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兵庫県豊岡市の出石へ

観光庁の歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業の一環として、兵庫県富岡市の出石に行ってきました。

国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されている出石城下町は、観光業の成長に繋がる可能性をたくさん秘めていますが、いくつか向き合うべき課題があるようです。

歴史的建造物や文化遺産があるにもかかわらず、この地域は鉄道の環境が整っておらず、バスや車でしか行く事ができません。特に海外からの観光客にとってアクセスのしやすさは重要です。

バスや車で30分ほど走った先には城崎町の城崎温泉があり、そのエリアには宿泊施設が数多く見られます。温泉文化を楽しみたい人にとっては、滞在する価値が大いにあるでしょう。

豊岡市には興味深い歴史的造物や小さな居酒屋がいくつかあり、有名な豊岡鞄などのクリエイティブ産業(知的財産権を有した創造産業)もありますが、観光地としてはあまり知られていません。
出石にも、近隣にもっと宿泊施設を設ける必要性を感じます。ここに大きな問題があると思うのです。皮肉なことに、唯一の高層ビルであるホテルでさえ、老人ホームに作り変えられています。それでも今もホテルの看板が掲げられていているというこの状況が、新たな宿泊施設の開発が緊急に必要であることを物語っています。今、日本の地方旅館の多くが抱えている問題に、人口の高齢化とスタッフ不足が顕著な現象として起こっていることがあげらます。

現在、マスツーリズム、特に台湾からの団体ツアーに焦点が当てられていますが、ここには落とし穴があります。多くの地元企業は依然としてバスツアーを好んでおり、主に出石そばを食べるために大人数のグループを引き連れていますが、個人旅行にシフトすることで、より持続可能で充実した体験を観光客に提供できます。有名な出石そば以外にも、地酒、工芸品、スピリチュアルな体験等、観光客にとって魅力的なものがここにはあるはずです。

臨済大徳寺派の寺院である宗鏡寺は、有名な僧侶である沢庵宗彭がかつて住職を務めていた場所だと言われています。沢庵は、彼の名前にちなんだ漬物「たくあん」や、仏教哲学と武術に関する論文「不動智神妙録(英文版:ウィリアム・スコット・ウィルソン訳)」が有名です。また、剣豪の柳生宗厳との書簡など、数多くの作品を残しました。

愛犬の死に深く心を傷めた現住職は、14歳で出家して京都の東大寺で修行を積み、6年ほど前に豊岡に移住してきました。小さいながらも風光明媚なこのお寺は、坐禅、茶道、寺院建設の支援、さらには精神を磨くことに真剣に取り組む人のための宿泊も提供しています。

この地域は、今の東アジアからの家族旅行、特に車で旅行する人々に対して、まだ十分にポテンシャルを活かしきれていません。状態の良い歌舞伎ホールのようなユニークな場所を地元のイベントとして活用し、課題に取り組んでいくことで、より多くの観光客を誘致できると思います。

総括して言えることは、出石は、文化的な資産があり、注目すべき観光地になる可能性を秘めていますが、アクセスしにくい環境、宿泊施設不足、団体旅行への依存といった問題に対処する必要がある。そして個人旅行を重視することで、マーケティング戦略を強化し、ユニークな文化体験を開発していくことが重要なステップになる、ということです。


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