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あなたのモチベーションは何ですか?


◎私の仕事の話


私はエンジニアのハシクレとして、製品開発のプロマネを生業としてきており、
今は顧客装置に実装された製品のエンジニアリング業務をしています。

プロマネの時は要求仕様を書いたり、
スケジュールを引いて運用したり、DRを主催したり…
製品や設計を理解しながら、開発の進捗管理をしていました。

今は顧客装置に実装された自社ユニットの調整、
新規開拓案件の技術的なフォロー、
また新製品開発時に市場要求を開発にフィードバックしたりしています。


そんな私の普段の仕事の中で、
モチベーションが上がる仕事、モチベーションが上がらない仕事を書いていきたいと思います。

これまで何回か転職してきており、自分の得手不得手は理解しているつもりですが、
改めて自分が活躍できそうな業務フィールドを
モチベーションという側面で理解しようと思います。


◎モチベーションが上がる仕事


私のモチベーションが上がる仕事は、
ものづくりにおける“わかりやすい”ドキュメントの作成です。

わかりやすい要求仕様書
わかりやすいスケジュール
わかりやすい評価報告書
わかりやすい技術教育資料
わかりやすい損益計算書

などです。

見えていない課題や問題をドキュメントにして、
尚且つそれが相手に伝わりやすい形でまとまっている。

これが私が思うわかりやすいドキュメントです。

元々、絵を描いたりすることが好きなのもあって、
ピクトグラムを使ってみたり、レイアウトをキレイにしたり、
内容以外の見栄えにもこだわったりしています。

ただ、フォーマットも何もないところから、
ドキュメント化するのはストレスに感じるときもあります。
けれど、それが完成したときの達成感でモチベーションは上がります。


◎モチベーションが上がらない仕事


モチベーションが上がらない仕事は、
継続的に行われている消極的な会議のファシリテーションとやる価値を認識されていない仕事です。

例えば、過去に誰かがチャレンジして結局何も変わらなかった業務改革の進行、
事前検討、意義などをちゃんと考えずに始まった定例会の進行や、常態化しているデータまとめなどです。

最後の常態化しているデータまとめは、
最初にわかりやすく見やすいものを仕上げると、
それなりに評価はされるのですが、
継続的にデータをまとめるとなると、それが当たり前になってきます。
つまり、最初の頃からの価値が下がっています。

定常化すれば文字や数字を入力することになるだけなので、
ただただ「めんどくせぇ」となります。



◎なぜモチベーションが上がるのか


モチベーションが上がる仕事の理由は以下だと思っています。

●興味のある分野
●人から褒められるか
●他者と優位さを出せるか
(勝負して勝てるか)
●自分のキャリアとして成長があるか
●楽しいと思えるかどうか
(自己満)


もちろんこれら全てを満たせられたら良いのですが、
経験上そんな仕事はなかったです。

1つだけ満たされたら良いものもありますし、
1つだけ満たされてもモチベーションが上がらないものもあります。


◎モチベーションが上がる仕事のエピソード


では先述したわかりやすいドキュメントの作成が
どうモチベーションに繋がっているのかというと、
すでに少し書きましたが、まず褒められることが多いからです。


それは、単に構成と見栄えで褒められることもありますし、
読み手が得たい情報をすぐに得られるという分かりやすさからも褒められます。

ものづくりのドキュメント作成において自分以外の誰かが、得たい情報を得られるようなものを書くことは結構難しいと思っています。

例えば、私が製品開発スケジュールを書くときの
話しですが、製品開発全体のスケジュールのみならず、
各設計者の細かいフェーズを理解して、それも別で記載したりします。
また量産に向けて製造のフェーズも盛り込んでいます。

設計者がスケジュールを見た時に製品開発の全体像から自分のやることを考えるのではなく、
スケジュールを見ただけで、次にやるべきことが
分かり、それをいつまでにやるのかの理由も理解できるようにしています。

もちろん、こういうスケジュールを書くのは、
色んな人とコミュニケーションを取った上でしか
書けないので、単に構成や見栄えを整える能力だけで作れるものではありません。


以前、スケジュールの見栄えだけを見て、私のスケジュールがいつの間にが社内標準のフォーマットになっていたことがありました。
(正式なフォーマットは見にくいので、勝手に構成と見栄えを変えて運用していたら、いつの間にか周りの人たちも使うようになり、ゆるりと私のフォーマットが正式なフォーマットになっていた)

ただ、それを使う人たちはスケジュールの本当の意味を理解せず、
単に報告用のスケジュールになっており、運用はできていませんでした。

そこで、ある設計者から「同じフォーマットでも私のスケジュールの方がよく分かる」と仰って頂き、
「これは勝てるな」っというモチベーションに繋がりました。

つまり、人から褒められた上に他の誰かよりも
優位に立てたことでモチベーションは上がりました。



◎なぜモチベーションが上がらないのか


モチベーションが上がらない仕事の理由は以下だと思っています。

●組織としてその仕事の必要性が低い
 →やる価値が低い→関わる人のやる気がない
●やる意味が分からない
(納得できていない)
●自己成長に繋がらない見込みがある
(キャリアの充実に繋がらない)


これは上2つはどちらか1つでも当てはまれば、
モチベーションは上がりません。

ただ「自己成長に繋がらない見込み…」については、少し違います。
自分の歩んできたキャリアの実績で仕事が完結できてしまうこと、
つまり、すでにこれまでやったことある仕事の
場合でも、それが十分に評価されていれば、
モチベーションが下がらないこともあります。



◎モチベーションが上がらない仕事のエピソード


以前、そこまでビジネス規模の大きくない顧客から
新規開発の依頼がありました。

私としては自分が関わってきた顧客の案件だったので、
形にすべく開発を頑張っていました。

ただ、部門のトップは口ではしっかりやらないといけないと言っていましたが、
明らかに協力的ではなく、細かい部分での指摘が多く、
(いちゃもんです)
開発を進める上でかなりの障壁となっていました。

特に上記でわかりやすいドキュメントの作成の話をしましたが、
私はここでもわかりやすい要求仕様書や、
スケジュール、損益計算書などを作成し、トップに共有していました。

ただ、わかりやすいがために、細かい指摘(いちゃもん)をし易くなるのも事実です。
自分で障壁を作っていると言われても仕方ないのですが、
製品の品質を上げたり、製品開発の責任の所在をはっきりさせるには絶対的に必要です。
(これは私のものづくりに対する信念でもありますが)


そこで最もモチベーションを下げたのは、
組織のトップが行っていた私と他の担当者の試作承認のやり方の違いです。

ドキュメントを一切作らず、報告もほぼしていない他の製品担当がいました。
その担当の試作承認はシステム上で
すんなり承認するのに、私の試作は例の通り、
ことあるごとに指摘を喰らい、承認までかなり時間がかかりました。

それを知って完全にやる気を失いました。

そこから口頭で「もう開発を諦めた方がコスト的にもリソース的にも良い」とネガティブな発言をするようにしました。

しかし「やらないといけない課題だ」と言うので定期的に報告をしていたのですが、
他の業務を優先するようになりました。

結果的に顧客から開発期間が長すぎるという理由で
失注となり終わりました。
営業も頑張ってくれていたのですが、申し訳ない結果となりました。


人によってはこういう逆境を乗り越えて…
ということもあり得るかと思います。

私も色んな障壁を無視して強引に進めようとした時期もありましたが、
いかんせん個人の設計力がなく、1人でものごとを進める権限もなかったので進めていくのは困難でした。


「トップがやる気がない」というのは周りの社員にも伝わります。

この仕事はビジネスとしては成立していましたが、
目の前のインパクトはなく、結果的に仕事をすることの価値がトップによって下げられてしまいました。

私にはメンバー達をケアしながら、
推し進めて行く権限も根性もありませんでした。



◎まとめ


モチベーションの上がる仕事は過去の成功体験と、
未来に得られる成果の2つで決まると思っています。

この2つは過去と未来の時系列と思われますが、
結局、両方未来に対する話になると思っています。

例えば誰かに褒められたり、
仕事で誰かに優位差が出せたと認識するのは仕事が終わってからであり、
モチベーションは次の仕事に適用される未来の話です。

また仕事を始める前に感じる「仕事での自己成長」も
仕事が完結したときに成果として得られるものであり、これも未来の話です。


モチベーションの上がらない仕事は
組織の利益にならない仕事だったり、
仕事をこなしてもキャリアの充実ができなかったりと、
着手前の前提条件が自分ではどうすることもできない場合が多いと思います。

私はそういう時はできるだけ、その仕事の中で遊ぶようにしています。
遊ぶというのは、その仕事にとって良いか悪いか分からないことでも、
いつもの自分とは違うやり方で仕事を進めるということです。

そうすることで、新たな発見があり自己成長に繋がることもあるからです。

例えば先述したトップがやる気がないときは、
報告をできるだけ遅らせて、もう選択肢がない状態にして自分のやり方を強引に採用させるやり方を取ったときもあります。
これは良くないやり方ですが、いつもとは違うことをすることで、次の仕事への学びになることもあります。



モチベーションは人によって異なると思います。
ただモチベーションの上がる要素として、
未来に得られるものがイメージできればモチベーションは上がってくるのではないでしょうか。

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