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<犬の介護で悩んでいる方に> 紀州犬ミックスの保護犬の介護の日々 (腎臓病・認知のため13歳で死去。一年間強のとても濃い日々。介護は大変でしたが、とても幸せな日々でした)

Q&AプラットフォームのQuoraにて「老いた痴呆の犬を飼っています。17歳です。毎日世話をしていますが、痴呆の世話は面倒で哀しくて、時には可哀想でも嫌気がさす事があります。私は冷たいのでしょうか?」という質問に私の体験談を投稿したところ、沢山の高評価とコメントをいただいたので、NOTEでも紹介したいと思います。ペットの介護中の方、ペットロスの方にぜひ読んでいただきたいです。(*この体験談は2022年のものです。)

老いた痴呆の犬を飼っています。17歳です。毎日世話をしていますが、痴呆の世話は面倒で哀しくて、時には可哀想でも嫌気がさす事があります。私は冷たいのでしょうか?」

私と全く同じ状況で今なお現在進行形で、腎臓病と認知症を併発し介護をしています。私の犬は紀州犬ミックスの中型犬(女の子)で、保護犬として保護団体さんから赤ちゃんの時にやってきました。若い時は社交的でよく笑い、知能も運動神経も長けている活発で健康な犬でした。

府中市生まれ。保健所・様々な命のリレーを経由して保護犬団体さんからやってきた当時
気が利いていつも温厚。そしてとても頭の賢い子でした

週末ごとに色々なところに歩いて連れて行ってあげました。そして車を買ってからは湘南から始まり、房総半島や伊豆半島の海、霞ヶ浦、富士五湖、八ヶ岳、群馬や長野の高原に至るまで色々なところへ遊びに行きました。お出かけすることがわかると前日からソワソワ・ワクワクして眠れなくなるような、そんな愛らしい犬でした。私も犬連れOKなカフェやレストランを探したり、旅先の産直で新鮮な野菜や果物を買ったりするのが楽しみの一つになり、そんな幸せを当たり前のようにも感じ、享受していました。

病気が発覚してから(横浜にて)
病気になってからは次第に痩せていきました(横浜にて)

そんな病気すらしたことのなかった我が犬の全盛期。永遠に続くとさえ思ってしまうような日々が長く続き、まあその間も色々なことがあったにせよ、今思うとそれは本当に幸せな、宝物のような日々でした。

そして変化は突然やってきました。

12歳になる数ヶ月前くらいから歩き方が突然ゆっくりになり、徐々におしっこをする時に姿勢が崩れたり、階段を登るのが難しくなってきました。いわゆる老化のサインです。当初は子犬でも、犬はあっという間に飼い主の人間の年齢を越して行ってしまう、そんな事実すら理解することができないまま当時は過ごしていました。

10歳を超えても元気ハツラツ。でも老化は着実に進んでいきます(山中湖にて)
普通に歩けなくなってからは、ゆっくりと散歩を楽しみました(お台場)

12歳半になった時、混合ワクチンを受けた数日後の夜中に突然発作が発生し、その勢いで寝ていたソファから落ちてしまいました。その後息が急に荒くなり、宥めながら何とか朝を迎えました。

翌日病院へ駆けつけたところ、腎臓の数値がかなり悪いことが発覚、輸液を施しました。その後も発作が数回起こりました。おそらくこれらの複合的な一連のアクシデントによって認知が発症してしまったのではと今は思っています。あの時ベッドから落ちなければ、もっと前に検査をしていればなど色々な後悔をしながらも、哀しくも愛おしくて、そんな感情でたまらないような日々を過ごしていました。

その後徐々に、食事も自分からは積極的に食べることがなくなり、シリンジで流動食を飲ませるような形態になっていきました。12歳はまだ若いのに。知り合いのワンコは15歳でも元気なのに。なぜこんなことに?

それでも当初はまだ少し笑顔もあり、また、たまに公園で少し走ってくれる場面もあったりして比較的穏やかに過ごしていたと思います。

その後徐々に腎臓病と認知症は進行してやせ細っていきました。全盛期に16kgあったのがなんと9kgにまで。当初は軽い徘徊だけだったのがしばらくすると角に顔を突っ込んだまま出られなくなる、今まで問題がなかった排泄が困難になり漏らしてしまう、夜泣きが始まりいつまでも泣き止まない(近所迷惑になるため雨戸を閉める)、顔が能面のようになってしまう、一日中暴れまくる(てんかん症状)など色々な症状が起こり始めました。一方輸液をすると身体の衰えが激しくなるため、代わりに漢方薬やサプリを飲ませるようにしました。

(↓痴呆症状が発症した頃。能面のような無表情になっていきました。)

介護中。大声で泣いて、すぐ漏らしてしまうようになりました(汐留のイタリア街にて)
介護中。カートから降りて一生懸命歩こうとしますが、すぐ転んでしまいました(目黒川にて)

歩けないためバギーに乗せて散歩へ行きます。途中要所要所で降ろして抱っこしたり、歩行訓練を施しますが、全く進歩が見られません。たまに少し歩けたかと思うと、すぐダメになる、そんな日々の連続です。それでもバギーに乗せて散歩に行くのは、ゴールが見えず、やり方も試行錯誤な日々の中、犬と自分自身の気分転換も兼ねているからです。それまでの散歩は朝・夕方・寝る前に少しの3回でしたが、排泄の予兆があるたびに外へ出すようになりました。

そんな介護の日々が続き睡眠不足が重なって大きなストレスに。そして何もかもが面倒に感じてしまうことが多くなってきました。いわゆる介護疲れです。

そしてある日、仕事の締切で忙しくなり徹夜状態が続きました。夜中も泣き続ける我が犬に初めて殺意が湧きました。うるさくて全く仕事に集中できない。もう死んじゃえばいいのに。
「もううるさい!」「だまれ!」

そして思わず、我が愛する犬の顔や頭を思い切り叩いてしまったのです。我が犬は一瞬顔が硬直し、さらに能面のような症状となり、朦朧とし始めてしまいました。認知ですので、我が犬はそれを理解することすらできなかったでしょう。

その後、何をやってしまったんだという強烈な後悔と、なぜこうなってしまったんだという悲しみと、そして我が犬に対する申し訳なさでいっぱいになり、可哀想でいてもたってもいられない気持ちになりました。楽しかった全盛期の思い出が走馬灯のように頭の中をグルグルしていました。ごめんね、と何度も謝っていました。

現在は13.4歳になりました。状態は相変わらず悪くなる一方ですが、たまに少し歩けるようになったり、反対に寝たきり状態になったり、気温や気圧の変化で体調が悪化したり、かと思うと具合が良くなってまた少しだけ歩けるようになったり、そんな日々の繰り返しです。その度に安堵したり、心配になったり、励ましの言葉をかけたり、そんな毎日を送っています。出張や外出も極力控えるようにしました。(コロナ禍で逆に好都合でした)ちょっとだけでも犬が元気になってくれるだけで仕事もうまく捗ります。

正直、犬の介護は本当に大変で面倒で嫌になることも多くありますが、それでもある程度は慣れも出てきて、犬の老いという現実を、自分でも前向きに理解することができるようになってきました。結局は現実を受け入れるしかありません。

年齢を考えるともうこれから長くはない犬の命。日々の症状を鑑みるといつ何が起きるかわからない日々の連続です。死が迫ってくるのが怖くて、最近はそっちの感情の方が哀しく思えてきてしまいます。夜中に鳴き止まない時には覚悟を決めて、バギーに乗せて外へ散歩に連れ出しますが、我が犬と目が合うたびに、頑張ろうねと話しかけ、そして自分で泣いてしまいます。その時の寒さが身に染みたり、月がとても綺麗な夜だったのを思い出します。

現在は、大変な中でもなんとか今の少し穏やかな状態が続くことを願いつつ、無事14歳を迎えられることを目標に頑張っています。今は泣き続けても、歩けなくても、家中が尿まみれになってしまっても、全てを受け入れることができるようになりました。自分も以前のようにあまり無理をせず、時に失敗を重ねながらもマイペースで介護を頑張っています。本当に可愛くて愛らしい我が犬なんです。

不思議で奇妙な偶然の出会いによって我が家にやってきてから今年で13年。永遠に続くとさえ思っていた活発な全盛期は突然終焉してしまいましたが、介護生活に入ってからも犬から学ぶことは本当にたくさんあります。そして自分も人間として、少しは成長することができたように感じます。

家族の一員として最後まで幸せな犬生だったと感じてもらえるよう、何があっても最後まで最大限の愛情を注いで頑張っていくつもりです。それが、犬を受け入れた私の責任だと思っています。

最近は年齢を感じさせない高齢のワンコも多くなりましたが、やはり個々の遺伝や個人差などもあり、犬のサイズや犬種を問わず10歳を超えると何かしら衰えはやってきます。認知症も犬それぞれで、色々想像はしても原因は今なおはっきりとは分かりません。我が犬は認知以外にも腎臓病もあり大変ですが、そんな現実をも受け入れ、試行錯誤でもうまく付き合う方法を模索しながら、こんな何気ない毎日に幸せと感謝を感じつつ過ごしています。

果てしない持久走ですが永遠に続くものではありません。時に自分が冷たいと感じるのは、愛情を持って接するためのブレイクタイムだと思います。自分を責めず、そして自分に負荷をかけすぎず、無理せずマイペースでうまく付き合って行ってください。私もそうしています。大変な介護生活でも幸せなことは沢山ありますし、それらはお金では換算できない人生の宝物のようなものです。ご参考にしていただけたら幸いです。

(↓認知症ですが、頑張って毎日を一生懸命生きていますよ!by さくら)

症状が進んでとても苦しかったよね。でも頑張って散歩できたね(洗足にて)

<ご報告>この解答を書いた1週間後の5月1日午後8時3分、我が愛犬(さくら)は突然体調が悪化し、最後は私の腕の中で永眠し天国に向かいました。13.4歳でした。保護犬として多くの人達から愛されて、本当に幸せな犬生でした。暖かいメッセージとアドバイスをQuoraの皆さまから沢山いただきましたこと、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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