草野球少佐　＃1

諸君　私は草野球が好きだ
諸君　私は草野球が好きだ
諸君　私は草野球が大好きだ

延長戦が好きだ
投手戦が好きだ
打撃戦が好きだ
私設リーグが好きだ
練習試合が好きだ
決勝戦が好きだ
早朝戦が好きだ
日中戦が好きだ
夜間戦が好きだ

公園で　球場で
河川敷で　学校で
多目的グラウンドで　総合公園で
都立公園で　区民グラウンドで
健保で　プロスタで

この地上で行われるありとあらゆる草野球試合が大好きだ

雁首を並べたおっさんの掛け声が生活音と共に周囲の音を吹き飛ばすのが好きだ

空中高く打ち上げられたフライが舞ってる風で落下地点がずれた時など心がおどる

おっさんピッチャーの操るカーブを見た事のない若手打者が空振り三振をして首を傾げる姿を見るのが好きだ

悲鳴を上げている右腕から繰り出される棒球がここぞとばかりに打ち込まれる時など、胸がすくような気持ちだった

若手を揃えた敵のチームが戦力の整わないこちらを蹂躙するのが好きだ

既に息絶えたの敵軍に、空気を読まずに何度も何度も盗塁する様など感動すら覚える

外角一辺倒のキャッチャーのサインを無視してインコースで三振を奪う様などはもうたまらない

スランプで苦しむ打者達が監督の下したエンドランのサインに空振りをして味方走者がばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ

哀れな格下チームがその場で作ったチームワークで健気にも立ち上がってきたのを、ビヨンドのレガシーが相手チームのやる気毎木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

若手のチームに滅茶苦茶にされるのが好きだ

必死に守るはずだったチームの順位が蹂躙され投手が何人も変わっていく様はとてもとても悲しいものだ

強烈なプレッシャーに押し潰されて殲滅されるのが好きだ

勢いのある若手チームに追いまわされ害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ

諸君　私は草野球を
地獄の様な草野球を望んでいる

諸君　私に付き従うチームメイト諸君

君達は一体何を望んでいる?

更なる野球を望むか?
情け容赦のない糞の様な野球を望むか?

鉄風雷火の限りを尽くし
三千世界の鴉を殺す嵐の様な試合を望むか?

　　ｸﾘｰｸ　　　　ｸﾘｰｸ　　　　ｸﾘｰｸ
　＼関草！／　＼GBN！／　＼ストロング！／

よろしい　ならば草やきうだ

我々は二日酔いの力をこめて今まさに嘔吐しようとしながら動く草やきう馬鹿だ

だがこの暗いコロナの底で何か月もの間堪え続けて来た我々にただの野球ではもはや足りない!!

草野球を!!

一心不乱の草野球を!!

我らはわずかに一個のチーム
連敗中の弱小チームにすぎない

だが諸君は経験に裏打ちされたの古強者だと私は信仰している

ならば我らは諸君と私で強豪にも勝てる軍集団となろう

我々を忘却の彼方へと追いやり余裕こいている連中を叩き起こそう

チャンスは前髪で掴みエース投手を引きずり降ろし思い出させよう

若手に恐怖の味を思い出させてやる

若手に我々の嘔吐の音を思い出させてやる

現代と近代野球のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事がある事を思い出させてやる

昭和50年代生まれのオッサン達の底力で世界を燃やし尽くしてやる

さあ諸君、やきうの時間だ