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サイン、それは空間の中の隠れたスパイス?

こんにちは!マーケティング統括部のみくらです。
コスモスモアオープン社内報、今回は私たちの会社が取り組む事業「空間をデザインする」の中でもニッチな部分、「サイン」のデザインについて取り上げたいと思います。これまでオフィス空間を中心にサイン提案を行ってきた私から、僭越ながら過去の提案事例を交えて4つの視点からお伝えします。

01.空間の中の道しるべ

サイン(sign)という言葉の意味は色々あり、しるし、シンボル、合図、記号など。要は何かしらの情報を伝えるもの、という意味を内包していることがわかります。

空間の中でのサインの本質的な役割は、位置情報を伝える「道しるべ」のようなもの。それだけで考えるととても合理的な存在なのですが、そこにデザインが加わることで、道しるべとしての役割だけでなく時には空間の中でのアクセントとなるスパイスのような存在や、はたまたコンセプトを体現する象徴的な存在にもなれるのでは、と思っています。

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例えば、こちらは音楽とフットサルをベースとしたコミュニケーションスポーツ施設の更衣室サイン。場所を伝えるだけなら、極端に言えば「更衣室」と一言書いた紙が貼ってあっても役割は果たします。

しかし、この施設の空間コンセプトが「家」や「ファミリー」をテーマとしており、用いる素材もあたたかみのある自然素材が多かったため、素材に木を用い、また、施設オリジナルのキャラクターをそのまま用いるのではなく一部(目と鼻)を抽出して使うことで、キャラクターの可愛さを生かしながらも空間に馴染むサインを作ることにしました。

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また、キャラクターデザインにも取り入れられているサッカーボールの多角形モチーフ(キャラクターの目が五角形になっている)を、サインデザインにも取り込んでいます。サインプレートの形状や、ピクトグラムの形の一部にもこの多角形のモチーフを取り入れることで、細かい部分でも世界観の統一をはかっていきます。

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02.コンセプトを体現する

サイン計画の際にまずおこなうのは、空間の設計意図、コンセプトをしっかりと理解すること。またその空間の意匠や使っている素材、色味を把握し、その空間が表現しているものに合ったサインはどんなものだろう?ということをじっくり考えます。

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こちらは、子育てを頑張る人々へのサポート事業を展開する企業のオフィスサイン。空間の提案コンセプトが「空港」だったため、実際の空港サインによく見られるようなピクトグラムを用いて会議室などのオフィス内サインを構成しました。カラーにコーポレートカラーのブルーを取り入れ、空間のポイントとしてさりげなくその企業らしさを伝えられる役割も担っています。

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サインを提案する際には、デザインだけでなく室名やエリア名についても設計者と一緒に考え、提案する場合も多いです。例えばこのオフィスの場合でも、ゲート、チェックインカウンターなど、コンセプトの空港を連想させるキーワードをエリア名称に採用することで、より空間のコンセプトを体現する工夫をしています。


03.極限までデフォルメする

空間の中のサインは、文字情報だけの場合もあれば、ピクトグラムのような簡略化された絵を用いることも多いです。その際に大切なのが、形を極限までシンプルにしていくことで、目に入った瞬間に何が書かれているのか認識できるサインにすること。

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こちらは、コスモスモア本社オフィスのトイレのサイン。サインは、多くの場合ある一定の離れた距離から見られることも多いため、複雑な描き込みをしても認識してもらえなかったり、まわりの様々な情報に埋もれてしまいます。そのため、ベースとなるモチーフが持つ情報の中からサイン表現にとって余分な情報を、ぎりぎりのところまでそぎ落とせるだけそぎ落とします。

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例えばそのモチーフが女性だとした場合、どんな顔立ちで、どんな髪型で、どんな洋服を着ていて・・という部分はもちろん、場合によっては手や首の表現も省略したり足も一本で表現することで、かろうじてスカートのようなものを身に着けた人型のようなもの、というところまで簡略化してしまいます。

人間の脳は、ここまで簡略化しても何を指しているか意外とわかるものです。また空間の中では極限まで簡略化された絵の方が、他の視覚情報と差別化されて目にとまりやすいという特性もあります。


04.デザイントーンを空間と合わせる

サインのデザイントーンを決める際には、空間のデザイントーンに合わせるように調整していきます。空間を人に見立てるとすると、その人(空間)に似合うアクセサリー(サイン)を着けていくようなイメージです。

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例えば、こちらは様々な高度土木技術を要する建設会社の会議室サイン。黒を基調としたシックな内装だったため、サインには洗練された印象のあるOptimaというフォントを採用しています。またそれに合わせて、アイコンの表現に曲線と直線で緩急を付け、子供っぽくならない工夫を施しています。

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パントリー(給湯室)のサイン。そのまま表すとかわいらしくなりがちなケトルのモチーフを、すっきりとした山型の形状にすること、また持ち手と本体をつなぐ金具の表現を省略することで、大人っぽい印象を目指しました。


いかがでしたでしょうか。空間の中のサイン、奥が非常に深く私も日々勉強中の身ですが、少しでも面白みを感じてもらえたり、存在に気付いてもらえたら嬉しいです。また、街中で素敵なサインを見つけたら是非教えてください!お読みいただき、ありがとうございました。

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本日の書き手:マーケティング統括部 みくら




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