子供を持たないという選択
私は子供を産まないと決めていた。
厭世的な人生観や悲観的な思考が昔から強く、早い段階でこの選択を決めていた。
この選択が揺らぐことは今後一生無いと断言できる。しかしそれに後悔がないわけではない。
私は子供のことを最高のアウトプットだと思っている。
凡人でも後世に残せる唯一のものだからだ。
自身の功績が残らなくても、自分の遺伝子は継がれていく。
私も例に漏れず凡人であるから、それがとても素晴らしく羨ましいのだ。
また、私は死を待つ状態で緩やかに死んでいっている立場なので未来への解像度が低い。
この先のことを考えても意味がないのだ。
死んだらこの世の全てが関係ない立場だ。
死んだあとに戦争しようが消費税が100%になろうがどうでもいい。
私が生きている間、向こう50年なんとか生きられるレベルの環境であれば良い。
そんな私の言葉は何となく説得力が薄いような気がする。
そうこう述べたが、何より、子供をもった人はすべて幸せそうなのである。
配偶者に対し罵詈雑言吐いたあとでも「でも子供は可愛いからね」と言い穏やかに笑う。その配偶者がアウトプットしたものなのに。
きっと無条件に愛おしく大切に思えるものなのだ。
そんなの羨ましすぎる。
私も何かを無条件に愛したい。何かを思うことで穏やかに笑える人間になりたい。
私が何かを思っても常に鬱屈とした思想が横たわっている為、そこを抜けてアウトプットされる感情はすべて薄っすらと悲哀や陰湿さを含んでいる。
鬱屈した思想と共に緩やかに死んでいく人生に何の意味があるのか。
何も残せない人生に何の意味があるのか。
何も成し遂げられない人生に何の意味があるのか。
私は概ね幸せだ。
ただ子供を産んだ人間より幸せなはずがない。
無条件に人を愛することも、未来に何かを残すことも、何も成し得ない。
死ぬ瞬間まで「子供を産まなかった」という後悔を抱え続け、なんとなく生活を続けていく。
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