「タンゴ・葉山・遊散歩」(8)
雨が降ったり止んだりする日々が続きながら、
1日1日と寒さが増していく今日このごろ
つい散歩もサボって短距離で済ましてしまいがちだ。
私の体も特に下半身や腰回りが運動不足で硬い痼(しこ)りができている。
今日は少し長距離の散歩をした。
いつもの海岸沿いの道をバス停まで歩いて、遠くに富士山を見ながら、
地元の大漁祈願のこじんまりした神社を横目に、住宅街の細い坂道を登る。
歩き続けると道はお寺の裏門に通じ、自然にお寺の駐車場に入っていく。
広々とした駐車場を横切って広い坂道を登ると、すぐあじさい公園入口の看板。
そこで右折して細い急な坂道をさらに登ると、山道の中腹に階段が見える
あじさい公園への階段は細くて急峻、タンゴを抱いてよろよろと登った。
階段を登りきると「あじさい公園」だが、
今の季節はもちろん紫陽花の花はない。
ただあたり一面に紫陽花の茎が群生していた。
私は周りを見回して花の盛りを想像したが、タンゴはソワソワ、
あたりの匂いを嗅ぎ回っている。
そして、行儀の良いことに、公衆トイレのすぐ隣にしゃがみこんだので、
すぐに片付けて、トイレに流した。
ゴーっと流れる水音を聞くともう用はないとばかりに帰りたがって、
リードを引っ張る。
でも、すぐに帰るにはあまりに惜しい。
「絶景かな」
思わずつぶやきが漏れるほどそこからの眺めの素晴らしいこと!
眼下に穏やかな漁港沿いの葉山の街が広がり、
海との境に緑の森林に覆われた由緒ある神社が佇んでいる。
葉山という小さな小さな街
広がる海と低く連なる山に挟まれた小さな桃源郷
タンゴは我関せずと、そこら中に匂いつけに励んでいる
静かにため息を吐きながら「このまちがすきだ」と呪文のように唱えた。
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