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ごーせんの掌編小説

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手のひらにおさまる感情と追憶、記憶を吹きかけてあなたの鼻梁へ香りを飛ばします。
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#田中会社辞めるってよ

田中、会社辞めるってよ

田中、会社辞めるってよ

「田中、会社辞めるってよ」

コピー機で書類をスキャンしながら、オレは中山に耳打ちするように囁いた。

「え、マジすか!?」

少し驚いたような拍子抜けしたような表情で中山はオレの方を向いた。

青天の霹靂、というやつか。

田中が青井部長からパワハラを受けているとオレに相談があったのは、今回の現場の件より以前の話だ。

しかし今回、現場で青井部長と喧嘩して、田中の堪忍袋の緒が切れて何も言わずに帰

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