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ごーせんの掌編小説

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手のひらにおさまる感情と追憶、記憶を吹きかけてあなたの鼻梁へ香りを飛ばします。
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#電車の中の人々

偏見と妄想のガタンゴトン

偏見と妄想のガタンゴトン

6月下旬の蒸し暑く、空がどんより曇っていた日の早朝7時45分の出来事だった。

家を出た私は2人の娘を最寄り駅までの道中にある保育園に預け、最寄り駅までの道のりを急いでいた。

高級住宅街とマンションのある歩道を早足で歩く人をさらに早足で抜かし、地元の人のみぞ知るような駅まで細い近道をすり抜け、踏み切りのカンカンと鳴り響く遮断機の、ゆっくりと威圧的に降りてくる遮断棹をすり抜けて線路と反対側の駅の出

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