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日記 11/22~28 2021

22日。
無料配信ライブ。4日で3公演というスケジュールを経て、なかなか回復しない身体部位もあったが、朗らかに演奏できたと思う。似たような疲労を抱えた仲間たちも笑顔だった。それがとても嬉しい。日本中のいろいろな街へ出かけたり、それこそ地球の裏側のブエノスアイレスでコンサートをしたり、信じられないような体験を彼ら共にしてきた。まだまだ、信じられないような景色を見られる気がする。

23日。
勤労感謝の日。自分の音楽活動を勤労と呼んでいいのだろうか。プロデューサーやエンジニアとしての仕事は、勤労という言葉の範疇に収まるように感じる。ときには労働というニュアンスを帯びるときもある。しかし、自身の音楽活動となると遊びに片足を突っ込んでいるように感じる。しかし、遊びだと断言されると仕事だと反論したくなる。労力と方向性と報酬の関係性が仕事の性質を揺らがせている。

24日。
新しいアルバムについての打ち合わせをオンラインで友人と行う。様々なサービスのお陰で、時間と電波の都合がつくなら、どこでも誰とでも話せるようになった。資料を読めばわかる箇条書きを一から読み上げ直すような会議に行く必要もない。友人との打ち合わせはほとんどが雑談。それでも、そうした時間が本題に様々な角度を与えてくれる。言葉以外のやりとりで調整する何かもある。魂の震え。

25日。
ツアー最終日。横浜公演。みなとみらいは開発され続けていた。25年前はほとんど埋立地のような感じだったと思う。バリバリと新しいビルディングの工事が行われているのを眺めると不思議な気分になる。我々の手元には、実感できるようなかたちでは周回しないが、富はあるところにはたっぷりあるのだなと感じる。経済成長というのは実のところ、成長した分を誰かが独占する方法なのだろうか。

26日。
何か大切なことを話すときに、誰かを間に挟むだけで、伝わり方が随分と変わってしまうことがある。口頭ならまだしも、文章となるとそれは顕著だ。文章には音がないので、読み手の側が再生しないといけない。そのときに微妙にニュアンスがずれる。ときには、微妙どころかまったく意図しない発音で再生されて、話が拗れてしまう。まあそれは、一対一のやりとりの場合でも起こり得ることなのだけど。

27日
川崎でSEVENTEEN AGAiN主催のイベント「リプレイスメンツ」に出演。ほとんどのバンドがギターボーカルとベースとドラムというシンプルな編成で、真っ直ぐに歌を演奏していた。それがたまらなく良かった。ギターロックのみならず、音楽が誰しもに開かれていることを、体現するような時間だったように思う。方々を随分と彷徨ったが、この日とこの場所に辿り着けたことを誇りに思う。

28日。
今年もBlack Fridayのセールでプラグインをいくつか買った。セールとは無関係だが、Eventideの新しいEQは素晴らしい。しかしながら、これまでの機材のあり方や技術の蓄積をガバっと放り出すような機能だとも思えて、空恐ろしくもなる。当然ならが触る側のセンスは問われ続けるので、ヒューマニティが損なわれるわけではない。まあ、1000年遡れば機材も録音技術もなかったわけなのだけれど。