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その曲の指定席

アルバムが各国それぞれの編集で発売されてた頃、その国それぞれの曲順で親しんでたと思う。そしてそれが、最初の出会いならそれが基準となる。

例えば、ビートルズ。日本盤は独自の選曲。アメリカ盤もそう。英国盤オリジナルなんて新宿レコードで眺めるのが精一杯だった。

僕は安いアメリカ盤を買っていた。だって70年代中頃、1,600円とかだったもん。”Meet The Beatles”、一曲目は”I Want To Hold Your Hand”。”One, Two, Three, Four!!!!”で飛び出して来る”I Saw Her Standing There”が、2曲目。で、その次が、”This Boy”。”I Want To Hold Your Hand”のB面。そしてその次が英国のセカンド・アルバムの一曲目の”It Won’t Be Long”。もうなにがなんだかと言う感じだけど、その順番でインプットされてしまう。一曲終わると次はあれだな、と曲が始まる前に頭の中で曲が鳴り出す。アナログ盤の場合、曲間に次の曲が聞こえることがあるから、ほら来たぞ!と言う感じだね。

ビートルズの英国盤は実は日本でも早くから発売されてた。来日記念盤「ステレオ!これがビートルズ!」Vol.1と2である。でもジャケだけでなく、曲順はまったく違う。如何にも日本盤と言う感じのデザインとつくりで、よく見れば”With The Beatles”とか書いてあるのに、分からなかった。ダサいと思ってたから買わなかった。今となれば欲しいけど(苦笑)。

銀座ハンターで、安かったからVeeJay盤を買った。一曲目”I  Saw Her Standing There”…!あれ?なんだよ”FOUR!!!!!”から始まるの!?あり得ない!(苦笑)。

これはストーンズも同じ。英国盤はすごい高かったし買えなかった。なので、米国盤だ。”England's Newest Hit Makers The Rolling Stones”、一曲目は”Not Fade Away”。”Route 66”の指定席は2曲目だ。それが、実はその曲が英国ではデビューアルバムの一曲目だと知るのはずっと後。だとすると、ぜんぜんアルバムのイメージ違うじゃない。そうなんだ英国盤、欲しい!と思った。バンド名も書いてないジャケはやはり”Route 66”で始まるのが相応しい。でも、僕の頭の中では席はすでに2曲目に決まってた。最初に親しんだLPの曲順がやっぱ絶対的な基準になる。そう、曲には指定席があるんだ。

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