見出し画像

「カスタマーサクセス×社員教育」は相性抜群

こんにちは。すずきひろゆきです。
教育系SaaSのカスタマーサクセスをしています。

私たちの会社では、11月に新たな期が始まります。期初には、上長と今期のチーム戦略や自分のミッションについて話し合う機会があります。今回は、そこで話題に上がった「カスタマーサクセス×社員教育」について考えてみることにしました。

昨日、今期のチーム戦略会議で上司に、「すずきさん、とりあえず全社員の自社プロダクトの理解度を高水準に維持できるようにしてよ。新入社員の研修やってもらってるから、次は全社員に拡大ね」と言われました。

※ここで言う「社員教育」とは、いわゆる人事的な教育ではなく、自社プロダクトの理解を中心とした、会社で活躍できる能力を養うことを指します。

最近、「社員教育」「研修」みたいなことが、自分でもスキだと感じてきたので、上司からのこの提案は、私のやる気をむくむくと起こさせるものでした。「よし、どんどん仕組み作って、みんなの役に立つぞ!」と気合い入っております。

で、時はちょっと経過し、ふとお風呂に入っているときに…
「カスタマーサクセスと社員教育ってめっちゃ相性いいかも。」と思ったわけです。

ここから、三項にわけて、私たちの会社における「カスタマーサクセス×社員教育」の有効性について考えてみます。​

社員教育に必要なこと

まず、社員教育をするうえで、どんなことが必要か。二つの軸を中心に据えて考えてみます。

・自社プロダクトに精通している
・市場のニーズを把握している
※「コミュニケーション能力が高い」「説明が丁寧」とかも大切だが、いったん個人スキルではなく、チーム単位の能力で考える

どちらが欠けても、社員教育は成功しにくいです。

一点目の「自社プロダクトに精通」は、言うまでもないですね。ここが足りないのは論外。
二点目の「市場のニーズを把握」ですが、これは社員教育のなかで結構質問が飛び交います。「○○のような業態の場合は、どのように自社プロダクトを使いますか?」「この機能を○○にあわせた場合、どのような活用方法がありますか?」みたいな感じです。

この二つの条件を備えていれば、適切な社員教育が展開できそうですね。

※ここまで新入社員教育を担当してきての所感なので、経験値を積んで、もっと多くのことを分析できるようになったら、項目を充実させられるかも。

「両方の条件を満たすチームってどこなの?」という疑問を、私たちの会社の組織・役割を例に説明していきます。

私たちの会社の組織・役割

私たちの会社の組織を大群で分けると、管理部・エンジニアチーム・ビジネスチーム、となります。今回は、管理部とエンジニアチームの詳細は割愛して、ビジネスチームの構成・役割を説明します。

・マーケティング
・インサイドセールス
・フィールドセールス
・カスタマーサクセス
※事業開発部・・・ここはエンジニアとビジネスチームの中間

ざっくり説明すると、マーケティングが市場に広告をうち、インサイドセールスがリードを養成し、フィールドセールスが提案のち契約を獲得、カスタマーサクセスが契約後の顧客を成功へと導く、という他社でもやっている図式です。※私たちの会社では、インサイドセールスは基本的に商談を実施しません。このあたりは会社によって異なるかな。

事業開発部は、各チームから投げこまれた要望を整理・判断し、的確にエンジニアに仕様を伝えます。

それぞれのチームで、プロダクトへのアプローチは異なります。

マーケティング
顧客予備軍を生みやすい機能で広告戦略をうつので、ホットな機能は触るが、全体的に機能理解が偏る。市場ニーズの把握は強い。
インサイドセールス
顧客にプロダクトを説明する場面はあるものの、基本的には商談のアポイントを獲得し、セールスにつなげることが至上命題なので、本格的な説明はしない。マーケティングと密に連携しているので、市場ニーズの把握は強い。
フィールドセールス
基本事項や顧客の課題解決になりそうな機能を重点的に説明。経験値の高さはあるが、一つの商談の時間が限られているので、細かい機能までは把握しきれない。顧客に接する時間が長いぶん、市場ニーズの把握は強い。
事業開発部
プロダクト理解とともに、要望を的確に仕様に落とし込み、機能拡充や新機能リリースにいち早く触れるので、プロダクト理解では最高レベル。顧客と接する機会が少ないため、市場ニーズに対するリアルタイム性が足りない。※顧客の声を全面的に吸収できたら最強。そんなことしたら、リソースがパンクしそう…

それぞれのチームによって、プロダクト理解に対する観点が異なります。「○○チームがあまり理解していない」とか言うつもりはまったくありません。チームによって必要なことが異なるのは当然のこと。ただ、社員教育という文脈で考えると、どこのチームも足りない部分は出てきてしまいそうです。

カスタマーサクセスの役割

では、カスタマーサクセスはどうなのか。最近、日本でもカスタマーサクセス部門の立ち上げブームがきて、注目されるようになりました。私は、いまの会社に入って初めて「カスタマーサクセス」を知りました。辞書的な説明をすれば、次のような感じになりますかね。

従来のカスタマーサポートとは異なり、能動的・積極的に働きかけ、顧客に伴走して成功に導く。解約(チャーン)防止、LTVの最大化、アップセル・クロスセル、ユーザーのアクティブ率向上などをKPI指標として活動する。また、顧客のニーズを適切に吸い上げ、プロダクト改善の中心を担う。

※私はいまの会社のカスタマーサクセスの立ち上げメンバーなので、経験していますが、少人数ベンチャー・スタートアップでの「自社にカスタマーサクセス組織を作る」という文脈での走り出しは、たいていカスタマーサポート領域を充実させる動きから始まります。というか、そこで精一杯になります。人数が増え、仕組みを整えられてくると、サクセス施策が少しずつ進行していきます。立ち上げ草創期で、「サポートしかできてないじゃん」と悩まれているカスタマーサクセスの方、一度は絶対通る道です。人数が増えて、リソースに余白が生まれるようになったら、どんどんサクセス施策が打ち出せます。そこまでは悩みながらも頑張りましょう。ちなみに、私たちの会社でも、いまだにサポートの役割はサクセスのなかに内包されています。

さきほどの各チームのプロダクト理解に、カスタマーサクセスを照らしあわせると、どうでしょうか。

顧客のサポートや活用促進(伴走)の観点から、「プロダクトに精通」は十分にクリアするレベル。「市場のニーズを把握」では、常日頃から顧客の声に接しているので、その点も強い。また、事業開発部と連携することも多いので、機能拡充や新機能に接するタイミングも早い。

「プロダクトに精通+市場のニーズを把握」という社員教育に必要なことの観点でみたとき、カスタマーサクセスはその能力を存分に発揮します。そのため、他チームからの質問も、「カスタマーサクセスに聞けばいい」という場・雰囲気を形成する結果となります。

おわりに

「カスタマーサクセス×社員教育」の相性について、自社の例を踏まえながら考えてきました。高水準の社員教育を実施するためにできることは、数多くあります。資料や動画を作成する、クイズ形式の理解度確認テストをする、LMSを導入して進捗状況を管理する…考えればなんでもできそう。

もちろん、カスタマーサクセスに所属していれば、全員が社員教育をできるというわけではありません。全員が研鑽を積んでいくなかで、能力が身につき、社員教育を実践できるレベルになっていくのでしょう。私もまだまだ未熟なので、これからもどんどん勉強・実践していきます。

とはいえ、「カスタマーサクセス×社員教育」という相性抜群の領域がありそうなので、開拓していきたいと思います。

最後に一つ大事なこと。これはチーム単位の能力(あるいは個人単位の能力)ではなく、ヒトと接するうえで重要なこと。

・自分とは違うということを理解する
・ヒトそれぞれに習得のスピードが違うことを理解する
・本人の困っている点を真摯に傾聴し寄り添う、いつも聞ける場を作って安心感を醸成する

「新入社員教育」から「全社員教育」へと私のミッションは発展を見せそうです。いつまでも、この姿勢を心に置いて突き進んでいきたいと思います。

▼Twitterもやっています
すずきひろゆき / ヒト成長愛好家

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?