どちらも手放さない
今日(という名の昨日)決めたことがある。わたしは、2つの拠点で生活するんだ。
お盆期間で帰省した。わたしが30年過ごした地元。帰省のたびに何も変わってないよと言われる街並みも、ひとつ、またひとつとあったものが壊され新しくなる。昔そこに何があったかも思い出せないまま。人口に対して不用意に増え続けるマンション。繁華街にできる駐車場。大きすぎるパチンコ。
今はまだ容易に想像のつくこの街も、いつか全く知らない風景に変わっていくんだろうか。
久しぶりに会った地元の友達に、「こっちに帰ってこないのか」と聞かれた。ただの世間話だ。わたしは友達の子供が慣れない手つきで箸を握る姿を眺めながら「うーん。帰ってこようと思う気持ちはある。でも、東京にいたい気持ちもある。2拠点生活できればいいんだけど」と言った。
そのとき、確かに私が言った言葉なんだけど、噛み締めるように、そうだ、そうすればいいんだ。と気づいた。
友達は同じように子供を見ながら「おー、いいじゃん」と軽く返事をしていたけど。
何度かこの日記でもいったかもしれないけど、地元から上京して2年。いつも気持ちがいったりきたりしていた。東京は便利だ。どんなに散歩しても必ず駅のある街にたどりつくこと。好きなアーティストのライブに簡単にいけること。あまりみんなが私に関心のないところ。だけど、もういっそ地元に帰って、でかい部屋に住んででかい車を買って、でかい犬と腰を据えて生活しよう。とも思う。
結局、東京に居続ける理由も、地元に帰る理由もないらしい私は、決め手にかけたままいつも通り過ごすことにしていた。
でも友達と話しているときに不意に出た「どっちも選ぶ」という選択肢。私は、その第3の可能性をほんのり考え始めるようになった。
そして、今日、「そうしよう」と決めた。
理由は、ここでだけ書くけど(あまりにもそれっぽすぎて恥ずかしいので)、ほんとうに単純で、「地元でみる夕日が1番綺麗だと思ったから」。
私は夕方〜夜にかけての時間帯が1番好きなんだけど、それを自覚したのは夕方に散歩するようになってから。遠くの山がどんどん色を無くして黒に近づくのと一緒に、空が青からオレンジに変わる。その光景が美しすぎて、感動して、大好きになった。
だから東京でも夕方散歩して景色のいいところに行ったりするんだけど、やっぱり何か違う気がしていた。でも今日、地元の夕日をみて「これだ」と思った。
この景色を見続けたい。この夕日で私は上京を決めたし、人生を決めてきた。
ほんとうに美しい光景だった。
さて、スキルも何もない30オーバーの独り身女が、これから2拠点生活を目指そうとしている。何から始めよう?ほんとうに大丈夫かな?
でも不思議と不安よりワクワクが強い。やってみよう。そう思う。
やってみよう私。今日が1番若いのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?