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ポリシーはノーとは言わないこと!? 明治13年創業の「鳥羽や旅館」を訪ねました。

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城下町としての「彦根」。

そのおもかげを多く残す町割りや、
古民家の立ち並ぶ、重要的建造物群保存地区。
その中の「花しょうぶ通り 商店街」の一角で営まれる
今年創業140年を迎える旅館があります。

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明治13年(1880年)創業の老舗和風旅館「鳥羽や旅館」。

それ以前の江戸末期には、料理屋として、この地に店を構えお伊勢参りに行かれる方に料理をふるまっていたとのこと。そのため屋号である「鳥羽や」は、伊勢神宮のある三重県の地名「鳥羽」から取られているようです。

一部には江戸末期の建物も残され、歴史の重みを感じさせてくれます。

そんなすてきな旅館を、今回の取材ではたずねました。

家族経営だからこそ提供できる空間、サービス。

「家にいるのと同じ感覚で過ごしてもらいたいですね」
そう語るのは五代目館主の和田一繁(わだ かずしげ)さん。

「旅館とお客様との距離感の近い家族的な雰囲気、
家族的なサービスを提供しています。
それができるのは、母と子ども2人の3人で営む家族経営ならではです」

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和風の建物がもつ独特の温かみ。

その空間の中で、お客様との会話を大事にされています。
実際に取材に伺ったときも、和田さんは
チェックアウトをされるお客様との会話を楽しんでいました。

その様子は、まるで本当に、この場所が自分の家であるかのようです。

また鳥羽や旅館自慢の洗濯無料サービスや、
彦根城を始めとする観光地や駅への送迎サービスは、
お客様に非常によろこばれるとのこと。

ノーとは言わない?!差別化のための工夫。

できるだけお客様からの要望にはノーとは言わないこと。
できるだけイエスで返すこと。

それが鳥羽や旅館としてのポリシー。
ほかの宿泊施設との差別化するための、こだわりのようです。

「家族経営だからこそ臨機応変に対応できるんです。
たとえば一般的なホテルの場合を考えてみてください。
お客様から何か要望を受けた場合、オーナーなどの権限を持った人に
話を通すために、一度おまたせすることになってしまいます。
ですが家族経営であれば、全員に決定権があるので
すぐその場で対応できるというわけです」

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そして、なんと鳥羽や旅館では
宴会やゼミ、スポーツ、企業研修など合宿所として
全館貸切も問い合わせをいただければ受け入れています。

彦根で開かれている読売テレビ主催の鳥人間コンテストの
選手の中には、毎年利用されている団体さんもいるのだとか。

「旅館という名目でなんでも受け入れる施設かもしれないですね。
とにかく思いついたことがあれば、なんでも提案してください」

和田さんは笑って、そう話されていました。

帰ってこれる場所にしたい。館主の思い。

なぜ、そこまでお客様のために、こだわるのか。
そこには和田さんの胸にある熱い思いがありました。

「この場所を、そして彦根という町を帰ってこれる場所にしたいんです」

彦根市で大学に通うために一人暮らしをしていた学生が
ゼミの合宿で鳥羽や旅館を利用し、
卒業後に両親を連れて、また泊まりにやってくる。

そういった光景が見られることが、和田さんの理想のようです。

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鳥羽や旅館では、玄関を入ると
額縁に飾られた「おかえりなさい」という文字が。

ここにも和田さんの思いが込められています。
今日も、またお客様の帰りを待っているのです。

彦根に観光に訪れる方も、今、彦根に住んでいる方も、
まるで家にいるかのように過ごせる
鳥羽や旅館を訪れてみてはいかがでしょうか。


(写真・文:杉山 雄太)

鳥羽や旅館
 住所:〒522-0083 滋賀県彦根市河原3丁目1-23
 TEL:0749-22-0325
 FAX:0749-23-7563
 E-mail:info@tobaya.jp
 公式HP:http://www.tobaya.jp/h/top.html