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講演時にいただいたご質問に回答します(その1)

去る9/3(木)17時より、ビザスク様主催のセミナーで講師をつとめさせていただきました。

時間中にたくさんの質問を頂いたのですが、回答出来きれませんでしたので、私のほうで回答ができるものを、noteで回答いたします。

ペルソナについては、よくヒアリングでよくある要素を詰め合わせた仮想人物では、存在しない理想像になってしまい意味がないという人がいますが、この点についてもしお考え・ご意見あればご教示ください。

はい、そのように思います。まさに講演中の「都合のよい非実在ペルソナ」になります。詰め合わせるのではなく、複数の実在しうるペルソナにしたほうがズレがなく、本質を掴むことができるでしょう。


都市銀行様の例で、何故クリティカルシンキングを用いられたのでしょうか。

批判的に物事を見ることで、現状の課題をあぶり出すことは、よく用いられる手法です。最初の問いについては、現状を是とせず、「なぜ」を繰り返すことで、問いのポイントを見つけることができるのではないでしょうか。


人間中心設計という考え方に興味を持ちました
見当違いの質問であれば申し訳ないのですが、仕掛け学みたいな考え方もあると思いますが、根本的に違うものでしょうか??

はい、仕掛け学というのは、人間を行動させる設計ですので、人間中心設計でいうところの「設計による解決策の作成」です。その解決策の見つめ方において、仕掛け学は、より「心理学」「文化人類学」の要素が強いです。

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実在しないターゲットをこじつけていることと、適切なターゲットへと絞り込むことの見極め方やチェックする観点はありますか?気づけばこじつけになってしまっていた、というときにどうしたら気付けるかを知りたいです。

まず、まわりにそのモデルとなる人がいるか?を観察・リサーチするとよいでしょう。関係者以外にそのような人が現実にいなければ、こじつけのターゲットとなっている可能性が高いです。


ドライバーの動きを付箋を使い洗い出すとありましたが、ドライバーの最初の選定はどのようにされますか?ヒアリング先によって、ペルソナができてくるのであれば、そのヒアリング先の妥当性をどのように担保していくかが気になります。N数の多さでカバーでしょうか?

BtoBでしたので、想定される業種、そこからドライバーをある程度絞り込むことができましたが、仰るようにヒアリングの多さによって、シーンの幅も出てくるものと思われます。ただし有期のプロジェクトであり、ある程度の数を出したところで、シーンの選定に進みました。
すべてを網羅することは必要ですが、網羅が目的になっていては、プロジェクトが進みません。妥当性の担保はだれにもできない(ヒアリング先の妥当性を担保する計算式はつくれない)ので、妥協は必要で、ターゲットにミートしない場合は何度も繰り返す、その繰り返しの回数のほうが重要です。

当事者が感じたことをそのまま受け取らないというのは理解ですが(食事の例では多い)、そこからどこまでかみ砕くかは何かポイントがありますでしょうか?多いと感じた後のアクションも実際に想定してみて考えるとかでしょうか?どのようなプロセスでまずいというインサイトを得たのか気になりました。

説明はあくまで例でしたが、噛み砕く=行動観察・一緒に体験する、ということになります。この場合だと、一緒に食べることで、観察者自身がまずいと感じることで、インサイトとなりえますが、外から見ているだけではそのインサイトにはたどり着けないという喩えとなります。


研究開発をしているのですが、技術ありきで考えざるを得ないという課題があります。インサイトを抽出して課題を明確化しても、当初予定していた技術が解決策として使えない場合があります。開発している技術をうまく活用するためには、どのような考え方で取り組めばよいでしょうか?

技術ベースもインサイトベースも両輪が必要であると感じますが、課題とインサイトが同時にミートすることは、まずない、というのが率直な印象です。ミートさせようとすると、「いまあるものをうまく活用する」という方向でこじつけが発生してしまいます。
その技術の研究開発の元となった、衝動や考えなどから、洞察していくのはありかもしれません。


デザインシンキングは関係者の共感、納得感を得るためのツールなのでしょうか?「本当にそんな人がいるのか?」「参加者全員の最小公倍数のような、都合のよう人物像が出てこないか?」という疑問が湧きました。

仰るとおり、万能ツールでもなければ、必ず成功するツールでもありませんので、都合のよい人物になってしまうことはあるかもしれません。

人間中心設計・デザイン思考の落とし穴として、
対象とされた製品なりサービスに関する、ユーザビリティ向上にむけた調査対象の母集団形成にあたって、原則的には、ユーザーを狭義広義ふくめて幅広く設定しましょう、となっていますが、予算と時間には限度があるなかでは、広く集めるには限界があるでしょう。
プロセスを主導する人たちから全くユーザーとして考えられなかった層は、「共感」をする対象にすら加えられません。

そうすると、そもそも共感の対象に偏りがでてしまいます。
言い換えれば、これらのプロセスで行われるいろいろは、先入観により偏った対象集団の知的・感覚的レベルより外には出られません。

そのことを理解しながら使わないといけない、と考えています。


共感のプロセスにおいてユーザーへのインタビューやエスノグラフィ無しにメンバーのワークだけでインターネット等の情報から可能なのでしょうか?
メンバーだけで構築するとき 他人事視点ににならないためのコツがあれば教えていただきたいです。

メンバーのバイアスがかかってしまうので、危険かなと思いましたが、バイアスを取り払うトレーニングをすることで、回避できるかもしれません。


数が多いので、次回に続きます。


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