バッハに会えるタイムマシンが有るという話
バッハ & タイムマシン
2つの単語をお題にしてコラムを紡ぐ企画、2単語コラム。
今回は「バッハ」と「タイムマシン」で考えてみる。この2単語、何か関係があるだろうか。
「何人かに一人」の天才
バッハは西洋音楽史における天才の一人。西洋音楽史の世界では、このような人たちが時代を作っていったと言われる。
バッハ・ヘンデル・ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン・シューベルト・シューマン・ワグナー・ブラームス・リスト・ショパン・チャイコフスキー・ドビュッシー・ラヴェル・シェーンベルク・・・
他にも沢山の音楽家が生まれて死んでいったであろうが
歴史に名を残した音楽家が限られているのは、もちろんここに並ぶような音楽家が「どこにでもいる人」ではなく、めったにいない人、「何人かに一人」の天才だったからだろう。
<イメージ>
じゃあ、一体バッハが生まれてから生まれてからシェーンベルクが生まれるまでの間にいったい累積で何人の人がこの地球に生まれたんだろう?
累積で何人?
それを推定するにいいサイトがある
PRB (Population Reference Bureau)の推計、"How Many People Have Ever Lived on Earth?" である。
このデータを用いて バッハの生年からシェーンベルクの生年までの約200年でこの地球に生まれた全ての人の数は、74億人と推計 *できる。
「ある年時点での人口」ではなく、この200年に生まれたすべての人の合計が74億人というのは少なく感じるのではないだろうか。
worldometer によると、2020年12月時点現在の人口は78億人だ。
今日この瞬間に生きている人が78億人いる。
バッハからシェーンベルクまでの200年に生まれて死んでいった全ての人間の累積合計が、今日この瞬間に生きている人口より少ないというのは意外な感じがする。
これは、人口が最近になって急激に増えていることを意味している。
天才に厳しい世界
仮に天才が一定の人数に1人の割合で登場するものだとすると、
バッハからシェーンベルクまでの間に生まれた全人口よりも多くの人口が今日この瞬間にいるのが現代である。人口比で考えるなら、今日この瞬間に、
・バッハ
・ヘンデル
・ハイドン
・モーツァルト
・ベートーヴェン
・シューベルト
・シューマン
・ワグナー
・ブラームス
・リスト
・ショパン
・チャイコフスキー
・ドビュッシー
・ラヴェル
・シェーンベルク
... の全員が同時にいてもおかしくない。
そう考えると,現代というのは、天才として名を残すにはハードルの高い時代だ。
昔だったら、「世界に1人」「唯一無二」の天才だったような人も、現代だとそこまで目立てないであろう。
昔の「国一番の天才」も現代だと「県で一番の秀才」かもしれない。昔でいったら十分に天才なんだけどねーという感じ。
共時的タイムマシン
でも、逆に考えると、現代は、
・バッハ
・ヘンデル
・ハイドン
・モーツァルト
・ベートーヴェン
・シューベルト
・シューマン
・ワグナー
・ブラームス
・リスト
・ショパン
・チャイコフスキー
・ドビュッシー
・ラヴェル
・シェーンベルク
...のようなレベルの天才が同時に存在しうるワンダーランドのようなものだとも言える。
タイムマシンに乗らないと会いに行けなかったような偉人が現代にはたくさんいる。それが現代に生まれた特典である。
現代人である我々にとって、タイムマシンに乗るのと飛行機にのるのとは同じようなもの。地球上のどこかに「バッハ」も「シェーンベルク」もいる。飛行機やzoomやfacebookはタイムマシンみたいなもの。
いわば共時的タイムマシン。我々はタイムマシンを手に入れていたのかもしれない。
*推計およびグラフ作成に使ったBackdataはこちら。
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