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生き物とキカイ:「テオ・ヤンセン展」感想

この前、札幌市にある芸術の森美術館に行ってきた。

この美術館には、大学1年生のときボランティアの授業で1度訪れたことがある。それ以来行ったことはなく、ずっと行きたいとは思っていたのだが、アクセスの悪さによりなかなか行くことができなかった。

そんな芸術の森に、行くきっかけになってくれたのが、今回の「テオ・ヤンセン展」だった。

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彼とお出掛けをするとき、下調べをしてくるのはだいたい彼の方だ。いっつも何か豆知識を仕入れてくる。

一方私は、基本的な知識もないまま、第一印象だけをもって目的地へ乗り込んでいく。

この日も、私は美術館につくまで、彼が言っている「動くんだよ!」の意味がよくわからなかった。

美術館にあるのは、だいたい絵画とか、彫刻とか、そんなもので、美術館の中を展示品が動くような光景は、まったく想像できなかった。

テオ・ヤンセンさんについて、簡単に説明させていただくと、彼は「オランダで風邪を食べて動く生き物をつくる、アーティスト」だ。

生き物の名前は「ストランドビースト」。ビーストたちはオランダの浜辺を、体に巡らせたチューブに蓄えて、動くことができる。

よくわからないと思うので、詳しくはyoutubeで検索してもらえれば、びっくりしてもらえると思う。

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そんなわけで、私はテオ・ヤンセンさんがつくった、風を食べる生き物に会いに行ったのだ。

展示室は、古代の生物の化石が並ぶ、博物館のようだった。親子連れの方も多く、写真もオッケーということで、会場は美術館にしては賑やかだった。

展示をみているうちに、私はふと「キカイみたいだな」と思った。この生き物たちは、風で動くキカイ。それが私のストランドビーストたちに対する、感想だった。

それと同時に、ストランドビーストは本当に生き物のように思えた。だって彼らは、風さえ蓄えれば自分の力で動くことができる。

動くことに意思はないかもしれなけれど、風を受けて動くという本能だと言えば、生き物らしいくなる。

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「不思議だな」と思った。

医学の分野では、人工的に臓器とかをつくる研究が進んでいる。工学の分野では、人工知能が人間に迫ると言われている。

そして、芸術の分野では、風で動く新たな生き物が生まれている。

「生物」と言われるためには、いくつかの条件を満たさなくてはいけないことは、なんとなく知っている。

だけど、生き物とキカイの境界線って、意外とあやふやにできるものなのかなと、この展示を見て少し思った。

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