見出し画像

文章組手「災害」2000字

 コロナis災害。これもう絶対に。みなさん!元気ですか?飲食店をやっている私はもうボロボロボロボロでござんすよ!コロナ、これね、もう超ヤバイ。悪魔。本当に悪魔。マジでどうにもならんやつ。

 阪神大震災や東日本大震災などの災害は経験してきたけど、コレは初。人類的には割と病原菌の大発生はあるみたいだけど、まさか自分が生きている今、21世紀の今にコレが来ますかって感じですよ。

 自然災害と同じくくりにしてしまって良いのかと思ったけど、飲食店がぶっ潰れまくっている状態や、風前の灯になっている店の話を聞いて「これは災害だ」と感じたのです。それも長期に渡る災害。
 飲食店をやっている身として「飲食店クラスター」の存在も無視できない。何をどこまで予防すれば良いのかもはっきりしない。こんな状態で「ぜひ来てくれ!!!」というのも難しい。
 正直、今はまだ死なない。しかしこれがあと数年続くまたは数年後にもう一発やってくると考えた場合はかなり厳しい。

 さてコロナ、もう色んな人が語る尽くしている&さらに語るネタが降ってくるネタなので私のような一介の飲食店野郎が何か書くことあるかと思っているが、このコロナという災害が飲食店への最強に凄まったダメージになっていると感じたのは

「人が発生原因である」

 これに尽きる。地震や大雨の場合はもうどうしようもなく、自然という共通の問題に向かって人は団結し協力しあう。しかし、人から人に伝染していくコロナってやつはその団結をいとも簡単に粉砕した。「孤立こそ正義」その概念が何よりも尊ばれてしまっている。

 この「孤立」が尊ばれる現状。これが飲食店へのダメージを最大限にしている。いや、だって正直新宿の飲食店でメシや酒をやるのちょっと躊躇するでしょ?しない人はありがとうと言いたいがその後ろには「気をつけて」の言葉も入る。
 人間はあらゆる災害を団結によって超えてきた。自然に比べれば圧倒的に弱い人間だが、団結し知恵を出し合い富を出し合うことで乗り越えてきた。
 だが、コロナの場合はそうはいかない。団結ができない。人と声を出して行動を一つに戦うことができないのはインターネットを見ている皆様ならもう身にしみているだろう。自然災害への対応方法は一つ。耐える。これでなんとかなる部分はある。だが、コロナの場合は多くの専門家やインターネット山師がどんどんめちゃくちゃなことや新しい対処などを発言して己の存在を誇示しようとしている。
 そして人は自分の信じたい物を信じて信じられない言説を信じている人を思い切り攻撃する。そうすると孤立が対立になる。孤立ならば孤立同士が近づいた時に手を取り合うことができる。だが、対立になるとそうもいかない。戦争がはじまる。

 災害が起こると局所的に略奪などが起こるのはしょうがない。なぜならそうしないと死ぬ人が出てくるからだ。しかし、コロナでの争いは通常の災害とは違う。「生きるため」よりも「自らの正しさ」を賭けた戦いになっている。だからこそ勝負はつかないし、落とし所がない。どちらかが完全敗北し、より強い怨念を生み出すまでやりあう。さらにこれを直接やってくれたら良いのにインターネットなどを介してやるものだから止まらない。お互いが見えない状態のブレーキぶっ壊れモードのままなぐりあい、傍観者は石を投げ、あっという間に世界地図が血の色になる。

 アフターコロナ、ウィズコロナなんて言葉が出てきているが、それはこの災害と一緒に生きていくというより「人々の戦いを丁度いい距離で見つめる」ものになるのではないか。いや、ただの飲食店野郎がこんなことを考えてはいけない。ただただ毎日の売上をにらみ、今後をどうしていくのかなどの建設的な考えを持たねばならない。
 だが、その考えを次から次に打ち壊すのがこの災害の一番の恐怖。何をどう対策し、行動しても「その方針」を良しとする人以外には伝わらないし、いきなり多くの人と敵対してしまうかもしれない。

 災害が終わるのは「忘れ去られたころ」になった時だ。なぜ忘れられるか?対策ができ、保証が終わり、新しい生活に対して必死に抗う毎日がはじまるからだ。新たな喧騒がはじまれば大抵の思い出は倉庫でホコリを被ることになる。だが、この災害だけはそうはいかない。大都市で、海の向こうで、山の中で、盛り場で、夢の中で、つねに狙撃銃を構えて我々を狙い続ける。ワクチンができればそれも通過できるだろうがしばらくは無理だ。
 銃口を向けられ、いつ火が吹くかわからない状態。他人が撃たれたら他人が誰かを知らぬ間に撃ち抜く魔法の銃。それを意識しないで済む日はくるのだろうか。

 私はただただお客様に喜んでもらえる料理を作り、不安を鍋底に隠して笑顔でかき混ぜる。そうすることが今の精一杯なのだ。なんの解決にもならない路傍で冷や汗を背に感じながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?