髙島屋 2022-1Q決算分析
経営戦略の勉強やIRの勉強のため、TD Netから他社の適時開示情報を見て日々勉強しています。
そんな中から、今日は、髙島屋が6月25日に発表した1Q決算についての個人的な感想を書き記します。
決算説明資料は、ほぼデータシート
僕は、決算説明資料を開示している企業しか分析対象にしていません。
決算説明資料は、投資家や社外に向けて、その企業がやろうとしていることをどれだけ丁寧に説明しようとしているかが表現されます。
髙島屋の決算説明資料は、残念ながら、ただのデータシートの様な印象を受けました。
決算説明資料の目次
1 連結業績(全体業績)
2 国内百貨店業績(売上)
3 国内百貨店販管費(コスト)
4 国内グループ事業
5 海外事業
6 連結業績計画
という流れになっていて、非常にシンプルです。
僕は、数字とともに、その背景にあるストーリーや、何がトピックなのかを伝えようとしている決算説明資料が好きです。
髙島屋の決算説明資料は、ヘッドラインの文章が端的で分かりやすいのは良い所ですが、もう少しその背景を知りたいと思うのです。
決算短信は割と詳しく記載されている
決算説明資料を見ると、「コスト構造改革は順調に進捗」というフレーズが唐突に出てきます。
コスト構造改革って、どんなことをしようとしているのでしょう?
決算短信を読むと、
「コスト構造改革においては、安定的に利益を創出できる仕組みへと転換すべく、生産性向上とともに適正な要員体制の構築や外部委託作業の内製化などの営業費削減に取り組みました」
と記載されています。
「安定的に利益を創出できる仕組み」とは、固定費の削減に取組んでいるのかな、と想像できます。売上が減少しても利益が出せる方が安定的に利益が出せますので、外部環境にかかわらず利益を出せるようにするためには固定費を削減するのは常套手段です。
ただし、痛し痒しなのが、一般的には、固定費を削減すると変動費が上がります。つまり単価当たりの利益率は低くなります。
単純な例でご説明すると、高級なホテルでコーヒーを頼むと1杯1000円くらいします。
これは固定費として建物やテーブルやソファなどの固定資産に投資し、優雅なひと時を過ごせる様にするためにコストを掛けているということです。一方で、コンビニやチェーン店で展開されているコーヒーは100円〜300円位の価格帯で展開されています。ホテルに比較すると固定資産に投資していない分、販売単価が安いことは明らかです。
では、何をしようとしているのかと言うと、恐らく人員整理です。
人件費の削減で固定費を減らし、利益を出しやすくしたいということなのでしょうか。その為、DX投資はする。と言うことでしょうか?
一方で、「外部委託の内製化」もテーマにされており、これは相反するテーマです。内製化するためには、そのスキルを持った人員を社内に抱える必要があり、固定費が上がることを意味します。
目指すはもっと効率的な経営!?
百貨店の業種から想像すると、国内での成長戦略には限界があるように思います。そこで細かなコスト構造に着目し、一つひとつ精査しながら余分なコストを削減することで利益率を高めようとする姿勢が伺えます。
長く事業を続けていますと、人も異動し、誰が何の目的で始めたのか、経緯が分からなくなってしまう慣習があったりします。
おそらく、そういった事象に着目し、余分なコストの削ぎ落としをしようとしているのだと思います。
コスト削減には限界がある
ただし、CFOとして私が思うのは、コスト削減には限界があるということです。コストを削減して利益を出すのは優秀なビジネスパーソンと社内調整力のある人であれば、それほど難しいことではありません。
と僕は思います。
一番難しいのは成長戦略です。お金を使って事業を成長させるのは正解がなく、とてもリスクの高いチャレンジです。
高島屋ほど歴史があって人数が多いと、コスト削減一つとっても、大変な仕事だとは思うのですが、難易度で言うと、事業を成長させることの方が高いと思うのです。(生意気言ってすいません。。。)
決算説明資料をもっと充実させてほしい
今回、髙島屋の決算短信と決算説明資料を拝見して思ったのは、決算説明資料の充実をもっとして欲しいと言うことです。
機関投資家は、1on1で、個別ヒアリングができるので、直接細かい分析をすることができます。でも、個人投資家はそんなことできません。
決算説明資料で分かりやすく説明されている方が、理解しやすいと思います。せっかく様々な取組みをされているので、丁寧に説明されるともっと良いのにな、と思いました。
最後に、当社の最新の決算説明の状況はこちらです。是非ご参考ください。
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