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【学んだこと】医療機器業界のものづくり


私がnoteを始めたのは最近なのですが、
Facebookに友達限定で定期的にものづくりの想い的なものを発信していました。

これは私が5年前に書いたものです。
多少修正していますが、ほぼ原文のままアップし直します。


開発の話。


今、社内で扱っている医療機器の開発のシステムやプロセスの制定をゴリゴリ進めています。


そこで医療機器業界の開発プロセスは実際どうなってるか、自分の知識から、より目新しい部分がないか、
丸1週間、医療機器の企画〜薬事申請完了までのプロセスについて東京で研修受けてきました。


感じたのは、ものづくりのプロセスとしては一様なものの存在しかないと思っていましたが、
各業界でその成り立ちや色がかなり違うと感じました。

◎不具合悪と不安全悪


医療機器業界は、電気電子業界、自動車業界に比べ、販売台数が少なく、
不具合悪、よりも不安全悪の側面が強いです。

私がこれまで経験してきた電気電子業界では、
何より不具合悪の色合いが強かったです。

台数が多い分、不具合を出すと波及範囲が広大になるからです。

規格を基に不具合を出さないための開発プロセスの構築にエネルギーを掛けています。

一方、医療機器業界はそれとは違って、
とにかく医療規格遵守の考え方が強いです。

安全に重きを置いた規格のため、
それを徹底的に守ることで製品安全を確保します。

不具合悪よりも不安全悪が前面にきています。
つまり、動かない製品があっても、最悪良い、
安全ならという考え方です。

◎医療規格について


規格自体はイギリスが発祥となっていますが、
現状はアメリカが最先端で規格の更新をかけています。

そして日本はその更新に1〜2年遅れています。
後発組になっています。


後発組ということも起因して独自性があまりないのか、医療機器のものづくりはまずはこの医療規格を参考にしています。

ただこの医療規格を絶対のものとして
ものづくりを成り立たせてるのはどうも良くないと感じます。


この西洋が成り立ちの規格ですが、
どこかの文献で奴隷制度や植民地の考え方もあると見たことがあります。

プロセス規格においては、
近場で人の支配ができない場合に遠く離れても統治担当がきっちり統治できるように…
という考えもあったようです。
(イギリス→インドのような)

もちろん、電車の車幅合わすためとか…
規格があることで、共通的なものづくりができるという良いことはあります。


ただ、人を支配するという考えが根本の規格であれば、日本人のものづくりには合いません。


そのような考えをベースにものづくりをしてきた歴史がないからです。


日本人の特性的として、
共通認識、規格などが無くても、
良い意味で属人化したものづくりが出来てきていました。

それを日本独自のプロセスとして
昇華、発展させたような規格が日本人に合う規格なのに、西洋発の規格を媒体としても、
日本のものづくりとしてはどうも噛み合わないと感じます。


特にリスクマネジメントとDRBFMを比べて見てみてもそれは明らかで、
医療機器業界で変更点、変化点重視の考えは薄く、
リスクマネジメントで安全を精査できていれば一先ず大丈夫、ダメでもFMEA、FTAでカバーすれば良し。
という形で、システマチックに規格を守っていれば俺のものづくり最強。となってる色が強いです。


ここで、何より違和感を感じるのは、
国(厚労省)が、法が、規格を参考にしろと…しかも守れと言ってることです。


確かに規格に基づき、不安全悪で良いのですが、
ものづくりに箍を設けられてる気がして、
個人的には良い感じがしません。


そもそも厚労省がものづくり知ってんのか?っという感じです。


◎まとめ


日本の医療機器業界は世界から見たときに診断分野で強みがあるとのことです。
ただ、そこも飽和してきており、
治療分野に遷移していこうとしてる傾向がみられるようです。
(治療分野の医療機器の方がリスクが高く、発売までの色んな基準も高い。)


思うのは、この時代の流れの変換点で
設計とドキュメントの最適化をどこまで図れるか…
日本独自の視点から効率的な新しいプロセスをどう作るかが課題だと思います。


特にこの研修の講師陣は医療業界を転職で飛び回っていても、他分野から…
という人は1人もいませんでした。


医療機器業界はわかったから、
他のものづくりからのアプローチを考えることこそ業界がより良く変化するために必要なのでは?と思います。


ここまで書いてきたのは個人的見解なので、
正解かどうかはわかりません。

分かるのは、ものづくりも歴史や文化によって、
各業界の考え方がかなり異なるということです。

なので、「開発」というような単語で一括りとして考えていたら、進歩はないと…


おわり

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