#21_言葉を増やすことの意味
「マジでうぜぇ」「だりぃ」「くそっ」「むかつく」「キモい」
「エモい」「最高」「ガチ」「かわいい」
子どもたちはしばしば「単語」で自分の気持ちを表現します。ストレートに意味が伝わるし、仲間同士での共感も呼びやすいので、それはそれでいいのかもしれません。
しかし、こんなふうに見ることもできるかもしれません。
子どもたちは、これ以外の言葉を、知らない。
知らないから、手元にある少数の言葉で、あらゆる事態を表現しなければならない。
こんなふうに考えると、子どもたちの「言葉の貧困」が問題として立ち現れてきます。
「言葉の貧困」は、3つの意味で、困難を呼び起こします。
1つ目の困難は、自分自身への理解の貧しさです。自分の感情や状態を表現する言葉を少数しか持たなければ、それだけ自分の感情や状態についての理解は乏しくなります。
2つ目の困難は、仲間同士の関係づくりの貧しさです。相手が分かる言葉、相手が共感してくれる言葉が少数しかない以上、その少数の言葉に限定してコミュニケーションをとることになります。お互いに新しいことを学び合う関係というよりはむしろ、手持ちの言葉で現状を肯定したり否定したりするだけの関係になってしまいがちです。
3つ目の困難は、子どもと大人の関係づくりの貧しさです。子どもたちがいくら現状に対して不満をもっていたとしても、「マジでうぜぇ」「だりぃ」「くそっ」「むかつく」「キモい」といった言葉を並べるだけでは、なかなか大人たちは取り合わないでしょう。むしろ、そういった単語を並べ立てる態度に対してモノ申されることの方が多くなるでしょう。
子どもたちは、言葉を知ることで、自分を知ることができます。
子どもたちは、言葉を知ることで、仲間との関係を豊かにすることができます。
子どもたちは、言葉を知ることで、大人たちとの関係を豊かにすることができます。
教育の本質は、子どもたちに、豊かな言葉を伝えることです。
教育の本質は、子どもたちが、豊かな言葉を獲得していけるような環境をつくり続けることです。
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