「理想のわたしたち」になるためのデザイン・シンキング(3)
このnoteについて
課題とは、現状と理想とのギャップであり、
課題を正しく捉えるためには「理想の状態」を見つけることが必要、
そのアプローチとして、デザイン・シンキングが有効と述べてきました。
今回は3回めとして、デザイン・シンキングの5つのモードのうちDEFINEについて、何を、どのように進めるのか?を書きます。
DEFINEのモードですることは
Defineとは問題定義と訳されます。共感したユーザーは、「何を問題としているのだろうか?」を問うモードとなります。最終的に「Point of View(着眼点)」を得ることが目的となります。
アブダクション(発想法)
前回のENPATHYZEで使用した、バリューグラフや共感マップなどのツール類で出てくる言葉や情報たちは、ロジカルに収束させて分析するものではありません。系統にまとめたり、集約するのではなく、状況や可能性とらえた総体として、理解する必要があります。
そのため、Empathyベースでデザイン思考によって問いを導く方法として、アブダクション(発想法)を用います。
アブダクションは、インダクション(帰納法)やデダクション(演繹法)と同じく、アリストテレス哲学によって到達した論理的推論の方法です。
帰納法が現象から法則を導き、
演繹法が法則から結論を導きますが、
発想法では、観察結果から、問いを導き出します。
バリューグラフ・共感マップで描き出されたユーザーの言葉、感情に対して、「○○と感じるとはどういうことか?」「○○するからではないか?」と発散させていきます。そのことにより、演繹・帰納アプローチでは到達できなかった、ユーザーの心理に到達する可能性が上がります。それはユーザーの暗黙知であったり、そもそも気づいてすらいないことだったりします。
アブダクションのツールとして、KJ法や親和図法が使われます。
KJ法というのは、これを考案した文化人類学者、川喜田二郎氏のアルファベット頭文字からとられています。(『発想法』中公新書、1967年;『続・発想法』中公新書、1970年)
親和図法
共感マップと発想法で発散させた思考を、いくつかのキーインサイトにしていきます。その際に親和図法を利用します。
「○○と感じるユーザーに、感じさせないためにはどうすればよいか?」などの題に対し、親和図法で論理的なグループ分けではなく、グループを作り出したその親和性を感じた理由はなぜか?でグルーピングしていきます。
その際に注意することは、
・かならず小分けから大分けする。最初に大分けすべからず。
・離れザルを無理にどれかのグループにくっつけてはならない
です。
How might we...?
また、発見されたインサイトを、以下のような形式の一文「Point of View(着眼点)」にして、次の思考をしやすくします。
これらは、スクラム開発でのエレベーターピッチの検討でも使われることがあります。
これらのアブダクションによる向き合い方や発見へのアプローチが、イノベーションや価値の再定義を目指す「デザイン」のプロセスと親和性の高いポイントとなります。
次にIDEATEのモードに進みますが、もしこのモードでうまく問題定義ができなければ、ENPATHIZEのモードに戻って再度ユーザーとの共感に深く入り込んでいくこともあります。
次回に続きます。
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