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2023 12月号 コラム 医療者から見た医療ドラマ #3

皆様こんにちは。
気が付けば年末、今年も終わりですね~。
一年間いかがでしたでしょうか?良いことも悪いことも沢山あったと思いますが、巡り巡って未来の幸せにつながることを願っております。

またしても御好評につき「医療者から見た医療ドラマ」調子に乗って第3弾いかせていただきます。

今回はついにきました、個人的好きな医療ドラマランキング2位の「医龍4」です。
「医龍 -Team Medical Dragon-」シリーズの主人公である天才外科医、朝田龍太郎(坂口憲二)は非常に高度な手術技術を持ち、特に「バチスタ手術」などの難易度の高い心臓手術を得意としています。
シリーズを通じて、朝田は心臓外科医の加藤(稲森いずみ)、若手の伊集院(小池徹平)、麻酔科医の荒瀬(阿部サダヲ)、循環器内科医の藤吉(佐々木蔵之介)、看護師のミキ(水川あさみ)らと仲間になり最強の医療チーム「チームドラゴン」と呼ばれるようになります。チームドラゴンは様々な難病や複雑な症例を医療技術とチームワークで立ち向かい奇跡を起こしていきます。
各シリーズの終わりにはチームドラゴンのメンバーはそれぞれの道を歩んでいくのですが、次のシリーズではまた再結成され、ストーリーが展開していきます。中でも私が最も好きなのは第4シリーズの「医龍4」です。
朝田龍太郎の天才的な手術手技は、若手の頃に大学病院を辞め路頭に迷う朝田を桜井病院院長である桜井修三先生(平幹次郎)が引き入れ指導したことで開花し、桜井病院ではかつて朝田、桜井院長、手術看護師の猪原さん(キムラ緑子)との連携で毎日のようにどんな治療が一番良いかを議論し、皆でビジョンを共有し奇跡的な手術を行い、いわば桜井病院は天才外科医、朝田龍太郎が誕生した場所です。しかし、長い年月が過ぎ、運営する桜井病院は老朽化し、桜井院長も高齢となり体力的に厳しい状況になっていました。
そして、近隣には敏腕医療コンサルタント岡村(高橋克典)が手がけるL &P病院が誕生し、そこは大学病院をもしのぐ超ハイテクな機器、VIP専用の部屋、大量の人員が整備されています。患者さんはみなL&P病院に行くようになり、桜井病院の経営状態は追い打ちをかけられます。朝田は恩師である桜井先生のピンチに恩返しをしようと桜井病院に戻ることになります。かつての修行時代のようなチームワークで桜井先生や猪原さんと理想の医療を繰り広げる日々を送っていましたが、桜井先生の体調も悪化してきており、行く先を考え、朝田は「チームドラゴンの仲間達に一人一人会いに行き、「桜井病院で理想の医療をしよう」と誘い再結成しボロボロの病院の中で奇跡のような理想の医療を展開していきます。
一方でL &P病院は施設や環境は立派ですが、肝心の医師をはじめとした医療スタッフの能力や連携はイマイチで、医療コンサルタントの岡村もまた理想の医療を実現するためには名医が必要と考え、朝田龍太郎とその仲間であるチームドラゴンをL&P病院にスカウトし、様々な手を使ってチームドラゴンのメンバー達が一人、また一人とL&P病院に引き抜かれていきます。朝田は桜井病院で一人奮闘することになるのですが、体調不良が続いていた桜井先生に脳動脈瘤および弓部大動脈瘤が見つかり、両方とも超高難度ですが同時に手術をしなければ助からない状況でした。その手術を実現するには超凄腕の脳外科医が必要であり、さらに設備的にも桜井病院で救う事は不可能。この手術が出来る脳外科医探しに難航しますが、実はコンサルタントの岡村自身が最高レベルの脳外科医だったのです。L&P病院へ転院し、岡村と共に脳動脈瘤および弓部大動脈瘤の同時手術に挑み成功させます。朝田はふたたび桜井病院へ戻り、院長となり理想の医療を追いかけていきます。

私が思う医療の問題点と「理想の医療をどうやって追いかけるか?」を深く考えさせてくれる作品でした。
朝田龍太郎から度々出てくる「医療はチーム」という言葉があり、これがシンプルかつ本質をとらえた言葉なのですが、「医療はチーム」という言葉をうわべではどの医療者も聞いたことがあると思いますが、心の底からそう思えている人は多くはないのではないでしょうか?
私は「医龍」シリーズを見てことがきっかけで、2年くらいかけて本当の意味での「チーム医療」の大切さ心の底から理解できるようになりました。私にそんな気付きを与えてくれ、大きなターニングポイントとなったこのドラマを医師視点で解説いたします。

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