地伝#9 ◾️1995年 餓鬼レンジャー
四条通り木屋町あたりにウォーキンストアの小さい店が新しくできた。店先にラジカセを置いて、観光客が行き交う歩道に向けて最新のヒップホップを流していた。
しっかりとジブラの影響を受けている笑
四条通りを歩く観光客の中に紛れて3人の青年がこちらに向かってきた。B BOYというよりかは普通の青年だ。
話を聞くと熊本から来ているという。ラップをやっているそうだ。誰かに言われてこの店に来たような気もするし、偶然通りがかっただけかもしれない。
デモテープがあるというのでフーンと思いながらラジカセにセットして再生ボタンを押す。
普通の大学生のような見た目からは想像できない、聞いたことの無いようなラップのグルーヴと太くて勢いのあるビートが四条通りに鳴り響く。僕は興奮して彼らの名前をもう一度聞いた。
ヨシ、心、古賀の3人、餓鬼レンジャーとの出会いだ。
その日の夜にマグマのリュウゾウ、ノブと餓鬼レンジャーは共通の知り合いを介して、木屋町のグロスというライブもできるようなバーで顔を合わせる。僕はその場にいなかった。
後から聞いた話ではマグマも餓鬼も様子見をしているような雰囲気で緊張感が張りつめていた。そんな空気に耐えられなかったのか、ヨシ君が急に「フリースタイルしようや」と言い放ちラップを通して意気投合して、そのまま一緒にライブをしたと聞いた。
地方のラッパー同志、京都のマグマと熊本の餓鬼レンジャーの交流はその後も深まり翌年には一緒に曲も作っている。残念ながらデモ程度の音源しかないのだが、ライブでは何度か披露している。
僕はこの人たちと一緒に日本のヒップホップに風穴を開けられると確信していた。
23年後。思い出の地、京都で偶然の再会↓
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