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ファシリテーション術 #43

ファシリテーションの目的

議論の目的

ビジネスにおける議論の目的はアクションの決定である。
議論をすることで、決定内容の合理性を高め、決定プロセスの納得性を高める。


ファシリテーションの目的

ファシリテーションは、組織のメンバーに腹落ち感を作ることを目的としたコミュニケーション方法である。

腹落ち感とは

  1. 上位方針や目的を、その理由や背景とともに具体的に理解できる

  2. 上位方針や目的をブレイクダウンする

  3. 求められる成果、そのための業務プロセスを具体化

  4. 自分がやりたいと思えるワクワク感がある


議論前の仕込み(論点の洗い出し・絞り込み)

論点があることで、議論において「参加者の意見や主張がどういう問いに答えているのか?」「今なんの話をしているか?」に陥らない。
論点は、議論(目的地への旅)を進行する上で最も重要な地図と言える。

論点を網羅的に洗い出す

洗い出し方は主にボトムアップと合意形成プロセスがある。

ボトムアップ

  • 大きな問い=大論点に答えるための中論点をいくつか考える

  • 論点同士の関係を考え、グルーピングを行い、粒度が異なるものはレベルを下げ、階層化する

  • 整理後に残った中論点に対し、「反対意見ができるとするとどのような論点が考えられるか?」を考え、論点を補完していく

合意形成プロセス

  • 目的共有:何の話をなぜここでやるのか?

  • アクションの理由:なぜそうするのか?

  • アクションの選択:どうするのか?

  • 実行プランの確認:誰がいつ何をするのか?

をもとに論点を考えることで、作業プロセスがわかりやすくなる

検算用のフレームワーク

  • フレームワークありきで論点を幅だしするというより、ボトムアップで出した論点を整理するために用いる。抜け漏れがないかを確認する

論点を絞り込む

論点は主に4パターン

  1. 議論すべきでない不要の論点→議論に出たらさばく

  2. 議論する必要はないが、確認しておくべき論点→確認だけする

  3. 大事だが、今決められない持ち越しの論点→次回に持ち越し

  4. 議論すべき論点

論点を深める

キー論点について、答えを用意するのではなく、議論を加速するための切り口を用意してから議論に臨む

  • 品質・価格・納期

  • メリット・デメリット

  • 現在・将来

など

論点の地図をメモにする

合意形成のステップである目的の共有から実行プランの確認までに、必要な論点を地図化する。

具体的には、

  • 議論すべき順番

  • 抽象・具体のレベル感

  • 論点の重要度

をまとめ、これに沿って議論する

合意形成のステップ(前提のすり合わせ)

1.議論のスタートとゴールを明確にする

議論のスタートとして、参加者全員の理解がどの程度であるかを把握する。
その際、「いきなりこの話をしても問題ないか?」をしつこく問う。

議論のゴールとして、会議後「何が、どのようになっている必要があるか?」をすり合わせる。

2.参加者の状況を把握する

前ステップでも出たが、参加者の理解度や認識を把握する必要がある。

【前提】
何のための議論か? 議論の背景は? テーマは何か?
議論のベースとなる知識は備わっているか? 情報はあるか?
【進行中】
どこで賛成・反対か? なぜか? 
問題意識・問題特定・原因・打ち手のうち、どれに認識の齟齬があるか?

合意形成のステップ(問題解決)

3.問題意識を明確にする(What)

参加者の中で問題意識がずれるのは、現状認識の違い or あるべき姿のずれ

以下を論点とする。

  • なぜ現状を変えなければいけないのか?

  • いつ・何が・どの程度になれば良いのか?

  • 現状を正しく把握するための情報はあるか?

4.課題の特定(Where)

問題をイシューツリーで分解し、仮説で課題を特定する。
課題仮説に対して、ファクトをもとに検証を行う。
そのほか、観測事実の共通・相違点をもとにセグメントわけするのも有効。

5.原因の追求(Why)

原因追求ツリーで幅だしし、絞り込みと仮説に基づく深掘りを行う。
このとき、参加者の専門性と質問の仕方に注意する。

幅出しのためには、現場をイメージしたり、理想とのギャップを用いる。
絞り込みには、因果関係の強さやインパクトをもとに行う。

6.解決策の立案・評価(How)

主要な論点は以下の通り

  1. どのようなオプションが取りうるか?

  2. どのような評価軸を用いるか?

  3. 想定されるリスクとその対応策は?

7.実行

主要な論点は以下の通り

  1. 実行プランをどうするか?

    1. 納期

    2. 作業項目

    3. アウトプットイメージ

    4. 作業手法

  2. 誰が責任を持つか?

議論中の立ち回り

発言を引き出す

  • 論点や切り口を示す

  • 反対意見を求める

  • イメージさせる:「あなたが顧客なら買いたいと思いますか?」

発言を理解し、論点マッピングに擦り合わせる

  • 何の目的で

  • どの論点について

  • 何を:意見・主張・結論なのか根拠なのか

言っているのか理解する

結論づける

決まったことと決まっていないことを峻別して示す
誰が・いつまでに・何をするのかを明確に共有する

議論がまとまらない場合は、「議論の決め方を決める」条件付きの合意に至る

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