広告代理店不要論
久しぶりの連投で肩を壊すかもしれませんが、先日甲子園の元祖アイドル太田幸司さんと食事したときに連投した方が力が抜けていい投球になると仰っていました。甲子園の決勝を二日間で27イニング投げた方の説得力は半端ありませんね。さて、今日は死にゆく広告代理店についてお話したいと思います。
広告市場は6兆を超える
広告業界は現在市場規模は6兆にのぼります。ここに各社群がっているわけです。年々広告市場が伸びていることを考えるとチャンスはあるともいえます。弊社は零細企業です。会社を立ち上げてから9年間、知ってもらう活動だったり、誠意をもって取り組んでいます。新しいサービスを開発しPRする。もちろん宣伝費はそんなには使えないのでPRはアナログを駆使した会合だったり、テレアポで紹介するというのが効率良いわけです。しかし、いろんな矛盾に気づき始めます。
広告代理店は電通だけでいい
身も蓋もない結論から言いますと、広告代理店は電通だけでいいということになります。それは何故か?外国では一社一アカウントが主流です。これは同業他社が同じ広告代理店に発注しないというルールがあります。まぁ至極当然の話です。ですが、実際日本ではどうでしょうか?アサヒビールもキリンビールもサントリーもぜーんぶ電通を使っています。日本の広告代理店はアカウント局という言い訳を使って局が違うと別会社です。ということで各社へ配慮しているということです。それはそれで各社が電通を使う理由にはなりませんよね。どこかが電通を使うのを辞めればいいわけで。しかしながらできない事情があるのです。電通にあって他社にはない圧倒的な力があることを企業が知っているからです。オリンピックもワールドカップも電通が仕切っています。ナンバー2の博報堂は侍ジャパンと箱根駅伝、ナンバー3のADKはドラえもんくらいでしょうか。つまり電通に頼まないとできないことがたくさんあります。わたしは電通グループと博報堂グループどちらにも在籍した経験があります。やはりこの差の開きは数字以上にかなりあります。自分が広告代理店を使う立場ならメインで使うなら電通だとわたしは思いますね。残念ながら他社は電通を働かせるための当て馬でしかないのです。
現在の広告代理店事情
広告代理店は種類がたくさんあります。全部細かな話をすると長くなるので電通のような総合広告代理店とサイバーエージェントのようなウェブ広告代理店の二つの勢力についてお話します。総合広告代理店は企業コミュニケーションのコンサルティング会社です。企業の戦略に合わせて、企業のIR、PR、マーケティングなど全ての発信に関するマネジメントとプロデュースをする会社です。わかりやすくいうと市場における商品とその企業のもつ個性や価値を高めるために考えてくれる会社です。一方でウェブ広告代理店はその名の通りウェブマーケティングやウェブを活用したダイレクトレスポンスに特化している会社です。同じ広告代理店という名前でも全く領域が違います。またロジックが違うのでどちらが正しいとも言えません。ここから二つの広告代理店がこれから必要がなくなっていくことをご説明します。
総合広告代理店の落とし穴
タイトルとは全く異なる話から入りますが、電通は本当に凄い企業です。電通は永続していく企業であるとそこは確信できます。しかし日本国内で未来があるという話は全く別です。大手企業にとって広告は命です。テレビCMを必要とする会社にとっては電通は欠かせない存在です。それはメディアとのリレーションに隙がないからです。では無数にある広告代理店はどうでしょうか。電通を働かせるための当て馬である広告代理店は先行きがありません。これはマスメディアの広告の役割と期待度が薄くなってきているからです。これからの時代はマスメディアを活用した広告はターゲット年齢が高い商品やサービス以外は不要となります。極端な例ですが、zozoの前社長の前澤さんが10億キャンペーンを実施しました。10億という金額は大きく感じるでしょう。しかし、広告の世界では10億の予算ですと全国キャンペーンを2週間行えば使い切れるぐらいの予算でしかないのです。前澤さんの実験の意図はまだわかりませんが、少なくとも10億のテレビCMをするより、Twitterで10億ばらまく方が振り向いてもらえることができ効率がいいのです。となるとキャンペーンの設計がしっかりしていれば今や広告を使う必要はなく、誰でもタダで利用できるSNSなどのツールを利用した方が効率的なのは間違いありません。しかし、これは若年層に限りますがワイドショーで取り上げてもらうことで拡がりは期待できます。テレビCMでモノが売れる時代は終わったのです。テレビCMでモノが売れたというと「スイッチのリングフィット」が記憶に新しいと思います。しかし、任天堂という企業の開発力は素晴らしいものでおそらくリングフィットはテレビCMをやらずとも売れたと考えます。ではなぜテレビCMをやったのでしょうか。その理由としては消費者、流通、生産を同時に集約するためにテレビCMをやったと考えられます。わかりやすくいうと一度に作って、一度に流通に流して、一度に買いに行ってもらうことは効率が良いのです。つまり市場の効率を上げるためのテレビCMでしかないのです。
ウェブ広告代理店の弱み
では一方でウェブ広告代理店についてお話します。以前した話と重複する部分もあると思いますが、ウェブ広告代理店の考え方には無理があります。KPIやKGIという指標を用いて「運用する広告代理店」というサービスを提供しています。電通がやりたくない非効率なウェブ広告をサポートしてくれるクライアントにとっては嬉しいサービスです。しかしながら近年クライアントが内製化してきています。これをインハウスといいますが、ウェブ広告の中でもYahoo!やGoogle、Facebookなどはカード決済が可能であり、広告代理店を使う必要はありません。またウェブ広告代理店は月額予算に縛りがあります。全てではありませんが30万以上じゃなければキーワード広告の運用はしてくれませんし、他のメニューにも最低料金の縛りがあります。また月額500万の予算を貰えないクライアントは切ることもします。またウェブ広告代理店の提案するロジックは無理があります。ダイレクトレスポンス領域には欠かせないウェブ広告ですが、コミュニケーションやブランド創りの考え方が破綻しています。ウェブ広告だけでブランド創りは絶対無理であるにも関わらずブランド広告というネーミングを使い、誤魔化しています。ブランド創りには企業姿勢や従業員と個性を重んじる必要があり、企業のコミュニケーションの大切さを軽んじている傾向があるのです。
広告代理店はもはや不要
広告代理店事業も行っている弊社としても近年活躍できる場が激減していると実感しています。総合広告代理店の考え方を持つウェブ領域をプロデュースできるチカラを強みとし、今後歩んでいく覚悟をしています。またクライアントのインハウス化をサポートする役目などもサービス領域として行っていくべきかの迷いがあります。6兆もの市場があるもののどんどんプレイヤーが増えています。淘汰される時代が来るのであろう。広告代理店で従事される方々にとってこの数年が勝負の年になるだろう。