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ドサクサ日記 9/23-29 2024

23日。
豊岡へ。玄武洞で演奏。今年発表した「Lost in Time」の素材は、玄武洞で録音した環境音をたくさん使った。そうした楽曲を現地で再現する機会を得られたのは特別なことだと思う。ライブでは、その時間と場所の環境音が音楽の一部になるように、以前に録音した環境音はミュートした。雨が酷い時間帯もあったけれど、幻想的で素敵な時間だったと思う。終演後は蔡君たちと豊岡市街で会食。楽しかった。

Photo by トモカネアヤカ

24日。
戻り。玄武洞でのトークセッションのなかで、Patagoniaの中西さんが潔のことを「あの方」と呼んでいたのが妙にツボに入って、ニヤニヤしてしまう。アジカンとは別のバンドでストリートライブを毎週のように行い、料理と演奏のイベントなどにも参加、日本中のフェスにカレー屋を出店している。なんとタフな男なのだろうと思う。俺は少しの移動で身体がバキバキになってしまって、尻の筋肉が痛い。

25日。
FM802でラジオ出演と収録。フジファブリックの山内君、くるりの岸田君と3人で出演という不思議な組み合わせ。どちらも日本のロックの可能性をオルタナティブな方向に開いてきた存在だと言える。岸田君は同世代のトップランナーみたいな人で、独自の方向に独走していて素敵だ。山内君、ダイちゃん、加藤君たちの歩みについては、簡単な言葉で綴れない。来年の2月でバンドとしての活動は一度止まってしまうけれど、これまでに作った楽曲はいろいろな人たちの生活のなかで鳴り続けていくのだと思う。フジファブリック、くるり、アジカンという並びで演奏できるのは光栄だ。ふたつとも凄いバンドなので、うっかりすると自虐的なことを言いたくなってしまう。望んでも彼らみたいにはなれない。俺たちは俺たちらしく、かけがえのなさもどうしようもなさも発揮させて、凛とした姿勢で演奏したい。

26日。
リハーサル。身体と精神が同時に疲れてくるとコッテリ拉麺が食べたくなる。軽い気持ちで入店したところ、床がぬってりとしていて引き返したい気持ちになった。しかし、ぬってりとした床が存外に滑って、急な方向転換はおろか加速も許すまじというような状態だった。仕方がないので食券を買った。出てきたコッテリ拉麺は思っているより量が多かった。サービスとのこと。味が味なので迷惑であった。

27日。
クラウドファンディングが始まった。支援が集まらないのではないかとドキドキしていたけれど、多くの人が参加してくれて本当に嬉しい。同時に、とても静かに、また違う角度で緊張している。巨額であるというのもそうだけれど、いろいろな人たちの思いの集積であるところが大きい。これまでも真剣に考えてきたけれど、気を引き締めつつ、素敵な場所を作っていきたい。友人に言われたのは、俺の悲壮感や責任感ではなくて、音楽にまつわるあれこれをシェアする楽しさを全面に出してほしいとのことだった。確かにそうだなと思った。いつでも俺はなんとなくクソ真面目な顔になってしまって、誠実さの押し売りみたいな感じになってしまう。簡単に言えば、いつも深刻そうに見えるのだ。そういうのはやめたい。みんなと楽しみたい。だって、(創作はしんどいけど)苦しいのやめようぜっていう場所だもの。

スタジオや隣接する施設についてのQ&Aはこちら。

28日。
ものすごい勢いで支援が集まってドキドキしている。本当にありがたい。リターンが足りなくなりつつあるので、どんなお返しがいいのかを皆と話し合っている。スタジオの設計についても、喧喧諤諤のやり取りが行われている。普通の家を建てるのではなく、土蔵の耐震補強や補修も行いつつ、スタジオという特殊な施設を作る難しさに直面している。でも、どれもいい勉強だと言える。きっちり学びたい。

29日。
最近作った料理のなかでもダントツにまずかったのは、鶏肉で作った肉豆腐だった。ネットで味付けをチラ見しつつやってみたのだけれど、出来損ないの甘煮みたいな代物になってしまった。煮物は塩梅が難しい。その点、ライスペーパーを使ったお好み焼きは楽でよかった。卵と肉と野菜を焼いて、ソースをかける食べ物がそんなに不味くなる可能性は低い。ソースは偉大だ。ウスターより中濃ソース派。

以下のリンクは2018年に友人の伊藤菜衣子さんが取材してくれたもの。お蔵入りになりかけていたものを、土蔵のクラファンに合わせて再編集した記事です。スタジオはこの後、DIYでグラスウールを吊るしたり、机に吸音シートを敷いたりと、いろいろ自分で改造し続けています。プロの手も借りて年中調整していますが、音楽のトレンドや自分の今日も移ろうものだし、一生完成しないのだと思います。