【所得税改正】今年からあなたの副業収入が事業所得から雑所得に変わるかもしれません

 所得税基本通達35-2が改正され、事業所得と雑所得の区分について金額基準が規定されました。当該金額基準に抵触した場合、直ちに事業所得が雑所得に変更となる訳ではありませんが『個別に判断』が必要となります。
 具体的には、事業所得が過去3年間概ね、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、事業所得とは認められなくなり、雑所得となる可能性があります。この場合、事業所得に認められている青色申告特別控除・青色事業専従者給与などが適用できません。

所得税基本通達35-2の改正内容

 以下に、所得税基本通達35-2の(注)を抜粋する。

(注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。

なお、以下が括弧書きで分かりにくいので、括弧書き別出しの文章とすると下記となる。
 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合には、業務に係る雑所得に該当することに留意する。しかし、その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合は雑所得でなく、事業所得となる。

 事業所得に該当するかどうかは『個別に判断』することになる。判断基準は過去の判例によると下記を総合的に勘案して行うとしている。

①営利性・有償性の有無
②継続性・反復性の有無
③自己の危険と計算における企画遂行性の有無
④その取引に費やした精神的あるいは肉体的労力の程度
⑤人的・物的設備の有無
⑥その取引の目的
⑦その者の職歴・社会的地位・生活状況

 当てはまるものが多いほど、事業性があると言える。当てはまるものが少ないと事業性が低いと言える。抽象的な要件が多い中で今回の金額基準が規定されたことにより、金額基準での判定が重要性を持つものと考えている。
   
 また、所得税基本通達35-2の「解説」に記載される下記2つの規程に抵触し、副業による所得が①「僅少と認められる場合」②「営利性が認められない場合」は雑所得として確定申告する検討が必要となる。
 なお②の規定は従来、事業所得を赤字とし、給与所得と相殺することで課税所得を不当に少なくする事業者がいたため作成された規定である。

 ①僅少と認められる場合
 その所得の収入金額が僅少と認められる場合例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。

②営利性が認められない場合
 その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、 「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます 。
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは 所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

 ここで、読者の中には、個人事業のみを営んでおり、収入が300万円であるが、事業所得でなく雑所得になってしまうのか?と思った方もいるかもしれない。しかし、所得税基本通達35-2により事業所得から雑所得に所得区分の変更が必要になるのは、副業収入のみである。よって、個人事業専業で収入が300万円以下でも事業性が認められれば、事業所得となる。

まとめ

 所得税基本通達35-2における、事業所得・雑所得の判定は下記に従い行われる。拡大して参照してください。

上記は、事業所得の事業性に問題が無い事を前提としている。

当該記事についてご不明な点は下記ホームページ無料相談からお問い合わせください。


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