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#26 別離 (2011)

シミンとナデルには11歳になる娘がいた。
妻シミンは娘の教育のために外国へ移住を希望するが、夫ナデルは老いた父のために残ると言う。ある日、ナデルが不在の間に父が意識を失い、怒りで介護人のラジエーを追い出す。
その夜、ラジエーが入院し流産したと知らせが入り、ナデルは殺人罪にかけられる..


思い出すのは冒頭の定点カメラで映す口論、涙ぐましい娘の決断、廊下で別々に待機する夫婦。
登場人物がそれぞれ大切な人を想い、秘密を抱え「嘘」をつく。
しかし、信仰心があるため「嘘」を突き通せない。
その「嘘」が明かされた瞬間、誰かが傷つき、覆せないほどこじれていく。

本作はイランの離婚、介護、格差、信仰、司法の在り方まで触れ、さまざまな問いかけをあぶり出す。

アスガー・ファルハディ監督曰く
「探偵のいない探偵映画のようなもの」とのこと。
考えや答えをあえて示さず、観客に委ねている。
イランというお国柄、表現の自由があまりないが故に身近な問題を扱い、シンプルながら強烈な印象を残す。
この監督の作品は毎回観ますね。


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