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「デザイン経営」組織の構造とは

“Design is everywhere. From the dress you’re wearing to the smartphone you’re holding, it’s design.”— Samadara Ginige

「デザイン経営」組織とは

前回のnoteで、

ビジネスをスペキュラティブにデザインする(見立てる)ことが、経営におけるデザイン
であり、
経営におけるデザインを推し進める方法が「デザイン経営」であり、
そのための組織体制が、「デザイン経営」組織

と位置づけました。

また、文末に


ビジネスを見立てて、サービスやブランドを通じてステークホルダー全員のUXを継続的に向上させるには、
CXOやデザイン管掌役員を外部から連れてきて据えるだけだったり、
たんにスタイリングができるグラフィックデザイナーを経営陣に昇格させるだけでは足りない。

とも結びました。

では、どのような組織の構造になればよいのでしょうか?

Sabine Junginger『Design Maturity Model』(2009)と、
ピーター・メルホルツ,クリスティン・スキナー, 長谷川敦士『デザイン組織のつくりかた-デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド』(2017)
をあわせて引用しながらみてみます。

デザイン組織の変遷

『Design Maturity Model』と『デザイン組織のつくりかた』にある組織構成の図を合体してみました。

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ちょっと小さくて見えづらいので、ひとつひとつ見ていきます。

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みなさんの組織はどのような組織でしょうか。

下にいくほど成熟度が高い、という認識なのですが、
デザイン組織について語っている我々も、もしかしたら・・・おっとだれかきたようだ

気づいたこと

ビジネスをスペキュラティブにデザインする(見立てる)ことが、経営におけるデザイン
であり、
経営におけるデザインを推し進める方法が「デザイン経営」であり、
そのための組織体制が、「デザイン経営」組織

と結んだ前回のnoteと、この図を描いてみて
気づいたのは「デザインが統合されている組織」は、外形的に宗教と近い、ということでした。


「デザイン経営」組織と宗教のアナロジー

宗教的組織との対比が以下になります。

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『デザイン組織のつくりかた』でも言及され、
「デザイン経営」セミナーにおいて経済産業省・特許庁の「デザイン経営」メンバーのかたからもお聞きする、
「デザイン経営」組織とは2階建て構造であるというお話が、理解できてきました。

「デザイン経営」組織とは、
・ビジョナリーの見立てを布教するチームと
・それを「可視化」によって「伝達」して実行するチーム
2階建て組織 と考えてもよさそうです。

デザイン組と実行組

宗教論的2階建て構造を、会社の組織に置き換えてみると、
以下の2階建てになります。

・教化の役割を担う   『デザイン組』
・教化をうけて実行する 『実行組』

※ここでいうデザイン組は、従来のデザイナー(グラフィックデザイナー)を指すのではなく、「見立てる」「みたて’」役割の人を指します。

『デザイン組織のつくりかた』では全体・戦略・構造・外観の4レイヤーで定義していましたが、ここでは、戦略・構造・外観・実行の4レイヤーとしてみました。

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戦略と構造レイヤーが得意なタイプが『デザイン組』
理論・体系化とお告げの策定、実行組織へのインストールがミッション
社会インパクト、ブランディングが評価
構成メンバーとしては、リードエンジニア・リードアーキテクト・一部のPM、サービスデザイナーも入ってくるだろうと思われます。

外観と実行が得意なタイプが『実行組』
お告げの実行がミッション
実行された各施策のKPIベースで評価
構成メンバーとしては、プログラマ・コーダー・PL、WEBデザイナーなどが入ってくるだろうと思われます。また、マーケティングチームやビジネスコネクション(営業活動)チームもこちらでしょう。

ただし、この構造は単純な上下構造にするだけではなく、部分部分で入れ子構造や重なりの構造になるものだと思いました。

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※上記はまだうまく表現できていません。また筆者の想定であり、組織としてのパフォーマンス効果は不明

「デザイン経営」組織における効果測定

2階建て構造として、それぞれの創造する価値やKPIが異なってきそうなことまでは、想定できました。

そして上記の「デザイン組」の実施することははおそらく、
実行行為と現象における一対一の直結ではなく、
ユーザーの感情・心理・誘導などによる、定量化の難しい総体的な行動変容として結果が現れてくると思われます。

その定量化の難しい総体的な行動変容を、実行組のKPIの定量変化と繋げ、数字と理論で説明できるスキルを持ったデザイナーが求められてくるように思われます。(=デザイン・サイエンティスト)

「デザイン経営」組織のスケールアップ

ビジネスをスペキュラティブにデザインする(見立てる)ことを、経営におけるデザイン
であり、
経営におけるデザインを推し進める方法が「デザイン経営」であり、
そのための組織体制が、「デザイン経営」組織

とした前回のnoteで、

デザインとは社会に対する「新たな発見」ではなく
「実はもう存在している視点(意味)を掘り起こす」こと、
「見立てること」にほかなりません。

とも言及しました。

「見立てる」にあたり、アイデアは世の中の組み合わせでしかなく、科学的に見立てるほかに、過去の膨大な試行錯誤の蓄積の結果として組合せが「見えてしまう」場合があります。

その「みえちゃった」の状態が、特異で価値のある問題解決能力であり、そうなることが、デザイナーとしての成長であるといえます。

デザイン組でこの「見立て」を同じ視座・価値観でできる人材を増やすことと、実行組のスケールアップとのバランスにより、デザイン組織として拡大していくことが可能になるのではないでしょうか。


参考にさせていただいたnote、medium


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