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フットボーラーのための楽典入門補記
さてこちらは主に論理的でない部分を中心にまとめました。論理的なお話が好きな方は以下をどうぞ。
1.音楽とフットボールと理論について
なぜこのお題目を書く羽目になったかというと以下の3つの理由から。
理由1)音楽と文化 ~夜のダンスレッスン・東アジア的なもの
Twitterではお馴染の登場人物・息子氏にある日、「そろそろこれも踊れんじゃね?」ということで、「Tell me」のJ.Y.P.動画をスロー再生して踊らせていたんです。
しばらくすると息子氏が「これって千本桜に似ている」と言い出しました。よくよく聞くと「演歌に似ている」という話で、なるほどと思ったんです。この曲ではありませんが、テレビで、J.Y.P.が、東アジア的な音と80年代ディスコ音楽を混ぜたら日本でもうける曲になったみたいなことを言ってましたからすごく納得したんです。文化的な音というのがあるんだなと。(80年代までの日本と韓国の音楽が似ているという話も興味深かったのですが、本題からそれるので誰か書いてください)
理由2)文化とプレイと理論 ~和式・洋式論争
で、Twittererなので、毎日、TLを眺めているわけですが、洋式だ!和式だ!とか、5レーン理論だ、PotitonalPlayだとか喧しく議論が起こっていますが、さすがに飽きてきたというか、それってどうなのっていう気分にもなりつつあったんですね。
ヴェルディ時代のロティーナにだいぶ勉強させてもらった私なので理論的なサッカーは好きな方ですが、どちらが上とか下とかはないんじゃないかなというのが正直な気持ち。ただ結果が出る出ないはあるわけで、それが理論と直結する問題なのかとなると「うーん」となるわけです。まあ永井ヴェルディの進捗を見ていてもさらに「うーん」となるわけですが。
なんとかこのもやっとしたものをうまく説明できないかなと思っていたところ、息子氏の話もあって、音楽と準えたらうまく行くんじゃないかと思ったんですね。んで、きーすさんが書いたんで、いよいよ書くかと。
理由3)プレーヤと理論 ~アメフトとセッションギタリスト
さらに過去の経験から。学生時代、アメフト少しかじったんですけど、練習中にコーチに怒られた話があって、それもヒントになりました。
初心者だらけだったので「ラインの位置はこうだよね」とか「そこだと当たるから投げれない」とか「レシーバーの走るコースが悪い」とか、文句続出。QBがじゃあこの選手はこう動く、何歩を何秒で動くとかきめ出しました。なので、いつまでたっても練習が進まず、ついにコーチが切れる。*
「そんなにプレーしながらガチガチに指示したって、実際、出来ないだろ!5yardのフックって言ったら5歩行ってフックなんだよ!そこの細かいバランスは二人で合わせんだろ。」
他のチームの指示はどうなってるんですかと文句を言うと
「ルックインとかTEショートとかXからのダイブとかしか言わないよ。5yardとか基準が自分の中に落とし込めているから。一部校はね、それだけでわかる。ちゃんと全体の動きを理解して自分のすることもわかっているから。だから合わせる前に出来るように練習するの。で全体の勉強もするの。普段やってないからだよ。わかったらやる!」
これを聞いて、「すごい!セッションギタリストだ!」と思った記憶があったんですね。どんなスタイルの音楽であっても、スタジオに来れば一発で最高のプレイを録音するというのが私の中でのセッションギタリスト。これみたいでカッコいいと思ったんです。プレーヤーとしてもかくありたいと。
でもいったい何をすればいいのか。セッションに合わせるための学習とはなにか。理論と実践の間にあるものって掴みにくいですよね。(理論からこぼれるものもあるわけで。)
この辺の論理と感覚の間のもやっとしたもの、それを掴むヒントはないかなと思って書き出した次第です。
2.文化と音の関係 ~東アジア的な音と西洋音楽理論
おまたせしました。やっと音楽の話です。
東アジア的な音楽という話で「千本桜」と演歌の話はしました。この東アジア的(日本的?)音の特徴として、ファとシの音がないヨナ抜き音階 (4の音と7の音を抜いているからこう呼ばれます)というものが使われているのが挙げられます。代表的な音楽としては以下の音楽があります。
主にサビ部分ですが、ヨナ抜き音階を使っている曲です。
「にんじゃりばんばん」きゃりーぱみゅぱみゅ
「夜桜お七」坂本冬美
「恋」星野源
「打ち上げ花火」DAOKO × 米津玄師
「パプリカ」米津玄師
ヨナ抜き音階を西洋音楽的に表現するとメジャー・ペンタトニック・スケールになります。ギターを習うと真っ先に習う5音音階です。
スケールとかまた面倒なこと言い出したと思った人のために簡単に整理しますね。
スケール(scale)とは、簡単にいえば「音の並び方」を指す言葉です。日本語でいう「音階」のこと。ピアノの鍵盤を思い出してください。低いド~高いドまでの間に、白が7、黒が5、計12個の鍵盤があると思います。
このヨナ抜きなのですが、唱歌とか、蛍の光等、明治期に作られた音楽で良く使われていました。やはり欧米化の流れで理論的な音楽が取り入れられたから等と言われています。
なぜヨナ抜き音階だったのかというと、かつて中国から伝わった音階だったので馴染みがあったからという説もあったりします。これもなかなか面白いですよね。
また日本にはヨナ抜き以外の音楽というのもあります。民謡は念仏躍りといったものにルーツを持つ音楽です。
一般的に音楽には3つの要素があると言われます。
メロディ、ハーモニー、リズム。
日本の音楽にはメロディとリズムの要素は強いですが、ハーモニーは少し弱いかもしれません。民謡は盆踊り等と親和性が高いのは理解できることです。リズムはダンスに結び付きやすく、普遍的にどの文化にもあるものですが、メロディやハーモニーは文化によって全く異なるとも言われています。
どの音が心地よいかは文化的な影響を受けると言われています。社会に受け入れられる音がやはり残っているからなのだと思います。社会に受容される音とは何かというのは深い話ですね。
3.結論 いかにクリエイティブであるか ~「しくみ」と「方法論」の双方向からのアプローチ
で、結論。論理的なアプローチの方と結論は一緒ですが、文化は簡単に変わらない。前にも組織文化のところで話しました。その文化圏の人の価値観が変わらないと変わらないよという話はしたと思います。
で、アカツキが去り、永井ヴェルディは「うーん」という進捗で、なかなか人生難しいなと思わざるを得ないわけですが、権力構造にズバッとメスが入ったのは自分でも慧眼だったなと思います(自画自賛)。
で、話を戻すと、文化を理論で変えられるのかというと難しいなと。ただプレイは変えられる。ただそのプレイが受け入れられるかが難問ですが、変わらなければ文化、価値観も変わらない。(ちなみにヴェルディはプレイが変わっているかが現在かなり微妙です)
ここで明らかにしたいのは、その価値観を変えるような表現(プレイ)のクリエイティブな部分をどうやって作るかということです。それは言い換えると理論的なものが創造性に貢献できるのかという問いでもあります。
音の背景には文化(社会)がある。理論で縛られるのでなく、プレーヤーの自由な創造を得られるようなものはできないのかなというのがここで書きたいことです。
そこで音楽について書かれたものを読んでいたら、次のフレーズに出会いました。
「しくみ」には厳密な定義づけや裏付けが必要不可欠です。一方「方法論」として(音楽*)理論を利用する場合は、むしろ創造性の方が重要です。
*( )は私が付けましたが、この考え方は「いきくん」という方の文章に影響を受け、サッカーと関連させた表現に変えています。
①理論は(物理的な根拠も含む)そのプレイ(演奏・競技)のしくみの解明によって成り立っている。
②そのしくみを方法論として利用して、プレイ(演奏・競技)がされている。
③表現(プレイ)を分析する際も、やはり材料としてその「しくみ」を使い、理論は適時補強、更新され続ける。
つまり「しくみ」と「方法論」は区別されるだけでなく、「しくみ」→「方法論」→<表現>→「分析」→「しくみ」という円環をなしている。構造を理解するうえで、まずは「しくみ」と「方法論」を分離する必要があるが、現実は「しくみ」→「方法論」への一方通行ではない。
だから理論の枠内に収まるようにプレイするのでなく、プレイするための方法論として吸収する。方法論から導かれた創造性あるプレイすることで、受容する側がそれを価値のあるものとして受け入れていく。そうすればプレーヤーは個性あるいは創造性が発揮できるのではないか?そんな話なのではないかなと。
それを音楽の力を借りてまとめてみたのですが、いかがでしたでしょうか。
*アメフト話
アメフト関係者に怒られないように書きますと、別にノリでやれ!といってるんじゃなくて、コーチの方で理論的な部分を落とし込む練習をしてくれるというのが正しいかと。
だいたいサッカーで理論的というと下の文章のような理解だと思うのですが、アメフトは実際にはもっと踏み込んで練習に落とし込んでいるかと思います。
この概念的な理解を実践に落とし込む過程が以下かなと。
なので理論派はがちがちでつまらんとか言われますが、サッカーはまだまだ自由度が多いような気がします。
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