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「スコップひとつで動き出す、めぐる水講座」はじめに

リバーカヤックをはじめて30年あまりになる。
山と川の関係は、なんとなく感じていた。
山の健全がなくなると、川の状況が悪化するなぁと。


大地の再生講座と林業の作業道

7年前の4月、矢野智徳さんの「大地の再生講座」に出会った。
岐阜県美濃市で古民家ゲストハウス「陽がほら」をやっているカヤックの友人、宇城さんから声をかけていただいたのがきっかけ。

https://higahora.com/

講座は、毎月二日間、5か月連続で開催されたイベントだった。

矢野さんの、
「マクロはミクロ」
「移植ゴテと鋸ガマでできる環境改善」
庭先でやった作業が山や流域全体を変えていける。
明快でわかりやすいメッセージが込められていた。

教わったことを家の庭先でさっそく試してみると、1週間ほどで目に見えて効果が出た。
ジュクジュクしたかんじがなくなり、からっとした雰囲気に。
うっそうとした場所の風通しがよくなる。
それがおもしろくて、毎月、東京のはずれから岐阜まで通い続けた。

当時は矢野さんが精力的に講座を開いていたこともあって、参加したことがあるひとが周りにもたくさんいた。
でも、効果を感じられないひともけっこういた。
今から考えると、「流れ」が理解できてなかったからじゃないかと思う。

大地の再生講座との出会いと同時期に、林業で使う山の道作りについても学ぶ機会があった。
間伐した木を山から運び出すには、山の一部に「作業道」と呼ばれる道をつける。崩れにくく安定した道を作るには、目には見えない土の中の水の動きを読み取ることがとても重要なのだ。

ずっと流れのことを考えてきた

大地の再生講座も、山林の作業道も、漠然としてわかりづらいのが、「地形を読む」「川にならう」のように感じた。
川にならうのは、わたしの得意技だ。リバーカヤックを30年以上教えてきて、流れについて日々考えてきたから。
リバーカヤックを思い通りに動かすには、水の動きがわかっていないとはじまらない。水がどう動いているのか、その動きに乗るのかそるのか、瞬時に感じ取って判断する。

水面下の水の動きがわかってこそ、リバーカヤックは流れの力に手助けしてもらいながら動かせるようになる。水の流れに逆らっては、ボートを動かせない。自然の力はとても大きくて、腕力ではたちうちできないから。ボートのどの部分に水の流れを受けて押してもらうのか、逆に押されないように受け流すのか。

土中の水の動きも水面下の水のうごきによく似ている。硬い障害物があると、堰き止められたり、流れが弱まったり、集まったりする。

土中の環境改善も、林業の作業道づくりにも大事な水の流れ。
「流れ」についてわかると、土中環境改善を考える助けになると思う。

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