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蛇使いの笛とツチノコ

これは蛇使いの笛です。インドのラジャスターン地方でコブラを踊らせる楽器で、プンギーと言います。写真のモノは自作で瓢箪と煤竹で出来ています。僕は蛇笛と呼んでいますが、正確には笛ではなくダブルリードの楽器です。スコットランドなどのバグパイプの原型とも言われています。ディジュリドゥと同じように循環呼吸で吹きます。

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15年ぐらい前にインドにいった時に、蛇使いの村から蛇笛の名手をゲストハウスに呼んでセッションしたことがあります。彼らはよく都市部の路上でコブラを踊らすパフォーマンスをしていますが、本職は家に毒ヘビが出ると呼ばれてこれを吹き毒ヘビを捕まえるそうです。まあ毒ヘビ駆除のための道具なんですね。

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バリで見つけた珍しいガネーシャの音楽バンドの像。真ん中で吹いているのがプンギーです。


友達の家にでた蛇の赤ちゃんを、ペットボトルに入れておじいさんに見せるという、なぜなら山育ちで子供の頃マムシに噛まれたこともある彼が見たことない蛇だからだ。ちょうど蛇笛を持っていたので吹いてみると、何回も落ちては登りを繰り返しやっと表に出てきて踊り出した。吹くのをやめるとペットボトルから降りて逃げようとするのだが、また吹くと登ってきて踊りを繰り返し4回目に片手で吹きながらビデオを撮った。そして、楽しましてもらったので逃したのだが、後日新聞にこの蛇のことが載っていた。白マダラという日本の固有種ではあるが、夜行性で人目につくところにはなかなでてこないので、一部では幻の蛇と呼ばれ、マニアの間では高値で取引されているらしい。ビデオは赤ちゃん蛇で白黒のストライプがはっきりしているが成蛇はグレイがかった色になる。


さてこの楽器を作るきっかけが『ツチノコ』なんです。

4年前の話。家の前の草の塊を引っこ抜いたら’奴’がこちらを向いて寝ていました。その距離30cmです。僕は蛇を踊らせようとする程の蛇フェチです。
一目見れば大体の蛇はわかりますが、’奴’を見たときなんの生き物かわかりませんでした。

最初はガマガエルが何匹か固まっているのかと思いましたが、様子が違います。

頭は三角で幅5−6cm 丸くなってますがとぐろがまけてません。要するに短いのです。長さは25cmくらいでしょう。

しばらく警戒心なく見てたんですが(向こうも寝ていた)

あっ柄がマムシかも、と思った瞬間にその寝ている態勢から後ろに向かって1mぐらい飛んでいなくなりました。高さは30cmくらいのジャンプです。

それにしても、こちらが警戒心のバイブを発したのでしょう敏感に反応しました。

あー前に飛ばれてたら危なかったと思い、そういえばインドで買った蛇ぶえが壊れていたから新しいのを作ろうとなりました。マムシもたくさんいるようだし。

そもそも蛇は寝ている体制からジャンプしません。よくマムシが飛ぶという表現をしますが、かま首を上げて攻撃するときに飛ぶような速さで攻撃します。僕の見たものは、完全に飛んでいました。

しかし、その時は『つちのこ』という言葉は頭の中に全くありませんでした。

一週間後に本屋さんに行くと『逃げろツチノコ』という本が平積みされてました。おっ、懐かしいと思う同時になんで今『ツチノコ』と思いながら手に取りました。この時点でも、まだ僕が遭遇した生き物と『ツチノコ』は結びついていません。

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逃げろツチノコ」は故 山本素石氏が1973年に出版。渓流釣りの専門家である氏がツチノコを捕獲すべく『ノータリンクラブ』なるものを結成し、「ツチノコ」について真面目にリサーチ分析されてます。「ツチノコ」ブームを作った本です。山と溪谷社が2016年に再販しました。すごく面白いです。
この本を買って読みたいなと思った方にお願いがあります。ナワプラサードと言う40年続いてる、洋書やスピ系の珍しい本を扱う小さな本屋さんがあります。潰れそうですががんばっています。こんな本屋さんから購入してもらえたらツチノコも喜ぶと思います。ナワプラサードhttp://www.nabra.co.jp/hobbit/nawaprasad/

表紙を開けると、なんと僕が見た’奴’と全く同じ絵が!「あれはツチノコだ!!」

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僕の見たやつは頭はもっと大きくて、もっと三角でした、柄は頭の方までしっかり入っていて、この絵ほどしっかりととぐろが巻けてませんでした。そして反対向きに丸まってましたね。とにかく30cmくらいの距離でしばらく観察してたのでよく覚えてます。絵のような尻尾は確認できませんでした。

そしてこの本を読み間違いなく、あれは「つちのこ」だと確信しております。この話をすると大抵笑われます。

はい笑ってくださって結構です。

それでもあれは『ツチノコ』です。間違いありません。僕は蛇マニアです。いろいろな蛇を見てきたし、何度か蛇を踊らせたり、蛇マニアの雑誌が主催するイベントでも蛇を踊らせました。インドやモロッコでも蛇使いとセッションもしてきました。

『ツチノコ』はいます。


5年間ぐらい放置していたツイッターを久々に始めたら。友達からメッセージが来ていました。京都のトラックメーカーで。モジュラーシンセの奏者で、昔、作品を一緒に作ったりライブしたりしたのですが、メッセージには昨年の12月にYoutubeのBoiler Roomというクラブ音楽ライブ配信チャンネルでJane Fitzというイギリスのアンダーグランド レジェンドDJがオープニングの一曲目に、12年前に作った僕が蛇笛を吹いてる彼のレコードがかけられました。17万人も視聴してて、感激です。蛇笛ばっちり入っていますので見てください。一曲目です!

 @KNDに参加したアナログレコードです。
こちらは、最近発売されましたが録音は2009年です。エレクトロニクス・ミュージシャンのSAIDRUMとセッションしました。蛇笛も入ってます。購入していただけたら蛇も喜びます。




それにしてもなんで蛇笛吹いて蛇が好きなんだろーと考えたんですが、おそらく子供の頃によく見ていたこれの影響だと思うんですよね

一番不思議なのは、なぜ今40年前の『ツチノコ』の本が新たに出版されたのか?

と思ったら、こないだ友達の店にツチノコのおもちゃがあった。

ツチノコ流行ってる訳でもないと思うんですが、、、

ー「喜捨」の意味は功徳を積むため、金銭や物品を寺社や困っている人に差し出すこと。ー あなたの喜捨に感謝いたします。