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因果ループ:失敗から学習できないのはなぜか?

典型的な失敗の対応:責任追求と再発防止徹底

少し前のニュースだが、国交省が統計データの書き換え指示で二重計上を行っていたことが発覚した。これを受け国交相は事実関係認め陳謝し、松野官房長官「説明責任果たし再発防止徹底を指示」した。野党は悪意や故意の可能性を指摘し、厳しく追及するとしている。

このような1)失敗の発覚、2)責任追求、3)再発防止徹底を繰り返しているはずなのに、特定の領域では失敗が繰り返し生じ、状況が良くなっているように思えない。なぜだろうか?

失敗からの学習については下記リンクにある「失敗の科学」が明瞭に分析している。ここではそこから学びをもとに私が作成した因果ループを紹介し、システムとしてグラフィックに紹介したいと思う。

失敗から学習できなシステム

まず失敗から学習でできないシステム・組織の因果ループ図を紹介する。

失敗が繰り返される悪循環

国交省のニュースでもある通り、失敗が発覚すると厳しい責任追求が行われることが多い。この厳しい責任追求は我々の失敗に対する2つのマインドセット「他人の失敗:原因の単純化、魔女狩り」「自分の失敗:失敗に対するネガティブな考え、恥(Fixed Mindset)」に由来していると「失敗の科学」は指摘している。

そうすと失敗や責任追求に対する恐怖心、認知的不協和から失敗の隠蔽や失敗を他責にするケースに支配されるようになる。そうすることによって失敗からの学習機会が失われ、水面下では失敗は繰り返され、状況は改善することなく、いつの日か大きな問題となって発覚する。

つまり世間で当然のように繰り返し行われている失敗発覚後の責任追求、再発防止徹底はこのようにシステム思考的に考えると全く有効で無いどころから、逆に失敗からの学習を妨げ、状況の悪化に繋がっていることが示唆される。

失敗から学習するためのシステム変革はあなた自身から

では失敗から学習する組織・システムはどうなっているのか?

失敗から学習する好循環

本質的な違いは自分、そして他人の失敗に対するマインドセットである。まず自分の失敗について「恥」「自分の価値を低下させる要因」ではなく、「貴重な学習機会」「自己成長の糧(Growth Mindset)」とポジティブに捉えていること。そして他人の失敗やその事象について単純化・他責化(e.g. あいつのせい)せず、その「背後にあるパターンに目を向ける複雑性の視点」をもつこと(複雑性についてはこちらの記事を参照)。このマインドセットを自分、そして周りが持つことによって失敗は責任を追求すべき悪しき対象から、学びの機会となり、状況が改善していく好循環が生まれる。

勿論ミスを予防するようなシステム設計も大事だが、効果的なシステム設計、対策を考案するにも失敗を生み出すパターンの特定と学習機会を最大化することが必要であろう。そのためにも私たちはまず失敗に対するマインドセット、捉え方を先ず変革する必要がある。

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