#2 科学的トレーニングは完璧ではない

古い部活や野球でいう走り込みを代表とされる経験論のアンチテーゼとして科学的手法で有効性を検討した方法(科学的トレーニング)がある。最近では科学論文を引用し、特定のアプローチを推奨する人もいる(ユーチューブとかで)。

私は、論文での発見や実験を元にしたアプローチには限界や注意すべき落とし穴が沢山あると考えている。そこで、研究結果と経験のどちらも批判的、科学的メンタリティで見つめ、常に学習・進化させていく、Continuous Learning-based Training (継続学習的トレーニング)を提案したいと思う。

私が考える科学的トレーニングのデメリットについて下記の通り:
1. 実験条件、境界設定の難しさ
2. パフォーマンス向上と怪我の関係性
3. トレーニングの長期的効果
4. 科学的トレーニングは最新ではない

フィットネスパフォーマンスは、パワー、持久性、スキル、スピード、体調、食事など複数のパラメーターで構成されており、実験条件を揃えるのか難しい。短期のパフォーマンス向上に繋がったとしても、長期的にプラトーを向かえたり、怪我や疲労蓄積など長期的なパフォーマンス向上維持を犠牲にしている場合も多々ある(タバタプロトコル、HIITなどはその危険性が高いのではないかと思っている)。更に科学的根拠を実験によって検証し、その効果を立証するには当然ある程度の時間がかかる。つまり、科学的トレーニングはある意味"古い"トレニーングで構成されている。これは別に悪いことでは無いし、最新トレーニングが良いという訳では決してない(逆の場合も多々ある)。ただ科学的根拠というのも、ある実験条件、境界設定上、その効果が暫定的に認められたbeta versionというように捉えるのが良いと思う。

例えばタバタトレーニングは、VO2 maxが長距離ジョギングと同程度の向上が認められたことから、トレンディなトレニーングとなったと思う。しかし、鍛錬された長距離ランナーの間でVO2maxは持久力のdetermining factorではなかったし、tabata protocolではないが、HIITだけで行っていたザトペックはタイムの短縮がプラトーに達し、早くに引退してしまった。

人間のパフォーマンスはそもそも変数が多いので、Xが上がったからY能力が上がる、というような単純な考え方では思わぬ落とし穴があるのだろう。実際それまで信じられていたトレーニングが新たな検討の結果そこまで求めていた効果を有していない、或いは逆効果があることが新たに発見されるケースもあるだろう。そもそも科学実験を行うのも人間だということも忘れていはいけない。もしナイキが研究のサポートしたとしたら、自社のシューズのネガティブな効果など公表するだろうか?そういった意味で、パフォーマンス向上にはまだまだ、グレーゾーンやArtisticな面があるの間違いない。

このような"最適解は分からないけど、それっぽいものは検討がつくかもしれないし、試してみたらもっと分かってくるかもしれない"ケースでは、科学的アプローチと経験を組み合わたContinuous Learning-based Trainingが良いのでないかと思い、実践している。


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