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【実践例】生活単元学習でお菓子作りのパンフレット

特別支援学校では、国語や算数などの教科別の学習だけでなく、生活単元学習と呼ばれる科目があります。初めての人であれば、どんな活動をしたらよいのかわからなくなるかもしれません。

そこで、少しでも参考になればと、私の実践例を紹介していきます。


今回は児童が好きな調理活動を通して、硬貨の数を数えたり、硬貨がいくつ足りないのかを考えて出す算数の力、自分の体験を話したり文字や写真で表現する国語の力を養うことを目標としています。


生活単元学習 実践例


単元名 

「かいて、みせて、つたえたいな。おかしづくりパンフレット」

目標

国語:【書くこと】1段階と2段階

算数:【数と計算】1段階と2段階

対象児童 

小学部3年生 男児2名(1段階1名、2段階1名)、女児1名(1段階)

単元計画

① 導入

導入段階では、学校行事で頑張ったご褒美として教師が用意したチョコを食べる時間を設定しました。

その後、「これ、みんなも作ってみない?」と発問し、児童三人が好きな調理活動を促し、意欲を高めました。そして、「家でも作ることができるように、作り方をまとめたパンフレットも最後に作るよ」と話し、単元全体の見通しが持てるようにしました。

② 買い物学習

次の小単元では2時間使って買い物を通した算数学習を行いました。

スーパーに行く前に、1段階の子は「3までの指定された枚数の硬貨を出すこと」、2段階の子は「10までの数において、足りない枚数の硬貨を考えて合わせて出すこと」を主な目標としました。

買うものは決まっているので、いくつ硬貨を出す必要があるかは把握できるためこちらで児童それぞれが買うものを指定しました。


1時間目は、教室でお店屋さんを行い交代して買い物に取り組みました。2時間目には、実際にスーパーに行って買い物をしました。2段階の児童は、8枚の硬貨が必要で自分が3枚持っていることから、教師に「あと5枚足りない」ということを伝えてから受け取り、店員さんに渡すことができました。


1段階の児童も「2枚必要だよ」と言われて2枚出したり、1枚ずつ数えて出したりする姿が見られました。


③ 調理活動

調理活動では、難しい工程はせずに楽しく作れることを大切にしました。

しかし、手順を一つずつ確認しながらレンジに入れたり混ぜたりする活動に取り組んだり、交代して洗い物をするなど集中して取り組んでいました。

次の時間でパンフレットを作成するため、教師は写真を撮りながら活動を見守りました。


④ 写真と文章でパンフレットを作成

調理活動が楽しかったため、活動の写真を見ると様々なことを発言していました。

混ぜるとき、チョコが手についちゃった

レンジに入れる前にラップをした

混ぜ混ぜ~

などのように児童それぞれが話したこともホワイトボードに記載しておきました。


そして、台紙に写真と4工程に分けた作り方のシール、一言カードを用意しました。

まず、活動の手順を思い出して、1ページに1枚の活動写真と作り方シールを貼りました。

そして、一言カードには最初に児童が発言したことや写真を見ての感想などを想起書きしたり、教師が書いた上からなぞり書きをしたりして、ページごとに貼りました。

完成したパンフレットは自宅に持って帰り、家でおうちの人と作ってみてと伝えて、今回の単元が終了しました。

実践例を振り返って

今回紹介した実践については、当時の写真がほとんどのこっていないため、活動のイメージがしにくかったかもしれませんが、大まかにはこのような単元計画で行ってきました。


調理活動は細かい配慮が必要になりますが、児童生徒にとっては楽しい活動になりやすいため、意欲を出させて思考を引き出すことにつながります。普段プリントに文字を書いたり具体物を数えたりするような学習に比べて、楽しく思考することができたのではないかと考えられます。

生活単元では、児童生徒がのめり込むような楽しい活動であることを前提として、その上で児童生徒に身に付けてほしい考え方や知識・技能を育むことができる単元にしています。今回は国語や算数でしたが、音楽や体育、図工などの目標を合わせた活動もあります。

今回は生活単元の中で、今まで学んできた国語や算数の力をより向上できるようにしましたが、逆に生活単元をする中で児童が「これって、どうやって書くの?」「砂糖5gの『グラム』って何?」といった、想定していなかった新たな疑問が生まれてきたときは、国語や算数のような教科学習において、集中的に学習をするスタイルをとることもあります。


教科学習においても実践例を紹介していますし、今後も生活単元学習やそれ以外の実践例も紹介していきますので、ぜひご覧ください。


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