで長く伸ばすわけでフレーズを終える場合でもこうなります。
ショパンのルバートの典型だが、ショパンが作り出したわけではない。
1723年に「ベルカント論」のなかですでに論じられています。

ルバートはショパン以前から存在していた。
ルバートにはA型とB型の2種類あります。

A型ルバート

旋律部は完全に自由、低音部、伴奏部は全く変わらない。
リストはこれを不動の気の幹と、揺れ動く葉に例えた。
低音部は動じない指揮者です。
旋律部は大げさに弾いても低音部はほとんど効きません。

B型ルバート

低音部がもっと揺れ動く。

ルバートを体得するのは大変で自分で感じ取らねばならない。

ショパンはA型ルバートが好みでした。
だからテンポを勝手に遅らせてはいけません。
A型ルバートで、右手はもっと自由に
私が拍子をとりましょう。
右手は難しいんですよ。
テンポも自由でなくてはいけません。
ある瞬間は音符もズレるわけです。
でも左手は変わりません。

今度はB型ルバートです。
自由に全体を変化させて。
当然こちらの方がずっと易しいですね。


気をつけて。
スラーで結ばれた2音符は最初の音符を強く。
「レ」より「ソ」の方を強くね。
同じ節回しが繰り返し出てくる時は
変化をつけてもいい。
ショパンが同じ曲を何回も弾く時は、
よく変化をつけたのですよ。

ここは今やったように
このように弾き、後で繰り返すときは、
こうゆうふうにやってみていいでしょう。
自分が楽しんで変えていいのですよ。

気を付けて。そこの音符はスタッカートですよ。
前にあった類似の小節、
第4小節との違いを出すには、
スタッカートでピアノですよ。
ここは2つのポイントがあります。
スタッカートですよ。

ペダルを踏んでも別々の音が
少し強調されて出るのです。
4小節目よりpで弾いてもいいですよ。
もうひとつ、ここは
「チェルカール・ラ・ノータ」という小音符があって、
「ラ」の♭から「ド」までの移行部を滑らかにしています。 
これらの小音符はこの「ラ」の♭の繰り返しで、
原則として、表紙と同時に弾きます。
とはいっても、後でまた出てくる時は変えてもいい。

8小節

ここは反復ですから、もっと優しく撫でるような感じで。
そして違う音色が必要です。
ここをこうして終えますね。

もっと親密な感じで。

フレーズの前半をもっと強くし、
後半のppをくつきりと出して。
もっと歌って。

ここは<ポルタンド>です。
ペダルを話してください。
<ポルタンド>と<ポルタメント>と混同しないように。
<ポルタンド>はベルカントでは<パルランド>というものです。
ややスタッカートぎみで

最初の方の音が後続の音よりも少し重くなるのです。
均一に弾いてはいけません。
もう少し最初の音を弾いて。
ピアノをこのように優しく撫でてください。
最初は弾いて後は軽くして。
フレーズの最後は少し速く弾いて。
最後の方は引き伸ばして。
そこは少し引き伸ばせますよ。
少し速く弾いた後、各フレーズの最後の2つの「ミ」の間では
少し間をとらなくては。
これは溜息ですね。

いつも歌ってください。

ピアノの上を硬くたたかないで
ウェイトをかけて
鍵盤の奥の方を弾いて。
滑る危険はあってもね。
この音、4指と5指を一緒にひいてもいいですよ。

ショパンの弟子の楽譜にこういう線が書き込まれています。
この小説の7番目の音と次の音の間を分ける線です。
「シ」の♭の所にきたら
少し息をつがなくては。
ペダルを離して。
そしてここからはショパンが指示してますが新しいフレーズなのです。
新しいフレーズですね。
ここで間をとって弾いてみて。

クレッシェンド
このトリルは「ミ」のナチュラルを加えて少し変えてください。
ショパンも何人かの弟子にそう指示していました。
これは移行部をなめらかにします。
いつもテンポは崩しません。

ここは典型的なアラベスクがあります。
ただベルカントのアラベスクと
ショパンのアラベスクには
違いがあります。
ぺるカントでは歌手たちは
アラベスクの所でゆっくり歌うが、
ショパンのアラベスクは小川が大きな川に流れ込んで、
合流して消えてしまうように最後の方を速くして、
最後の音符には、重みを置かないのです。
自然に消えて。頭の中にこのフレーズが消えていかなくては。
最初の方の音符をもっと
ルーレで弾いて、もっと切り離して。
ショパンは大変難しい指使いを指示したが試す価値はありますよ。
第4、5指の感覚がより繊細になりますから。
5-4-5-5-4-5-4・・・
最後は速度をゆるめないで。

ここは<ポルタンド>から最初を少し重めに、
最後は軽めに。

最後の方の速度をゆるめないで
速度を緩めないで。

フレーズの最後が台無しです。
こう弾いてください。
ここで消してから次のフレーズへ。
または、かすかに。。。。

ここでは前に出てきた時とかえるために。 
ディミヌエンドしてもいいですよ。

ここはあなたがしたければ対旋律をだして楽しむこともできる。
これはレッスンの域を超えますけどね。
とにかくショパンは2度と同じ弾き方はしなかった。

そうです。
弦の弓使いですよ。

ここには先ほど同様、ベルカントの即興的な装飾音があるが、
フレーズの最後で速度をゆるめてはいけません。
ここからフレーズがゆっくりめに始まり、
すみやかに終わるのです。
装飾音の終わりの方の音符を重視しすぎないように。

ペダルに気を付けて。
ここでは3つの方法があります。
「ミ」の♭までペダルに含める場合は
それとも含めないか
それとも表紙と同時に弾くか。
自分で選んでください。

25小節

そこはショパンの指示では
5-4-5-4でしたよ。
5-4-5-5-4-4-5-5-4-3
弱い指の方がより感覚が鋭いからです。
この部分をもう一回弾いて。
もう少し澄み切った透明感を出して。

感じるままに弾いても
あまり間延びしすぎぬように。
進行を早めて。

29小節



高揚の高まりです。
もっと高揚してどんどん弾いて。
気を付けて。ショパンが指示しているフレーズは
「タリララ・タリララン」
ここから再び弾き始めなくては。
もう少し速いくらいで。
いつでも躍動感がなくては。
もっと抒情的に。
もっと強く。

もっと情熱的に。
速くして。間隔をつめて。
もっと強く。
たっぷりと。
とてもよかった。
でも自分をのびのびと出して。
ここは恍惚、熱情で
高揚しているのだから。
このカデンツァの最初の音符は
かすかに聞き取れるくらいに弾いて。
これはffの中に紛れ込むようでなくては。
カデンツァはどこからともなく
現れ出てくる感じで弾き始めて。
ほとんど聞こえない。かすかに。

こうゆう練習をしてください。
4連符で
これがもっと均一ではっきりとひけるようにするためです。
この前はもっと強く弾いて
そしてゆっくり始めてください。
かすかにぼかして。
そして速くして。
ゆっくりと。速くして。音を大きく、
速度をゆるめて。
音を小さく。
しだいにやさしく撫でるように。
ここは結びの夢見がちな神秘。
かすみのように。
ペダルは踏んだまま。
別世界にいるのです。
はかなく、はかなく。
消えていくように。そうです。






 

 









太字「」は、Cyprien Katsaris先生の言葉

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