見出し画像

【実践例】生活単元学習でお菓子作りのパンフレット

特別支援学校では、国語や算数などの教科別の学習だけでなく、生活単元学習と呼ばれる科目があります。初めての人であれば、どんな活動をしたらよいのかわからなくなるかもしれません。

そこで、これまで私が実践してきた生活単元の実践例を紹介していきます。過去に投稿した記事も下に載せていますので、良かったからそちらもご覧ください。


今回紹介するのは、「お菓子作りのパンフレット」という単元です。こちらはコロナウイルスが蔓延する前の時期に、勤務していた特別支援学校の小学部で行いました。

大まかな内容としては、「調理活動でおかし作りを行い、その様子をパンフレットとしてまとめていく」といった内容になっています。

買い物学習や調理、国語の学習といった内容が多く網羅されている単元になります。どのように活動をしていったのかを、これから紹介していきます。



生活単元 
「しょうかいしたいな おかしづくりの パンフレット」

児童の実態


細かい情報は今回記載しませんが、本単元における学習グループは小学部に在籍する低学年3名で、1人はほぼ全ての教科において小学部2段階程度、もう2人は1段階程度の発達段階です。

1人は日常の会話が少し難しいですが、単語レベルで話したり書いてある文字を拾い読みすることができます。他2人は自分の伝えたいことが話せたり、教師の話を聞いて行動することも可能です。

単元構成について

今回の単元では「パンフレットづくり」をメインの活動としていました。そのため、意欲的にパンフレットづくりができるように動機づけの一つとして子どもたちが好きな調理活動を入れて、生活単元の計画を立てた。

このように、メインの活動を積極的に行えるために、児童が好きな活動をサブにして取り入れる単元計画を私はよく行なっています。

※  画像挿入(いくつかの活動があって、メインがあることがわかる画像 ピラミッド?

① 導入 「試食をして、作りたいお菓子を決める」

最初は単元における動機づけをするために、1週間前に行われた学習発表の振り返りをした後に、お疲れ様会として、教師側で用意したお菓子を試食しました。もちろん、3人が共通して食べられるもので2種類用意していました。

その中から、「今度の生活の授業で、自分たちで作ってみたいのはあるかな?」と発問し、作りたいお菓子を選ぶことにした。たまたま、3人とも同じものを選んだので1種類になったが、もし意見が分かれた場合は2種類作ることにしていました。

それは、できるだけ自分の作りたいものを作れるようにした方が、メインにしていた「パンフレット作り」への動機づけになると考えていたからである。

② 必要なものを考え、買い物をする準備をする

学校行事の都合上、この日は生活の授業が15分ほど短縮することになりましたので買い物に行く時間が取れませんでした。

そこで、この時間では作るお菓子に必要な材料、買い物に行く場所や気をつけることなどの確認をしました。

3人それぞれで購入するものを担当分けしました。そうすることで、自分の役割が明確になるからです。

今回作ることになったのは簡単な「チョコプリン」だったので、買うものは以下の3つでした。

  • チョコ

  • マシュマロ

  • 牛乳

③ 買い物に出かける

学校から歩いて5分圏内にスーパーがあるので、そこへいきました。当日は児童3名と教員2名で、財布と自分が購入を担当しているものの写真を買い物バックに入れて出発しました。

スーパーは子どもたちにとっては広い場所なので普段訪れない場合は迷いそうですが、それぞれ担当したものの写真を見たり「あっちにあると思う」などと会話したりしながら、どこにあるのか探して買うことができました。

④ 調理

いよいよ調理になり、3人とも気合が入っていました。あまり気持ちがふわふわしている場合は怪我や事故の可能性が高まるので、ゆっくり会話をして落ち着かせることがあります。

しかし、この時はそこまでする必要はない丁度良いテンションでした。

調理の手順は以下のようになっていて、ホワイトボードにイラスト付きで手順を示して子どもたちが確認しながら調理に取り組めるようにしました。

1年生の時から何度か調理の活動も行っていたこともあり、レンジを使って混ぜる工程であれば、教師は見守るだけでも十分なくらいでした。何より、楽しそうに会話しながら調理をする子供たちの姿が見られたのは、こちらとしても楽しく取り組めました。

氷と塩を入れた容器にチョコプリンを入れた容器を入れると、早く粗熱を取ることができます。冷蔵庫に入れる時間も短くて済むので、すぐに固まって食べることができました。

また、クリームやチョコソースなどのトッピングも用意しておき、「美味しいね」と会話をしながら食べていました。そして、楽しい雰囲気のまま次のパンフレットづくりについて話をしました。

「こんなおいしいプリン、だれかに紹介してみない?」と発問し、おうちの人や学校の先生などの名前が挙がりました。そして、「『パンフレット』っていう紙を作って、その人たちに今日作ったプリンの作り方を教えてあげようよ」として、次の時間でパンフレットづくりをすることを伝えました。

⑤パンフレット作成

調理の際に写真を撮っていたので、調理を振り返りながら、作り方やおすすめの食べ方などをパンフレットに記載する項目を大まかに決めました。

パンフレットは以下のような構成で、見開きで作っています。

  • 表紙  :作ったプリンの写真、自分の名前

  • 見開き左:プリンの作り方

  • 見開き右:おすすめの食べ方(写真付き)

  • 裏表紙 :作っているときの写真、感想

見開きの左右に関しては、調理の際に掲示した手順を小さくしてなぞり書きや想起書きをしたり文字シールをマッチングしたりして項目ごとに作成し、貼っていくことで作成しました。

調理が楽しかったこともあり、製作中に調理活動を思い出しながら「家で一緒に作ってみたい」や、「見てくれるかな?」といった声も出てきました。なにより、文字を書いたりマッチングしたりする活動は普段の国語でも行っているにもかかわらず、より集中して取り組んでいる姿が印象的でした。


単元後の児童の姿

作成したパンフレットを学校にいる先生や保護者に見せていました。そして、調理についての感想だけでなく「こんなことも紹介したい」や、「書くのを頑張った」と、パンフレットづくりについての感想も出てくるようになりました。

さらに、その後の国語の授業においても、普段より2枚多く文字を書いてみたりホワイトボードに勉強した平仮名を自分から書いてみる姿が見られました。


教師のフィードバック 

数年経ってからこの単元を改めて振り返りますが、子どもたちにとっては調理という楽しいメインの活動を動機づけにして国語の「書くこと」について取り組めたのがよかったと思いました。何より、自分から何かを書こうとする姿が以前より見られたのではないかと感じました。

しかし、パンフレットづくりをしている中で、想起書きでは書けない文字があることがわかり、「さ」が反対になったり「~を」が「~お」になるなど、文字や言葉についての知識理解がまだ不十分であることも感じました。

これについては、国語の授業でも時間をかけて学習を積み重ねていく必要があると感じました。

楽しい活動で動機づけをして学習する生活単元学習と、より深く知識身に付けていく教科の学習との両立を深く感じる単元になったと思いました。

最後に

もしこの実践がいいなと思いましたら、ぜひ取り組んでみてほしいです。児童生徒に応じて内容や支援を変えてみるのもいいかと思いますので、「こうしたらよかった」、「子どものこんな姿が見られた」というのがありましたら、ぜひ教えてほしいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

⇧ 私も記事を書いて掲載させていただきました。 ⇧


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?