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憧れの酒飲み像

たぶん酒を飲み始めてまだ間もない頃の話。

当時大学生だった俺は、何の折だったか家族で浅草寺に参拝に出かけ、帰りに老舗蕎麦屋「並木藪蕎麦」さんで食事をした。

両親は酒飲むときにいろんなおつまみある状況が好きで、俺もそんな環境で育ったからいわゆる蕎麦前と言われるアテ(板わさや鴨焼き)をいくつか頼んでビールや覚えたての日本酒を楽しんでたんだけど、並木藪さんは座敷の長テーブルだった場合は相席や隣のお客さんが近くに座るのは当たり前という環境。家族で飲んでる横に来たのが一人の男性。おそらく当時27〜8くらいかな?

頭に白タオル巻いて少し汚れのついた作業着着てたから、たぶん浅草付近の現場であった仕事が終わったところだったのかな。そんな若いにーちゃんが一人で蕎麦屋に来て「焼きのりと日本酒1合」を注文。海苔を食みながら幸せそうにお酒傾けててさ。うまく言葉にできないけど良いテンポで交互に食べ進めるのよ。

んで海苔が無くなりお酒も8割方くらい飲まれたところかな?もりを一枚注文して、蕎麦で日本酒を飲み干し、ざるに残ったもりそばをさっとたぐってお会計。

これが一連流れるような行動で傍目に見ててほんとかっこよかった。蕎麦屋で粋な飲み方、って考えると今でもパッと頭に浮かぶ素敵な先輩でした。

自分を省みれば30過ぎてもそんな理想像には程遠く、食べ物にも飲み物にも拘泥して時間もダラダラしちゃっててお恥ずかしい限り。いつか当時の自分のように、若手に憧れられる飲み方のできる粋な大人になりたいね。

そんな、名も知らぬかっこいい先輩のお話でした。

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