商売はタイトルが9割〜カンタンに良いタイトルをつける技術(1,480円)
■■ はじめに
■ どうしたら良いタイトルがつけられるのか
商売はタイトルが9割である。
ここでは、Twitter や YouTube、ブログや noteの記事などをまとめて「投稿」と呼ぶ。
投稿にはタイトルがつきものだが、投稿を宣伝に使う場合、良いタイトルはお客さんを連れてくる。
かつてはテレビやラジオ、出版社にしかできなかった情報発信(投稿)は、素人でも簡単にできるようになった。しかし、どんなに良い内容でも、そのほとんどがタイムラインに埋もれてしまう。
それは、タイトルが悪いからだ。
■ 勝つのは良いタイトルだけ
良いタイトルは、それだけで勝ったも同然だ。
その証拠に、ほとんどの人はタイトルだけで「いいね」や「リツイート」をしている。中身などどうでもいいのだ。
最近のTwitterでは、リツイートの際に「まず記事を読んでみませんか?」というダイアログが出るほどである。
これは、2020年に起きた「情報のパンデミック」への対策だ。フェイクニュースの制御が目的だが、裏を返せばそれだけタイトルが重要だとわかる。
参考:Twitter、内容を読まずにRTしようとすると「読んだ?」と尋ねるテスト開始 - ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/11/news060.html
■ 何よりも大切な「6w3h」という標語
商売では「6w3h」という標語がとても大切になる。ベースは「5w2h」というマーケティングの考えだが、足りないのでそれぞれプラス1をした。
【6w3h】
- what(いったいこれは何?)
- why(どんな良いことがあるの?)
- whom(ターゲットは?)
- who(誰が売ってるの?)
- when(いつ?)
- where(どこで?)
- how(どうやって?)
- how much(いくらで?)
- how many(何回?)
売れている商品やサービスは、これらが明確である。
■ 読めるタイトルにする
まず、悪いタイトルは読めない。
意味がわからないのではなく、単純に読めないのだ。人は、読めないものには目もくれない。
30年前なら「これは何と読むのかな?」という気持ちの余裕が社会全体にあったかもしれない。しかし、情報洪水の昨今では、タイムラインのかなたに消えるだけだ。
できるかぎり日本語に、それもひらがなやカタカナにする。逆に読みづらい場合は、簡単な漢字をはさむとバランスが良くなる。
実は、英語が読めない人はかなりいるのだ。フランス語やイタリア語などは言うまでもない。
私の場合、小学4年生と両親(70代)のどちらもが読めることを基準としている。
■ 意味のわかるタイトルにする
また、悪いタイトルは意味がわからない。
良いタイトルには、いったいそれが何なのか(what)、それを見るとどんな良いことがあるのか(why)が示されている。
悪いタイトルには、それらがない。何のための投稿なのか、意味がわからないのだ。
芸能人のブログならそれでも良い。多くのファンが、その挙動を心待ちにしているからだ。毎日「今日のお昼」などというタイトルであっても、月に何千万PV(ページビュー)も稼ぐ。
Google AdSense の収入は、PVの10分の1(円)が目安である。それだけで数百万円にもなるのだ。
私たちは、芸能人の真似をしてもうまくいかない。その挙動を心待ちにしているファンが圧倒的に少ないからだ。
■ お金の流れているところに身を置く
日本人は、ハウツーが好きである。
ハウツー(How to)とは、○○のやり方という意味だ。何らかのテーマを集めた本を「ハウツー本」と呼ぶ。
書店の平積みは、そのほとんどがハウツー本である。タイトルはさまざまだが、「○○がうまくできるようになること」をテーマにした本はとても多い。
日本人は、ハウツー本にはお金を出す。ハウツーであり、かつ本であることが重要だ。動画や音声ではなく、本であることに意味がある。
お金の流れているところに身を置くのは、商売の基本だ。
テレビの世界では大金が動くが、視聴は無料である。大金を稼ぐユーチューバーはいるが、YouTubeを見るのは無料だ。
そのため、動画は無料という観念はきわめて強く、崩れない。
YouTube や AbemaTV などが、有料チャンネル(プレミアム)で苦戦しているのはそのためだ。
ハウツーを本で表現すれば、マネタイズ(現金化)できる。たとえ動画がメインでも、テキストに起こして「本」と呼べば、売れる土俵に立てるのだ。
■ 目にとまらないものは存在していない
タイトルだけの評価は問題だが、目にとまらないことはさらに問題である。
リアル店舗ならば、その商品がお客様に見えていないのと同じだ。存在していないのである。
Twitter では、いいねやリツイートのことをインプレッションと呼ぶ。インプレッションの数と、実際に中身を閲覧した数では、大きな開きがあるそうだ。
多くの人がタイトルだけで評価し、中身を見ていない。
しかし、そもそも目にとまらないものは、存在しないのと同義だ。まずは目にとめてもらうためにも、タイトルは重要なのである。
■ 良いタイトルは見た目の良さ
良いタイトルは、いったいそれが何なのか(what)がわかる。また、どんな良いことがあるのか(why)も示されている。
読んだ人にどんなメリットがあるのか、瞬時に判断できるのだ。その材料はタイトルしかない。
かつて「人は見た目が9割」という本が話題になった。タイトルとは「情報の見た目」である。
良いタイトルは、見た目が良いのだ。
参考:人は見た目が9割 (新潮新書) | 竹内一郎 | 言語学 | Kindleストア | Amazon
https://amzn.to/3B7ZJSo
■ 悪いタイトルは嫌われる
良いタイトルは、必ず浸透する。
私たち一般人の発信は、一夜にして広まることはない。しかし、良いタイトルで周知を繰り返せば、確実に広まる。手を替え品を替え、ツイートやブログによる周知を繰り返すのだ。
これは自信を持って良い。タイトルが良ければ、情報は必ず浸透していく。
ただし、タイトルが悪いと嫌われる。
よくわからないタイトルを、繰り返し見るのは苦痛だ。通常、人は苦痛から逃れようとする。メールマガジンならば、迷惑メール判定されかねない。
■ 周知を繰り返してもバズらない理由
明言は避けるが、記号と数字だけの短いタイトル(PDFファイル)のツイートを良く見かける。当然ながら、意味がわからない。
ツイートを読むと、どうやら「デザイナーが読むべき有用なこと」が書かれているようだが、明らかに説明不足である。
いったいこれが何なのか、さっぱりわからない。有料商材のようだが、価格も不明だ。
最初は、いったいこれは何なのかを理解しようとするが、すぐに嫌になる。そして、だんだんイライラしてくる。
ご本人は「バズらないのは周知が足りないから」と思っておられるのか、同じようなツイートを連投している。
しかし、これは大きな間違いだ。
なんだかわからない、値段もわからない商品は地雷と一緒である。
デザイナーである私が反応しないのなら、ほかの誰が反応するだろうか。本当に売る気があるのかと、逆に心配してしまう。
■ 良いタイトルでも周知はさりげなく
良いタイトルでも、周知はさりげない方がいい。あまりしつこいと、やはり嫌われてしまう。
これは、テレビの世界に学ぶことができる。いわゆる「お知らせ」というものだ。
新作映画のキャンペーンで、出演者が朝から番組ジャックしているのを見かけるが、1日だけなら不快には思わない。
様々な番組に出演していても「この人、最近よく見るなぁ」という程度ならば、キャンペーンは成功だろう。
しかし、あまりに露出が多いと不快になる。それに気づけずに露出を繰り返せば、さらに嫌われてしまう。
これはいわゆる「ネガティブキャンペーン」である。不快なことを拡散してしまうのだ。
■ 悪いタイトルにはホスピタリティがない
悪いタイトルには、ホスピタリティがない。
ホスピタリティとは、丁重なもてなしや、歓待の精神という意味である。
新しい情報には、わかりやすい説明が要る。初めてその情報に触れた人でも、それはいったい何か、どんな良いことがあるのか理解できる説明が必要なのだ。
悪いタイトルは、その説明を怠っている。つまり、ホスピタリティがないのだ。
これは「読めばわかる」「わかる人にはわかる」などという発信者の態度にほかならない。お客様を突き放しているのだ。せっかく理解しようとしているのに、突き放されてはイライラするのも当然だ。
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本文では、まず良いタイトルのつけ方を実践する。その後、良いタイトルをつけるために、どのように情報収集してセンスを磨くのかを説明する。
お役に立てれば幸いです!
■■ 第1章:良いタイトルはどうやってつけるの?
■ タイトルとは整えるもの
タイトルとは、整えるものである。
何を投稿するか決まったら、仮題をつける。この仮題に対して、これはいったい何か(what)、どんな良いことがあるのか(why)がわかるようにしていく。
この作業を「整える」と呼ぶ。
■ 今日の昼食を投稿する場合
ここで、「今日の昼食」を投稿する場合を考えてみる。
有名人ならば、「今日のお昼」というタイトルでも十分バズるだろう。
ただし、私たち一般人がこれを真似してはいけない。残念ながら、一般人の昼食などに誰も興味がない。
もちろん、豪華な昼食を毎日投稿し、ブランディングに成功している人ならこのタイトルもありだ。今日のランチは何かな?と楽しみにしてる人がいるからだ。
しかし、一般人がカレーやラーメンの投稿をしたところで、見向きもされない。
■ いったいこれは何かを明らかにする
このタイトルに、少しずつ工夫を加える。
まず、これが何であるか(what)を明らかにする。「お昼」だけでは、お昼の出来事や、お昼の様子にも解釈できるからだ。
そこで、「今日のお昼」から「今日のお昼ご飯」とする。漢字が多すぎるので「きょうのお昼ごはん」としてみる。
漢字をひらがなにすることを「ひらく」と呼ぶが、タイトルは意識的に「ひらく」とよい。
ひらがなが多すぎても読みづらい(きょうのおひるごはん)ため、単語の切れ目に漢字を入れると効果的だ。
■ 「ひらく」はホスピタリティ
意識的に「ひらく」ことは、ホスピタリティ(おもてなし)である。
タイトルが読めないのは、人をイライラさせる。これは、いわゆるネガティブキャンペーン(不愉快を広めてしまう)だ。
拘る(こだわる)、捗る(はかどる)、御座います(ございます)などは、その典型である。
漢字にすると「頭が良さそうに見える」のは、勘違いである。本当に頭の良い人は、難しいことをわかりやすく説明する。
■ いかに人さまのお役に立てるか
次に、どんな良いことがあるのかをタイトルに付け加える。
良いことが何もない投稿は、需要がない。
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