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ウクライナ国立歌劇場「カルメン」@東京文化会館
上野の東京文化会館でウクライナ国立歌劇場(旧キエフ・オペラ)のカルメンを観た。
公演自体は何年も前から予定されていたが、ロシアによるウクライナ侵攻で開催が危ぶまれた時期もあったらしい。黒海が封鎖されているため舞台装置を輸送できず、日本で調達すると光藍社のサイトに書いてあった。
クラシックのコンサートで毎回寝てしまうので不安だったが、カルメンは超有名曲のオンパレードだし、フラメンコ、闘牛と演出も華やかだからさすがに寝落ちはしなかった。予習した甲斐があった。
指揮者が来日できず変更されたのも影響してか演奏はちょっとごちゃついていた。特に第2幕最初のジプシーの歌が崩れ気味で残念。とはいえ、生のオーケストラは迫力が段違いで楽しい。
タイトルロールだけにカルメンはでづっぱり。しかも消費カロリー多そうな曲ばっかり、よく歌えるな…。シヴァチカさん、最後まで圧巻でかっこよかった。
カルメンしかりオペラにはファム・ファタール(男性を破滅させる魔性の女)がつきものだが、実はカルメンってそんなに悪女感ないと思う。その日暮らしで恋愛体質のカルメンと、地方出身のまじめな公務員ホセは住む世界が違っただけに見える。よっぽどヤバいのは仕事も婚約者もほっぽり出してストーカーしてるホセだろう。この話、男性に都合よすぎるんだよな。今更言うまでもないことですが…。
オペラ×フェミニズム・クィア批評、ちょろっと検索しても出てきたので、ちゃんと調べてみようかな。クィアに描き出す演出もあるんだろうか。
近くの座席に西洋人のグループがいたのでウクライナの方かな?と思っていたら、やはりカーテンコールでウクライナ国旗を掲げていた。
バレエのくるみ割り人形はチャイコフスキーの作品だから上演しない、というニュースがあったけど、作品に罪はないなんて言うのは簡単で、そりゃ見たくない人もいるよなと思った。かといってデリケートな作品は全部上演禁止にすればいいんでしょって話でもないし。
今回は装置や練習環境の問題できっと本領を発揮できなかったんじゃないかと思うので、今度は万全な状態のウクライナ国立歌劇場を観たい。
内容の話じゃないけど、東京文化会館は小ぶりなので舞台がよく見えて良かった。やっぱり表情がよく見える距離がいいな。
ロビーからホールへ歩いていくだけで高揚するような内装も良い。天井も照明がランダムに取り付けられていて、星空みたいで素敵なのだ。もちろんホールの中もかっこいい。埼玉会館しかり、前川國男建築は結構好みかも。
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