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「和人と天音」

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note最初の小説です。
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#和人と天音

連載小説「和人と天音」(1)

 和人  風の強い朝だった。四月だというのに季節はずれの冷んやり湿った風が海から吹きつけ…

連載小説「和人と天音」(2)

 芦田恭二に「恐竜恭二」と言うあだ名がついたきっかけは、一年前のある喧嘩沙汰だった。始め…

連載小説「和人と天音」(3)

 始業式は何事もなく無事に終わった。昼前には掃除当番以外の子供は、六年生から一年生までほ…

連載小説「和人と天音」(4)

 作文教室は、近くに住むじいちゃんの年下の知り合いが始めた。その人は、じいちゃんが数年前…

連載小説「和人と天音」(5)

 天音  母が死んでから一週間が過ぎた。  十年ぶりに一緒に暮らし始めた「父」の家で、五…

連載小説「和人と天音」(6)

 新しい学校の担任は岡田という三十代の男性教員だった。  天音を、最初にクラスの皆に紹介…

連載小説「和人と天音」(8)

「いらっしゃいませ」店頭で元気の良い声が響いた。先輩アルバイトの響の声だった。音域が広くてどの声の時ものびやかに響く。「響」と書いて「ひびき」と読ませる名前も歌手みたいだと、初対面の挨拶で天音は思った。でも、響は外科医志望で私立の医大受験を目指す高校三年生だ。  天音は先客のカップルの注文を聞いていた。アルバイトを始めて三ヶ月が過ぎ、「接客のセンスはわたしよりあるよ」と、響は言ってくれていた。 「かしこまりました。海の幸のサラダとパスタのセットをお二つ、パスタはタコのリングイ

連載小説「和人と天音」(9)

 和人    梅雨の雨が三日続いていた。激しく降るわけではないが、小止みになったかと思うと…

連載小説「和人と天音」(10)

 和人の部屋にはコラージュ用に雑誌や新聞の広告チラシなどから切り抜いた写真やイラストをフ…

連載小説「和人と天音」(11)

 作文教室の桑田先生は、まだ三十歳になっていない。和人のじいちゃんの元同僚で、じいちゃん…

連載小説「和人と天音」(12)

 天音 「いらっしゃいませ」  一人の男性客が足早に店に入ってきた。岡田だった。その時、…

連載小説「和人と天音」(13)

 二度目に店に来てから、学校で岡田が天音を見る視線がはっきり変わったような気が天音はして…

連載小説「和人と天音」(14)

「いらっしゃいませ」  低い陰気な声だった。これなら、あたしたちの方がずっと気持ちのいい…