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しき 第3回 マンガと小説の物語【今回も小説】

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 さて…1年経ち…2年経ち…3年後。娘は高校3年生になりました。
「・・・あと1年だけど大丈夫?」
 娘は教会に向かって呟きます。残念ながら教会から返事はありません。
「私、彼氏おらんけど!一人としていたこと無いんだけど!!!!そろそろ進路決めないと!!!!!!!!!!どれが結婚の妨げにならないの?どれが結婚を促進するの?分かるのは地元を離れてはいけない事だけなんだけど・・・・・・」
 娘はあっという間に高校を卒業してしまいました。地元住み以外安心材料は何一つありません。
「・・・卒業したんですけど。彼氏いないんですけど。いいんですか?いいのですか?ホントにマジでこれでいいのかあぁ!!!!!職場で出会ってスピード婚か?だったら受けてたとうじゃないか!!!!!!!!それがダメなら出会い系サイト解禁か!」
 娘は4月から地元の公務員です。友達が名残惜しそうに別れを告げますが、娘にはどうでもよいことです。
 娘とホーホーちゃんがテレビで情報番組を見ています。完成間近の教会を中継しているからです。
「完成は5月。あと2カ月も無い…ていうかとっくのとうに式の予約ってしてあるよね!めちゃ埋まってるよね!!!!!!!!!!」
 ホーホーちゃんが喜びの舞を舞っています。工事の人達が頑張ったお陰で、遅れを一カ月取り戻したからです。動揺した娘が豪快にお茶をこぼします。
「ドタキャンがあってそこに入るとか?式の直前で婚約破棄した男と結婚するとか。代理花嫁の仕事するとか。だって式の準備って長期間かかるんでしょ!手間がかかるんでしょ!招待状の発送はもう手遅れじゃないの?参列者はお互いの家族だけ?でも私のドレス合わせとか指輪とか飾りつけとか色々・・・」
 動揺した娘は台拭きではなく、式のために伸ばした髪でこぼしたお茶を拭いています。
「・・・お金はあるからお金で全部解決すればいいのかな」
 娘は中学生で始めた株で潤っています。お金の力で2日あれば理想の結婚式が行えるでしょう。ただ夫はお金で用意したくありません。
 娘が台拭きを絞るように髪を絞ります。再び湯呑は茶で満たされました。色々大変だったので、娘はお茶を一気に飲み干しました。
「お母さん、茶葉変えた?」
 そうこうしているうちに教会の完成式典は3日後となりました。娘も地元の人として招待されており、もちろん娘も参加します。
 地元だけでなく、国中が、世界中がこの教会の完成に注目しています。世界中から取材や旅行客が集まっています。完成を見られなかった人たちも大勢集まって、一部の生きている人たちのホットスポットにもなっているようです。連日ネット上では「映った」「見た」「気づかれた」「憑かれた」「触られた」「会話した」の大騒ぎです。中には生まれる前に亡くなった父親と初対面の方もいたんだとか。
娘の家には親戚が沢山泊まっています。初めて会う親戚も3人います。毎日がお祝いです。娘は式前なのに太りそう。
そんなことより大変です!!!緊急事態です!!!!

~続~今回もお読みいただきありがとうございました(*^-^*)
次回またよろしくお願いいたします♪


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