見出し画像

『古きは新しく〜蘇れ宇宙の騎士よ〜TOTO』

 ハイスクール時代からのバンド仲間であり、敏腕スタジオ・ミュージシャンでもあるメンバー達によって結成された『TOTO』

 そのバンド名の由来は、「オズの魔法使い」のトトから来ている説、「ドラマーでバンド・リーダーのジェフ・ポーカロ」が飼っていた犬の名前・・などなど諸説有りますね。(日本の有名な陶器制作会社「TOTO」じゃないのは間違いないw)

 さて。その『TOTO』を語る上で幾つか重要な事柄が御座いまして。
 まずメンバーの「音楽的素養の深さがハンパではない」という事。

 これはメンバーの家庭環境が大いに影響しており、キーボードのデビッド・ペイチは、父親が有名なアレンジャーで音楽監督の「マーティー・ペイチ」であり、ジェフ、スティーヴ、マイク(のちに加入)、の三兄弟に至っては、同じく父親がジャズ・パーカッショニストの「ジョー・ポーカロ(R.I.P.)」であるという、言わば「音楽を奏でる」為に生まれてきた様な存在と言っても過言では無いだろう。

 父親達は当然面識も有り、彼らは少年時代からスタジオでセッションをしていた様だ。

 ハイスクール時代になるとバンド結成への構想を温め始め、スタジオでセッションを繰り返しながら、更にテクニックとセンスを磨いていった。

 程なくしてプロのミュージシャンとして活動を始め、ボズ・スキャッグスのレコーディングを通し、ベースのデビッド・ハンゲイトが合流。
名曲『LOWDOWN』を生み出す。

 ボズがアルバム「silk degrees」を発表しツアーを開始すると、ツアーメンバーにギターのスティーヴ・ルカサーが参加。
 そのままルカサーがバンドに入り、シンガーのボビー・キンボールも加入。ポーカロ兄弟の末っ子、スティーヴも来た。そう!        いよいよ『TOTO』の始動だ!
 

 しかもこの時期になると、次第にスタジオセッションの仕事も多く舞い込む様になり、彼らは数多くのアーティストのレコーディングに参加する事となる。
 それは白人とのセッションばかりではなく、黒人やアジア人など国境、及び人種を越えた、実にクリエイティブな活動だ。
 
 そんな活動の最中、念願のアメリカ・コロムビアと契約を交わす。
 TOTOは多忙なセッションの合間に、曲作りとレコーディングを並行させながら、遂にファーストアルバムを完成させた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『TOTO』 1978年

画像2

 邦題・宇宙の騎士

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 このアルバムには彼等が今まで培ってきた、あらゆる音楽的要素が詰まっている。
ロック、ポップ、プログレ、フュージョン、ジャズ、ファンク、そしてソウルミュージック・・・ 『GEORGY PORGY』

   名曲の誕生だ。

 スティーヴ・ルカサーのソフトな歌声と、後半のシェリル・リンによるスキャットが実にソウルフル!!

 ただのロックバンドからは絶対に生まれる事の無い、鉄壁のソウルフィーリングは、まさに様々な音楽性をその肌で感じ取り、吸収&消化してきた『音楽を奏でる為に生まれた』
彼等『TOTO』だからこそ成し遂げる事の出来た、素晴らしい偉業であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 刻は過ぎ、2020年現在。 

 インターネットの普及により、世界中の誰しもが、幼少期から様々な音楽を知る事が出来る様になった。

 しかも進化したコンピューターツールにより、自宅のベッドルームで誰に会う事もなく、手軽にレコーディング出来、かつ、ファイルにて配信し、世界的な成功を掴める様になったのだ。

 モニターを通じて世界中のミュージシャンとセッションが出来る夢の様な世界。

 しかも完成度は桁違いのハイクオリティ。

 しかし、何かが足りない気がする

 それは『人と音楽が生み出す空気感』


決して『あの頃は良かった』などと、後ろを振り返るつもりは無いし、昔の方法が必ずしもベストとは思えない。

でもきっとね、また向き合ってセッションが出来る時代が来たら、きっと皆んな思い出すんだ。

『空気を感じながら音楽を創る事を』。

『TOTO』は現在、活動停止中だ。

でも僕は信じてる。またシーンに帰って来てくれる事を。

画像1





 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?