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睡眠不足とメンタルヘルスの関係性について|イライラやうつ病への影響

こんにちは!
睡眠の専門家・しょうです。

夜更かしや睡眠不足に陥る人は、多忙な現代においては珍しくありません。

2020年にフィリップスが実施した「世界睡眠調査」では、調査対象となった13カ国のうち、「睡眠に満足している」と答えたのは32%にとどまり、世界最下位を記録したことが話題となりました。

参考:https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/blogs/smart-sleep/20200901-global-sleep-survey-2020.html

経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表したデータでも、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟国30カ国のうち最下位の位置にいます。

参考:https://www.oecd.org/gender/data/

しかし私たちの睡眠不足は、ストレス・イライラを増幅させ、仕事のパフォーマンスを低下させることに加え、不安やうつ病のリスクを高めることがわかっています。

今回のnoteでは、睡眠不足とメンタルヘルスの関係性について、論文やデータに基づいてご紹介します。


睡眠不足とメンタルヘルスの関係

睡眠不足の影響といえば、注意力・集中力の低下や、感情コントロール機能の低下、ストレスに弱くなるなどの症状がよく知られています。

本記事では、主に次の3つのテーマについて、それぞれ詳しく解説していきます。

  • ストレス・イライラの影響

  • パフォーマンスへの影響

  • 不安やうつ病の症状

一つひとつ順番に見ていきましょう。


睡眠不足が引き起こすストレス・イライラの影響

慢性的な睡眠不足が続くことを「睡眠負債」と呼ぶことがありますが、この睡眠負債は私たちの感情に大きな悪影響を与えます。

知らず知らずのうちにメンタルヘルスが悪化し、些細なことで怒りの感情が爆発してしまったり、周囲との人間関係を壊してしまったりすることがあるわけです。

睡眠不足がこうしたメンタルヘルスに影響するのは、自律神経と脳内ホルモンの働きが関わっています。


アドレナリンの増加でイライラの悪循環へ

睡眠不足が続くと、脳や体をアクティブにさせる交感神経が優位になり、副腎から「アドレナリン」というホルモンが分泌されます。

アドレナリンは、私たち人間が危機に陥った時に、体を戦闘モードにしたり逃走モードに切り替えたりするために分泌されるホルモンで、攻撃性を高める性質も持っています。

そのため睡眠不足でアドレナリンが増加すると、周囲に対して攻撃的になり、イライラしやすい精神状態に陥ってしまいます。


コルチゾールの分泌が増えストレスに弱い体質に

睡眠不足が続いてストレスが増加すると、ストレスに対処するための「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが増加します。

コルチゾールは、私たちの血圧や血糖値を高める作用を持っており、体を戦闘・逃走モードに切り替えるためのシステムの一部と言えます。

しかしこのコルチゾールは、過剰に分泌されると短期記憶を司る海馬の神経細胞を破壊し、記憶力を低下させることがわかっています。

過剰に分泌されたコルチゾールは次第に減少していきますが、コルチゾールの分泌が低下すると免疫力が弱まってしまうこともわかっています。

睡眠不足によりこうしたホルモンのバランスが崩れることが、ストレス・イライラを増加させる一因となっているのです。


睡眠不足が引き起こすパフォーマンスへの影響

続いて、睡眠不足が引き起こす、私たちの仕事・勉強・スポーツなどのパフォーマンスへの影響を調べてみましょう。


睡眠不足で仕事効率は40%低下

2006年に当時日本大学医学部教授の内山真氏が日本睡眠学会誌に掲載した調査によれば、ある企業に勤める約3,000人の被験者の中で、睡眠に問題があるとされたのは3人に1人という割合にのぼったといいます。

睡眠不足による就業中の眠気や、遅刻・欠勤が増加することにより、企業の仕事効率は40%ダウンするとの試算も出ています。

仕事効率の低下が私たちの人事考査や生産性にも影響していると考えれば、睡眠不足によって収入が40%低下してしまうと言い換えることもできるでしょう。

参考:https://woman.nikkei.com/atcl/column/22/101800004/101800001/


睡眠不足に起因する経済損失は年18兆円とも

米国のシンクタンク「ランド研究所」が2016年に公表したデータでは、日本人の睡眠不足を原因とする経済的な損失は、およそ1,380億ドル、現在の為替レートで18兆円以上になるとも予測されています。

これは日本のGDPの2.9%に相当する規模で、調査対象となったアメリカ・ドイツ・イギリス・カナダの中でも最大となっています。

日本人の睡眠時間の少なさは、もはや国家レベルの課題であると言っても過言ではないでしょう。

参考:https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1791.html


睡眠不足が引き起こす不安やうつ病の症状

次に、睡眠不足によって引き起こされる、不安・うつ病の症状についても見ていきましょう。


5日間の睡眠不足で脳機能に変化

2016年に国立精神・神経医療研究センターで行われた研究では、1日4時間半ほどの極端な睡眠不足が5日間続いた被験者は、うつ病・統合失調症の患者とよく似た脳機能の変化が見られたと報告しています。

具体的には、恐怖の感情に敏感になる一方で、幸福の感情に鈍感になるという変化です。

その結果、感情が不安定になり、抑うつのリスクが増大することが指摘されています。

5日間という短期間の睡眠不足でも、脳の中では大きな変化が起こっているわけです。

参考:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0056578


うつ病患者の9割は睡眠についての悩みを抱える

厚生労働省が提供している「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、うつ病患者の約9割がなんらか不眠症状を伴うこと、そして不眠の症状がある人がうつ病にかかりやすいことが指摘されています。

うつ病と不眠には相関関係があり、寝不足がうつ病を引き起こす可能性もあるというわけです。

また、不眠はつう病の初期症状として現れやすいことから、うつ病を早期発見する指針として使われているという実情もあります。

単なる睡眠不足と甘く見るのは危険で、うつ病になるリスクを高める行為であることは、事実として認識するべきでしょう。

参考:https://www.shinagawa-mental.com/column/psychosomatic/sleep-deprived/


まとめ

今回は睡眠不足とメンタルヘルスの関係性について、各論文やデータをもとにご紹介してきました。

睡眠不足が慢性化して睡眠負債が増加すると、目に見える形でも、目に見えない形でも悪影響が現れます。

ストレス・イライラの増加、パフォーマンスの低下、そしてうつ病のリスクなど。

これらの悪影響を防ぐためにも、日々の睡眠習慣を見直し、質の高い睡眠が取れるように工夫していきましょう。

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