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ドサクサ日記 4/15-21 2024

15日。
徳島へ。アッコちゃんの自宅に寄らせてもらった。すっかり都会生活者の俺。東京都に住んだことはないけれど、その周辺の仕事をしながら暮らしている。さすがにここまでの田舎暮らしは想像がつかないが、もはやオンラインで済む会議や打ち合わせも多いことだし、職業によっては実現可能な暮らし方なんだと思う。しかし、いずれほとんどの自治体が消滅するというレポートもある。恐ろしいことだと思う。諸々、仕事をした後は、近所の人たちから美味しい魚介や郷土料理をご馳走になった。ビールは持ってきたが、たらふく食べて無料というのは申し訳ないので、食卓を前に2曲歌わせてもらった。なんとなく「ソラニン」と「世界が終わる夜に」を選んだ。演奏はやっぱり、酔っ払っていないときのほうがいい。酔っているときは人の演奏を聞いているほうが楽しい。表に出ると蛙がゲコゲコ鳴いていた。

16日。
朝の5時に目が覚めたので、早めに帰路についた。朝の街はどこも静かで好きだ。徳島から奥に入った田舎道で聞くビヨンセは風景にまったく合わなかった。Vampire Weekendは少しハマって聴こえた。眠り込んでしまわないためにweezerの1stを聴いた。これはもう周りの景色がどうこうとは別に、自分の魂が10代後半の姿を取り戻して、街道の緑よりも青々として、俺は音楽の稲妻になった。

17日。
スタジオに篭って、新曲の作業。バンドセッションで広げようと思っていたけれど、時間が作れたのでコーラスなどを多重録音。作曲というかソングライティングは、自分史的にはもう何周目かも分からず、モチベーションを見つけるのが難しい。過去の自分の曲や、世間にも名曲は目白押しで、それらの存在を認識したうえで、それでも歌いたいという想いは重要だと思う。意欲が湧いてきて良かった。

18日。
録音。某ジカンの周年イベントに向けての録音。荒々しい声で歌えるか不安だったけれども、俺の喉は「別にオジサンだってシャウトできますよ」という感じで、満額回答みたいな状態だった。ギャイギャイと歌った。その後は、昨日仕上げたデモソングをみんなで合わせる。悪い癖で、昨日渡したばかりなのに、なんで覚えてないの?という気持ちになってしまう。さすがに時間ないだろという話。すまぬ。

19日。
移動。浪江。福島県は都道府県のなかで3番目に大きい。いわきまでも遠かったが、そこから浪江駅までも遠かった。あたりはすっかり暗くなって、途中からは街灯もまばらだった。隣のボックスシートではオジサンたちがウイスキーを飲みながら議員の報酬の話などをしていた。そうこうしている間に浪江に到着。haccobaで美味しい日本酒をいただいて、ホテルで就寝。大浴場の湯がヌルかった。

20日。
Yoi Yoiという新しいフェスに参加。焚き火料理と日本酒と音楽が楽しめる新しいお祭りという感じで新鮮だった。観客は120人、スタッフを入れても150人強くらいの規模。小さいけれども、だからと言って満足感がないわけではない。自分たちや町の規模に意識的で、どこまで広げたら何が届かなくなるのかに意識的な人たちだからこその規模感だったと思う。日本中でフェスがタケノコのように地面から生えて、上手くいくところとそうではないところのコントラストも鮮明だと思う。音楽で人を集めようとすると意外と辛い。人気アーティストをブッキングしただけでは、みんなが祭りの当事者になってくれない。続けるためには収益というのも大事なことだけれど、得るべきは生命力のようなエナジーなのではないかと思う。あそこに年イチで参加すると生き返る。私個人が、っていう意味でのローカルを思う。

21日。
録音とミックスを手伝ったテルスターの千葉さんのアルバム『風に吹かれて』が配信リリースになった。売れてない頃から一緒に遊んでもらった先輩というか、お兄ちゃんみたいな存在の千葉さん。シャイな人で、ゆえにふざけてしまうところがあったが(今でもあるが)、アルバムを聴けばわかる通り、ガチンコで音楽が好きな人だ。それは広い意味での音楽でもあるし、狭い意味では自分の作った楽曲という意味でもある。ライブハウスを経営したり、それを潰したり、演歌歌手のマネージャーだと聞いていたらいつのまにか神津島に移住していたり、つかみどころのない人だけれど、ある種の野心を捨てずに、音楽を作り続けていたことがよくわかる作品だと思う。いろいろ積み重ねた今だからこそ鳴らせる音や、歌だと思う。こういうかたちで携わる未来があると、あの頃の俺は思ってなかったけれど。最高だね。